▲長いリーチの左ストレートを大和(左)の顔面に突き刺すジョムトーン(右)
WBCムエタイ実行委員会
WBCムエタイ・ジャパン第2回大会
「The Path to the World Champion」
2011年10月2日(日)東京・後楽園ホール
開場10:45 開始11:00
▼ダブルメインイベント第2試合 スーパーファイト スーパーライト級 3分5R
○ジョムトーン・チューワッタナ(タイ/WBCムエタイ世界スーパーフェザー級&ラジャダムナンスタジアム認定同級王者)
判定3-0 ※三者とも50-47
●大和哲也(大和ジム/K-1 WORLD MAX -63kg Japan Tournament 2010優勝、元WBCムエタイ日本ライト級王者)
昨年の『K-1 WORLD MAX −63kg日本トーナメント』で優勝し、8月14日にはアメリカでタイ人強豪選手にヒジでTKO勝ちした大和がメインに登場。ムエタイの現役トップ選手である、現WBCムエタイ世界チャンピオンのジョムトーンと対戦する。
ジョムトーンは15歳でムエタイ2大殿堂のひとつラジャダムナンスタジアム認定バンタム級チャンピオンとなり、その後はスーパーフェザー級王座、WBCムエタイ世界フェザー級王座を獲得。2008年にはラジャダムナンスタジアムの最優秀選手にも選ばれた。現在22歳。
プロボクシング日本ランカーをボクシングの試合でKOしたパンチとムエタイ王座を制した蹴りを持つ超強豪ジョムトーン。大和にとって試練の大一番となる。
1R、サウスポーのジョムトーンは軽くジャブと右ロー、大和はリズムを取りながら右インローを多用する。ジョムトーンがジャブから左ミドル2連発、長いリーチからのジャブが異様に伸びる。それに対して大和の左フックは空を切る。
2R、速いリズムを刻み出した大和をジョムトーンは前蹴り、左ミドルで突き放す。なかなか入れない大和は右ロー、ジョムトーンも左ローを返す。大和が飛び込んでの右ストレートを繰り出すと、左ヒジを振り下ろすジョムトーン。
3R、大和が左右フックと右ローで仕掛ける! 思い切って飛び込んでいく大和にジョムトーンはジャブと左ロー、左ヒジ。強烈な左ミドルを連打するジョムトーン! さらに前蹴りで突き放しにかかる。スウェーバックで大和の左フックをことごとく空振りさせるジョムトーンは、右ストレートと右ボディストレート。ここへ来てジャブからの左ストレートを繰り出し、大和を仰け反らせる。
4R、前に出る大和をジャブと左ミドルで迎え撃つジョムトーン。大和の左フックは空振りさせ、逆に左ストレートを顔面とボディに見舞う。ジョムトーンが何度もワンツーを突き刺す! コーナーへ詰めた大和は左ボディを見舞ったが、ジョムトーンがワンツーを次々と直撃させて逆に大和をコーナーへ追い込む。大和のパンチは左ボディこそ当たるが、顔面へのパンチは空振りが続く。
5R、パンチで間合いを詰める大和にジョムトーンは前蹴りと左ミドル。さらにワンツーをヒットさせ、ジャブで突き放しにかかる。前蹴りとジャブで逃げ切りの体勢に入ったジョムトーンに大和はパンチでアタックを繰り返すが、距離を詰めることがどうしても出来ない。左ボディこそ当てられるが、顔面へのパンチはことごとくかわされ、左ミドルをもらってしまう。
判定はジャッジ3名が3ポイント差をつけてジョムトーンが勝利。完封された形の大和はリングを駆け下りていった。
試合後、ジョムトーンは「凄く疲れました。相手は本当に強くて、途中でKOするのを諦めました。顔にパンチをもらわなかった? いえ、ジャブはもらいましたよ。ローキックとヒジが強かったし、5Rのボディブローは効いてしまいました」と大和を称えつつも、「ただ、相手はローと左フックしかなかったのでこれなら怖くないと思いました」と難しい試合ではなかったと語った。
▲得意の左フックでメラー(右)をマットに沈めた神村(左)
▼ダブルメインイベント第1試合 WBCムエタイ女子インターナショナル・ライトフライ級王座決定戦 3分5R
○神村エリカ(TARGET/WPMF&WMC世界女子ミニフライ級王者、Girls S-cup2011トーナメント優勝)
KO 1R1分49秒 ※左フック
●デニス・メラー(イギリス/WBCムエタイ女子インターナショナル・ミニフライ級王者)
※神村が新王座に就く。
今までKO負けが1度もないというメラーは、鉄の様な肉体とタフさの持ち主であるという。世界各地で試合をしており、2カ月前にWBCムエタイ・ミニフライ級のインターナショナルチャンピオンになったばかりだが、今回は神村の噂を聞き、ぜひ対戦したいとミニフライ級のべルトを返上して王者決定戦に臨む。
神村は8月にシュートボクシングの女子立ち技格闘家最強決定トーナメント『Girls S-cup』を制したばかり。現在はWPMFとWMCの世界女子ミニフライ級2冠王であり、WBCムエタイ・インターナショナルのベルトを新たなコレクションに加えることができるのか、注目される。
1R、左ミドルからの左フック2連発をヒットさせる神村に、メラーは組んでのヒザ。神村は左ロー、左ミドル、左フックと攻撃を散らして揺さぶりをかけ、その全てをヒットさせる。
左フックでメラーのマウスピースが吹っ飛ぶと、神村は一気に左右ストレート怒涛の連打でメラーをコーナーへ釘付け! ダウンを奪う。
場内が大きくどよめく中、神村は一気に襲い掛かり、ヒジ打ちからの左フック2発でメラーをマットに沈めた。
圧勝を遂げた神村はWBCインターナショナルの緑のベルトを巻き、「WBCを獲りたくて獲りたくて、何としてでも獲らないといけないって思っていたので嬉しいです。ずっとタイトルマッチが続いていて11月もタイトルマッチ(RISE女子王座決定戦)ですけれど、チャンスをつかんで女子で最強と言われるようにこれからも頑張っていきます」と挨拶。
そして、リングに上がったパトリックWBCムエタイ事務総長がマイクを持ち「この勝利をもって、神村選手には世界タイトルへの挑戦権が最優先で与えられます」と発表。
日本女子初のインターナショナル王者となった神村が、近い将来、WBCムエタイの世界タイトルへ挑戦することが決定的となった。
▲増田(左)のローでKO寸前まで追い込まれた羅紗陀(右)だがヒザ蹴りで逆襲
▼セミファイナル WBCムエタイ日本ライト級タイトルマッチ 3分5R
○羅紗陀(らしゃた/キングジム/王者、WBCムエタイ世界同級13位)
判定3-0 ※48-47、49-47、49-46
●増田博正(スクランブル渋谷/挑戦者・WBCムエタイ世界同級14位、元全日本同級王者)
※羅紗陀が初防衛に成功。
昨年に“国内60kg級最強”山本真弘を破り、WBCムエタイ日本ライト級王者となった羅紗陀が、かつて2度海外でWBCムエタイのベルトに挑戦経験のある“キックの鉄人”増田の挑戦を受け、初防衛戦に臨む。
47戦のキャリアを持つ38歳の増田と、これが18戦目となる23歳の羅紗陀。新旧強豪対決となった。羅紗陀は今年1月以来の試合。
1R、サウスポーの増田は左ロー、左ミドル。羅紗陀は右ローを返していく。増田は左ミドル、羅紗陀は右ミドル。右ジャブを突き刺してくる増田に羅紗陀は右ハイキック。羅紗陀が左フックから前蹴り、そして右顔面前蹴り。増田は“効いてないよ”と両手を広げる。
2R、増田の左ローと左ミドルをしっかりとスネでブロックしていく羅紗陀。すぐに右ローを蹴り返す。さらに右ローには左フックを合わせ、増田のパンチには右ローを合わせる。増田のワンツーからの左ローはしっかりとスネでブロックし、右ローを蹴り返していく。
3R開始早々、増田の左ローに大きくバランスを崩す羅紗陀! 続く左フックも被弾する。羅紗陀はダメージを負った右足を上げながらヒジで応戦する。しかし、右ストレートに左ローを返され、左ミドルで揺さぶりをかけられる。羅紗陀はヒジを振るっていくが空振り。
4R、羅紗陀はテンカオ(つかまないで前に突き刺すように蹴るヒザ蹴り)を増田のパンチに合わせて、ヒザ蹴りで転倒させる。レフェリーはこれをダウンと判定! 抗議する増田陣営だが、カウントが数えられた。
再開後もテンカオを連発する羅紗陀! 増田も左ローで応戦し、羅紗陀は右ストレートとテンカオの連打! そしてヒジで増田を流血に追い込む! 再開後、増田はワンツーからヒジ、羅紗陀は組んでのヒザ。
5R、左ローを蹴る増田に羅紗陀は突っ込んで猛然とパンチを見舞う! さらにテンカオ!
増田が左ローで逆襲すれば、羅紗陀がすぐにヒジで突っ込んでいく。
右ストレートとテンカオで攻める羅紗陀に増田は左ロー、左ハイキック。羅紗陀が左右のフックを即座に打ち返す! 両者激しく打ち合い、場内が盛り上がったところで試合終了のゴングが鳴った。
両者が手を上げて両陣営の応援団が盛り上がる中、判定が読み上げられた。判定は3−0で羅紗陀の勝利。薄氷を踏むような試合内容で羅紗陀が初防衛に成功した。
★第5試合(加藤竜二vs大槻直輝)、第4試合(高橋誠治vs菅原勇介)、第3試合(闘魔vs幸二郎)の試合結果はこちら
★第2試合(日下部竜也vs新人)、第1試合(宮越慶二郎vs黒田アキヒロ)の試合結果はこちら
|