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 毎月GBRが取材した大会の中で、最優秀選手を決める月間MVP。2011年7月度のMVPは、7月16日(土)東京・後楽園ホールで行われた「Krush -70kg初代王座決定トーナメント〜決勝戦〜」で中島弘貴、山内佑太郎を破りKrush初代−70kg王座に就いた健太に決定!(2011年8月4日UP)

選考理由
1、「今年からスタートしたKrushの初代-70kg王座を決めるトーナメントで優勝」
2、「K-1MAX日本2位・中島弘貴、WBCムエタイ日本王者・山内佑太郎に勝利する」
3、「年内に開催を予定しているK-1MAX日本トーナメントでの活躍が期待される」

PROFILE
健太
(けんた)
1987年6月26日、群馬県出身
身長174cm
2004年11月、高校2年生でキックボクシングを始め、
2005年1月30日にMA日本キックボクシング連盟でプロデビュー
2008年5月11日、古川照明(現・太陽照明)を破りNJKFウェルター級王座を獲得
2010年5月9日、太陽との再戦に勝利し、NJKFスーパーウェルター級王座に就く
2011年7月16日、「Krush -70kg初代王座決定トーナメント〜開幕戦〜」で中島弘貴、山内佑太郎を下し、初代王座に就く
戦績:21勝(8KO)7敗3分
第8代NJKFウェルター級王者
第2代NJKFスーパーウェルター級王者
初代Krush−70kg王者
ニュージャパンキックボクシング連盟/E.S.G.所属

■自分のリズムで戦えたことがトーナメント制覇の要因

 −70kg初代王座決定トーナメントを制し、Krushで55kg、60kg、63kgに次ぐ4人目の王者となった健太。しかし健太本人が「優勝すると思っていたのは僕とジムの会長くらいで、周りのみんなも『大丈夫なの?』と思っていたんじゃないですかね。実際に僕が優勝するとは思っていなかった人が多くて、僕がチャンピオンになって驚いていました」と振り返るように、トーナメントがスタートする前の予想では、決して健太の下馬評は高くなかった。

  優勝候補として名前が挙がったのは昨年のK-1MAX日本トーナメント準優勝の中島弘貴や復活を期すWBCムエタイ日本スーパーウェルター級王者の山内佑太郎で、あくまで健太はダークホース的存在であった。

 しかし健太は準決勝で強打を誇る中島をテクニックで完封すると、決勝では山内との気迫の殴り合いに競り勝ち、見事に初代王者の栄光を掴んだのだ。

  デビュー当時の健太はスーパーライト級(63.5kg以下)で、徐々に体重を増やして70kgまで増量した選手のため、この階級では小柄な部類に入る。そんな健太が今回のトーナメントで意識して取り組んだのは「色々な技を使って試合を組み立てる」ということ。

  健太は「僕は軽くてもいいので、自分の攻撃をちょこちょこ当てていくうちにリズムが出てきて、そこからコンビネーションにつながるんですよね。今回は練習の時から攻撃を散らして試合を組み立てようと思っていて、それが試合で出せたんじゃないかなと思います」と自分のリズムで戦い、武器であるスピードとテクニックで勝負できたことが勝因だと語った。

■K-1に憧れ格闘技を始め、有名選手を真似してテクニックを磨く

 KrushはK-1ルールで行われている大会で、健太自身「1996年のK-1 WORLD GPを見て『世の中にはこんなすごい世界があるんだ』と思って、ずっと憧れていました。でも当時はヘビー級だったので、僕にとってはゴジラvsキングギドラみたいな、子供のヒーロー的な憧れでした(笑)。そうしたら2002年から70kgのK-1MAXが始まって、小・中学校まで野球をやっていたんですが、70kgだったら自分も出来ると思って、高校生の時にキックボクシングを始めました」と、K-1が格闘技を始めるきっかけになった。

  格闘技を始めた当初やプロデビュー直後は「最初はグローブをつけて練習をしているだけで『K-1選手と同じことをやっているよ』と思って、それだけで楽しかったです。

 プロになってすぐの頃も、格闘技は恐ろしくて怖い世界だなと思っていました」という健太。しかしNJKFでランキングに入ってから意識が変わり「継続して試合を続けていけば、もっと上まで行けるんじゃないかなと思うようになりました。NJKFでウェルター級王者になった後、結果が出なくて苦しい時期もありましたけど、自分の実力はそんなもんじゃない、いつか自分の実力を試合で証明してやるという気持ちを持って練習を続けていました」と勝ち星を積み重ね、2010年にNJKFスーパーウェルター級王座を獲得。そしてKrushのベルトも手に入れて、現在は二つのタイトルを保持している。

  今回のトーナメントではKO勝ちこそなかったものの、健太は試合の随所にテクニシャンぶりを発揮して強さよりも巧さが光った。ではどんな練習をして健太はテクニックを磨いているのか? その答えは“真似”だ。

「僕は人の真似をしますね。僕はアンディ・サワーが好きなのでサワーの真似をして練習するんですが、昔は練習前に色んな選手の試合を見て、気分を盛り上げて、その選手になったつもりで練習をしていました。自分はスタイル的にヨーロッパ系の選手を真似することが多くて、今回はグーカン・サキの真似をして、インローを蹴ってパンチで飛び込んだり、インローを蹴ってから攻撃を組み立てる練習をしていました。実際の試合でどう見えているかは分かりませんが(笑)、練習ではその選手になりきってやってますね」

■K-1ルール&キックルールの二冠王として掲げる目標

 Krush王者になったことで、健太のK-1MAX日本トーナメント出場はほぼ確定と言っていい。ようやく憧れのリングに立つところまで来た健太だが「K-1に出たことがある選手とK-1で活躍している選手は別物だと思うんですね。

 今までの自分だったら『やっとK-1に出られて良かった』と思ったかもしれませんが、今はそういう気持ちは一切ありません。K-1に出て結果を残すことに意味があるわけで、むしろK-1に出るまでにこんなに時間がかかって遅いよと自分に言い聞かせています」と、K-1で結果を残すまでは自分に満足することはない。

  また健太は「僕はNJKFのタイトルも持っているので、K-1ルールだけではなくキックルールの試合もやるつもりです。僕はどちらかに専念しなければいけないと難しく考えてはいなくて、もし来月にヒジ打ち・首相撲ありのキックルールで試合が組まれても、僕は構いません。僕はNJKFの選手で、NJKFで育った選手なので、NJKFを盛り上げたいという気持ちがあります」と自分のホームリングであるNJKF、そしてキックボクシングも盛り上げたいと語る。

「僕は試合でコンビネーションやテクニック、技のキレを見てもらいたい」と自らの技術にこだわりを持つ健太。K-1・キックボクシングの2つのルールで頂点に立った技巧派ファイターの今後に注目だ。

GBRの「Krush」特集
佐藤嘉洋がシェムシ・ベキリ戦を徹底解説、尾崎圭司のラッシュスパーリング動画、梶原龍児インタビュー、初代K-1−63kg日本王者・大和哲也のインタビューなど
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