12月7日(火)、東京・東京プリンスホテルで記者会見が行われ、シドニーオリンピック柔道男子81kg級金メダリスト・瀧本誠の『PRIDE男祭り2004-SADAME-』参戦が発表された。
高田統括本部長と共に壇上に上がった瀧本はシンプルなスーツ姿。決して派手ではないものの、柔道家然とした雰囲気を出している。会見は高田統括本部長の言葉から始まった。
「この過酷なリングに上がって来てくれて、まずは敬意と感謝を評したい。(瀧本が)30歳の誕生日を前に、今日という日を向かえたことは何かの運命を感じます。柔道の世界で頂点に立った男が、再びこの修羅の道に戻ってくるまでに、様々な葛藤があったと思います。『PRIDE』のリングは残酷で非情なリングです。一つで勝利ですべてを手にする事もあれば、一つの敗北ですべてを失う事もある。命さえも奪われるかもしれないリングなのです。しかしあの花道を歩き、リングに立った時、今までに見た事のない風景が見える事を約束しましょう。
瀧本選手には生き様の見える戦い方を見せてもらいたい。当初は来年の参戦だったものを、『出るからには注目度の集まる大晦日で』と言ってきてくれたことに、プロ意識を感じます。瀧本選手は『PRIDE.28』に来場し、熱を感じて大晦日への参戦を決意したと聞いています。今度は熱を受け取る側から、作り出す側に変わります。瀧本選手にしか作れない熱を生み出して欲しい。また、柔道をバックボーンに持った吉田選手や、その他の選手達と比較されることもあると思いますが、瀧本選手らしい戦いをして欲しいと思います。対戦相手はまだ決まってないのですが、我こそはと思う選手がいたら、手を挙げて欲しい。ジャンルを背負った異種格闘技戦のような試合を組みたいと考えています。
瀧本選手からは『私は柔道家ではなく、一人の人間・男として、このリングを選んだ』という印象深い言葉を聞きました。大晦日のリングに瀧本選手が上がった時、この言葉が私たちの頭の中を駆け巡るでしょう。柔道の世界で男の中の男になった彼が、世界一のプロフェッショナルのステージで男の中の男になるところを見守っていきましょう」
続いて瀧本自らが自分の口で参戦までの経緯・そしてプロ格闘家としての意気込みは語る。
「話をいただいたのは10月の半ばです。吉田先輩に進められたのがキッカケです。吉田先輩を始め、自分の知り合いも総合格闘技の試合に出ていたので、興味はありました。今回はいいタイミングだったので、オファを受けることを決めました。当初は来年という話だったんですが、やるからには大晦日でやろう」と。自分の友人が『野球に例えるなら、柔道は日本のプロ野球で、『PRIDE』はアメリカのメジャーリーグ』だよ」と言われ、決め手となる言葉になりました。やるからには、どんな相手でもどんな試合でも勝ちたいと思っています」
瀧本は現在、吉田秀彦(吉田道場)と共にトレーニング。11月から打撃のみ、寝技のみの練習ではなく、総合格闘技用のトレーニングを続けている。「デビュー戦はパンチで倒したい」と語る瀧本。さらに「吉田先輩の方が全然強い」とは言うものの、スパーリングでは「僕が一本取る事もなければ、吉田先輩に取られる事もない」と話す。吉田同様、プロのリングでも、金メダリストのポテンシャルの高さを発揮する事は確かだろう。
●記者との一問一答
体重とか関係ない。無差別でも戦いたい。
――総合格闘技をやってみようと思った一番の動機は何なんですか?
オリンピックで優勝してからは、無差別級の試合に出たり、大きなことに挑戦したんですが、柔道に限界を感じました。そんな時に「やってみない」と軽い感じで誘われて、「やってみたいな」と思いました。
――もう練習は始めているんですか?
11月からやってます。打撃ありの総合用の練習です。
――どういった相手と戦いたいですか?
希望を言えるほど、弱い選手はいないです。柔道以外の選手とやりたいです。
――現在、体重は何kgですか?
83、85kgくらいです。でも体重に関係なく、どんな相手でもやりたいです。
――『PRIDE』における目標は何ですか?
とりあえずは目の前の『男祭り』です。さっきも言ったように、相手は誰でもいいんで、積極的に試合をしたいと思います。
――道着を着て戦いますか?
着ます。今まで柔道をやってきたんで、試合は柔道技を活かした展開になると思います。
――今回の参戦にあたって、吉田選手からはどんな言葉をかけられましたか?
吉田先輩に勧誘されたわけじゃなくて、自分の意志で「やらせてください」って言ったときに軽い気持ちで「じゃあやってみない?」って言われた程度です。
――吉田選手は今でも柔道に携わって、活動を続けていますが、瀧本選手は今後、柔道とはどういった関係を築いていきたいですか?
今まで(柔道の)選手としてやってきたんで、これからもちょっとづつやっていきます。(柔道を)辞めたくはないんで、いい形でやっていきたいです。
――打撃に関して不安はないですか?
もちろん、慣れていないというのはあります。でも練習はしているんで、体を慣れさせていくしかないです。練習あるのみで。
――試合までの準備期間も短いですが、それに関しての不安はないですか?
全くないです。
――対戦相手を公募するという話ですが、どんな対戦相手と戦って欲しいですか?
統括本部長 実際、瀧本選手の参戦が決まったのが、先週末。土・日を挟んでいたんで、実質昨日ですね。電撃的に決まったので、全くの白紙の状態です。大晦日に出る選手たちはそうそうたるメンバーです。瀧本選手は新しい金メダリストで、「不安は全くない」と言ってしまう心臓の強さを持っています。誰が相手でもファン・我々が期待できる試合になると思います。榊原社長が海外から帰り次第、早急に決めたいと思っています。
――「体重に関係なく戦いたい」というコメントもありましたが、来年のミドル級GP参戦はあるんでしょうか?
統括本部長 何を目的にするんじゃなく、その時で何をやりたいか?、やりたい相手と戦って欲しい。クラスとか重たい相手であっても、不安はないです。
――先ほど「柔道には限界を感じた」と言っていましたが、具体的にはどういうことなんでしょうか?
小さい頃から柔道を続けてきた中で、ほとんどすべての試合に出て、アマチュアの世界で最高のオリンピックで優勝して。毎年同じように"あの大会に出て世界大会に出る"というのが、正直面白くなくなったんです。色々考えていた時に、『PRIDE』を見て刺激を受けて、自分もやってみたいと心の底から思いました。
統括本部長 この若さで頂点を極めて、柔道でやれることをすべてやったという感じでしょう。決して燃え尽きたとか、心や体がボロボロになって限界になったというわけではないんです。その気持ちを立ち上げさせてくれたのが『PRIDE.28』。ありあまるポテンシャル・肉体を動かすのは精神です。また頂点を目指す気持ちを掻き立ててくれたと思っています。
DSE&フジテレビ「PRIDE男祭り2004-SADAME-」
2004年12月31日(金)埼玉・さいたまスーパーアリーナ
開場15:30 開始16:30
<決定対戦カード>
▼メインイベント PRIDEヘビー級GP優勝者決定戦&PRIDEヘビー級タイトルマッチ
エメリヤーエンコ・ヒョードル(レッドデビル)
VS
アントニオ・ホドリゴ・ノゲイラ(ブラジリアン・トップ・チーム)
▼ヘビー級ワンマッチ
吉田秀彦(吉田道場)
VS
ルーロン・ガードナー(アメリカ)
▼ヘビー級ワンマッチ
ミルコ・クロコップ(チーム・クロコップ)
VS
ケビン・ランデルマン(ハンマー・ハウス)
▼ミドル級ワンマッチ
ヴァンダレイ・シウバ(シュート・ボクセ・アカデミー/PRIDEミドル級王者)
VS
桜庭和志(高田道場)
▼ミドル級ワンマッチ
近藤有己(パンクラスism)
VS
ダン・ヘンダーソン(チーム・クエスト)
▼ライト級ワンマッチ
五味隆典(木口道場レスリング教室)
VS
ジェンス・パルバー(チーム・エクストリーム)
※出場予定選手
瀧本誠(フリー)、マーク・ハント(リバプール・キックボクシングジム)、ジャイアント・シルバ(フリー)、戦闘竜(フリー)
<チケット料金>
VIP席 100,000円/RRS席 30,000円/スタンドS席 17,000円/スタンドA席 7,000円
<チケット発売>
■特別電話先行予約 11月14日(日)10:00〜19:00
■一斉発売 11月29日(日)10:00〜
<お問い合わせ>
DSE 03−5464−1531
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