▲(左から)山野翔平、野本尚裕、ディミトリー・モイセーエフ、岩原弘和、アレクセイ・レオノフ、イリヤ・ヤコブレフ、山田一仁
7月20日(日)〜21日(月・祝)茨城・阿字ケ浦にて、新極真会の夏の恒例行事である総本部夏合宿が開催され、子供から壮年まで365名が参加した。その中には先のウエイト制大会で第4回カラテワールドカップ出場権を得た日本代表選手野本尚裕、山田一仁、山野翔平、岩原和弘が参加した。
代表選手たちはテクニックセミナーを開き日本トップクラスのテクニックを伝授。合宿の最後に合宿にカラテ留学で来日していたカザフスタン選手との組手を行った。
実はこのカザフスタン選手たちタダ者ではない。特にアレクセイ・レオノフは2005年の第3回ワールドカップでは山田をはじめ、対戦した日本勢をことごとく破って準優勝に上り詰めた(優勝はヴァレリー・ディミトロフ)。
2006年には地元カザフスタンで開催されたアスタナカップで極真館の80kg以下級チャンピオンであるアブドラシフ・シャムスディンを下している。昨年の第9回世界大会では入賞こそ漏らしたものの、のちに08年ヨーロッパ重量級王者になるルーカス・クビリウスや森健太を破っている。
アレクセイと共に参加したイリヤ・ヤコブレフ、ディミトリー・モイセーエフも他流強豪ひしめく2007スイスオープンに出場し、イリヤは中量級準優勝(優勝はアレクセイ)、ディミトリーは軽量級3位に入賞している。
組手はレガース、グローブ着用し、稽古の一環として行われたが、互いに来年のワールドカップを意識してか、熱気を帯びたガチスパーとなった。特に注目されたのが山田とアレクセイとの一戦である。ワールドカップで勝利したもののアレクセイは山田を「勝ち負けを超えたライバル」と称し再戦を熱望していた。
一方、山田は先のウエイト制優勝後、重量級への転向を公言したもののワールドカップまでは中量級にこだわっているのは、ワールドカップでアレクセイに受けた屈辱を晴らす機会を狙っているからである。
しかし、この日の山田の動きはやや固い。イリヤとの対戦ではたびたび後ろ廻し蹴りを頭部にかすめられ、軽量のディミトリーとの戦いでもいつものアグレッシブさは見られなかった。
そして迎えたアレクセイ戦だが、これまで以上に上段を使うようになっていたアレクセイがロングレンジで山田の上段を狙う場面が多く見られ、対する山田は得意の突き技で対抗した。アレクセイが多種多様な技を見せるのに対して山田は手の内を隠してか、最近のきっかけ技である飛び後ろ蹴りもウエイト制の決め技である下段廻し蹴りも最後まで封印した。
「課題も多く見つかりましたが、自分なりに試したかったことも多少できたと思います。外国人特有の間合いや大技も勉強になりました」組手後にこう語った山田。
2年前同じく総本部合宿の組手に参加した塚越孝行は、その時ヴァレリー・ディミトロフと対戦し手も足も出なかったが、これをきっかけに急成長し翌年の世界大会では逆にヴァレリーを封殺して優勝を果たしている。山田も今回の組手で中量級王座奪還に向けて大きな経験を得たと期待したい。
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