3月28日(日)東京・後楽園ホールで開催されるMA日本キックボクシング連盟『谷山ジム25周年記念興行 ビッグ・バン〜統一への道』メインイベントにて、元ラジャダムナンスタジアム認定バンタム級9位センモラコット・チュワタナ(タイ)と対戦するWMAF世界フェザー級チャンピオンの駿太(谷山)。
その駿太の素顔を、ミズノスポーツライター賞優秀賞を受賞した布施鋼治氏が描いたショートノンフィションが、主催者を通して届けられた。
「節制するタトゥー」
文◎布施鋼治
写真◎保高幸子
取材協力◎谷山ジム
試合の6週間前からは禁酒、3週間を切ると、一切の性欲を断つ。それがキックボクシングの名門・谷山ジムに所属する選手の暗黙のルールだ。城戸康裕とともにジムの看板を背負う駿太も例外ではない。逆に率先して守る方だ。駿太は、それがプロとしてのケジメであることを強調した。
「トレーナーのノップ(ノッパデッソーン=元ムエタイ王者)は、やった選手はわかると言うんですよ。そこは精神論だと思うけど、確かにやったら体力が落ちるかなという気もします。試合前の期間は何事もちゃんと決めてやらないと、絶対ダメですからね」
中学時代は教師に暴行を働き、4度告訴され、一度は少年鑑別所に収監された。17歳の時には窃盗事件で少年院へ。かつて地元で有名なワルや暴走族だったというエピソードで駿太は語られることが多い。全身に残るタトゥーはその名残なのだろうか。過去は過去。その事実を駿太はあえて隠そうとはしない。
「変な見方じゃないけど、マスコミ的に見たら、そういう方がネタになるのかなって思いますね。別に取り上げられたからといって、イヤなこともない」
初めて駿太に接した人は驚くに違いない。まず目に飛び込んでくるのは子供のように屈託のない笑顔。態度も礼儀正しい。少なくともヤンキー的な匂いは一切感じられない。ワルから更生した例として、テレビのドキュメントでも取り上げられた元プロボクサー川崎タツキの話を持ち出すと、駿太は自分もああいう感じを目指していますと少しだけ身を乗り出した。
「といっても、川崎さんのようになりたいというのではなく、あの人のように取り上げられたいということです。いま、自分が目立てるところって少ない。だったら、その部分でマスコミが食いついてくれるような感じになったらいいなぁと思うんですよ。川崎さんのように今キチンとしているんだったら、過去を話してもいいかなと」
立ち直るきっかけを与えたのはキックボクシングだった。日本で産声をあげたこの立ち技格闘技は、世間で行き場を失った18歳の少年を更生させるという力を持ち合わせていたのだ。苦しい練習や減量に耐え、リングに上がる。そのプロセスの中で、駿太は何事にも代えがたい喜びを知ってしまった。
「闘っていて最大の快感は何かと訊かれたら、僕は勝った直後の余韻と答えますね。大歓声の中、レフェリーから勝ち名乗りを受けている数秒間は素直にうれしい」
ジムメイトの城戸とは同い年だ。生まれ育った環境も違えば、キックボクサーとしての階級も違うが、何かとウマが合う。駿太は城戸とは一度もケンカしたことがないと言った。
「向こうもイラッとすることはあると思うけど?。やっぱりお互い一歩引きながら付き合っているんですかね(微笑)」
キックボクシングを主戦場とする駿太とK-1に参戦中の城戸。練習量や努力という点ではお互い遜色ないと思われるが、人気という面では城戸に水をあけられている。格闘技は実力の世界ながら、プロという側面を考えると人気も不可欠。地上波での露出が高い城戸は、どこに行っても注目される存在になりつつある。そんな城戸にジェラシーを抱くことはないのか。駿太の思いは複雑だった。
「K-1は地上波がついているから、影響力がすごいじゃないですか。やっぱり有名になりたいという自分もいるわけですから、そこの部分ではものすごい葛藤がありました。でも、それはそれで仕方のないことだと思っています。城戸を見ててうらやましいと思う時もあるけれど、自分は自分で与えられた仕事(試合)をひとつひとつやっていくしかない」
昨年あたりから現実味を帯びてきたK-1ライト級の話に敏感になっていた時期があったことを駿太は否定しない。
「ちょっと前までK-1ライト級は(設定体重が)60kgといわれていたじゃないですか。気にならないわけがない。でも、いざフタをあけてみたら、設定体重は63kg。逆に良かったと思いましたね。これで自分はキック一筋でできるという決心がつきました」
現在、駿太のクラスはフェザー級(57・15kg以下)。このところ減量はきつくなっていたので、スーパーフェザー級に上げる計画もあるが、それでも制限体重は58・97kg以下だ。頑張って60kgの体を作ることはできても、いきなり63kgの体を作るのは無理と判断したのだ。ビッグイベントの設定体重に自分を合わせるのか。それとも、ベストパフォーマンスができる体重にこだわるのか。どちらを選ぶかは選手の生き方次第。後者を選択した駿太の視界に、K-1ライト級を目指す選手たちは入っていない。
「少し前までは山本真弘選手が気になっていたけど、もうやることもないかなという感じですね。ほとんどK-1に吸い取られていくような感じじゃないですか。今はむしろ打倒ムエタイ路線を進みながら、強いタイ人に勝っている山本元気さんや羅紗陀(前名は赤十字竜)の方が気になりますね」
ヒジ&ヒザありで首相撲も認められた試合はつまらないというのは大いなる誤解。逆にそのスキルに長けた者同士が闘えば、緩急のついた奥深い攻防になるケースが多い。このルールで、駿太はライト級以下では世界最高峰といわれるムエタイの強豪と互角に渡り合う。2戦1勝(1KO)1分という現役王者との戦績が全てを物語っている。
いずれもホーム(日本)での試合で、KO勝ちを収めた王者は一階級下だったということを差し引いても、駿太が打倒ムエタイ路線の切り札のひとりであることに変わりはない。3月28日、ムエタイの本場タイでチャンピオンになるためのステップとして、ムエタイの世界的な組織のひとつWMCのフェザー級10位にランクインするセンモラコット・チュワタナと激突する。徹底した節制を自らに課すために、もう長いこと駿太はジャンクフードを食べていない。
マーシャルアーツ日本キックボクシング連盟
「谷山ジム25周年記念興行 ビッグ・バン〜統一への道」
2010年3月28日(日)東京・後楽園ホール
開場16:30 開始17:00
<全対戦カード>
▼ダブルメインイベント(第13試合) 国際戦 58.5kg契約 3分5R
駿太(谷山/WMAF世界フェザー級王者)
VS
センモラコット・チュワタナ(タイ/元ラジャダムナンスタジアム認定バンタム級9位)
▼ダブルメインイベント(第12試合) 国際戦 62kg契約 3分5R ※ヒジなし
チュンデーン・チュワタナ(タイ/元ラジャダムナンスタジアム認定フェザー級5位)
VS
“狂拳”竹内裕二(菅原/WMAF世界スーパーフェザー級王者)
▼セミファイナル(第11試合) 51kg契約 3分5R
加藤竜二(橋本道場/MA日本フライ級王者)
VS
魂叶獅(はまっこムエタイ/元J-NETWORKフライ級王者/MACH GO!GO!’06フライ級最強決定トーナメント準優勝)
▼第10試合 エキシビションマッチ
城戸康裕(谷山/2008K-1 WORLD MAX日本王者)
VS
ノッパデッソーン・チュワッタナ(タイ/元ラジャダムナンスタジアム認定ウェルター級王者)
▼第9試合 62kg契約 国際戦 3分3R ※ヒジなし
谷山俊樹(谷山/MA日本ライト級8位)
VS
チャイナリット・ソーモンコンデット(タイ)
▼第8試合 交流ジム対抗戦 2分3R
光浩(谷山)
VS
草薙 亘(WSR東大和)※デビュー戦
▼第7試合 エキシビジョンマッチ
立嶋篤志(ASSHI−PROJECT/元全日本フェザー級王者)
VS
土屋ジョー(JTクラブ/元全日本バンタム級王者)
▼第6試合 58kg契約 交流ジム対抗戦 3分3R
千葉剣士郎(新東金/MA日本フェザー級3位)
VS
森井洋介(藤原/元全日本フェザー級8位)
▼第5試合 交流ジム対抗戦 3分3R
高森啓吾(谷山/MA日本ヘビー級1位)
VS
滝川リョウ(フリー)※リョウの漢字は左側が令、右側が羽
▼第4試合 交流ジム対抗戦 3分3R
風天乃康(谷山/MA日本ウェルター級4位)
VS
渡部翔太(チームドラゴン)
▼第3試合 交流ジム対抗戦 3分3R
KING(土浦/MA日本スーパーフェザー級3位)
VS
中嶋平八郎(誠至会/NJKFフェザー級1位)
▼第2試合 MA日本ウェルター級ランキング戦 3分3R
加藤 渉(Kインター柏/MA日本スーパーライト級2位)
VS
モハンドラゴン(村上塾/同級10位)
▼第1試合 MA日本スーパーフェザー級ランキング戦 3分3R
佐久本 裕(菅原/同級4位)
VS
虎舞拳隆(新東金/同級6位)
▼オープニングマッチ 国際戦 2分3R
林 武重(士道館本部)
VS
ジャファ・アフマディ(イラン/イラン大誠塾)
<チケット料金>
VIP席15,000円 SRS席12,000円
RS席10,000円 A席7,000円 B席5,000円
<チケット販売所>
チケットぴあ
出場各ジム
谷山ジム=TEL:0436-93-9664
<お問い合わせ>
谷山ジム=TEL:0436-93-9664
マーシャルアーツ日本キックボクシング連盟/マスターズピット
「〜暴虎馮河 其の壱〜」
2010年4月4日(日)千葉公園体育館
開場15:30 開始16:00
<全対戦カード>
▼メインイベント(第10試合) 68kg契約 ショーダウンマッチ 3分3R
一貴(マスターズピット/MA日本ウェルター級王者)
VS
ウィラチャート・ウィラサクレック(タイ/元ルンピニースタジアムライト級6位)
▼セミファイナル(第9試合) ジム対抗戦 62kg契約 3分3R
HAMABE(マスターズピット)
VS
隈原和明(習志野)
▼第8試合 ジム対抗戦 ウェルター級 3分3R
中澤 純(WS群馬/MA日本ウェルター級9位)
VS
諸岡直人(Kインター柏)
▼第7試合 ジム対抗戦 60kg契約 3分3R
伊藤 大(マスターズピット)
VS
石田晋士(総合格闘技津田沼道場)
▼第6試合 ジム対抗戦 60kg契約 3分3R
秋元皓貴(真樹ジムアイチ)
VS
須藤稔也(阿門会)
▼第5試合 ジム対抗戦 63kg契約 3分3R
岩井清高(マスターズピット)
VS
小田裕志(相模原)
▼第4試合 ジム対抗戦 フェザー級 3分3R
MASATO(WS群馬)
VS
田村勇気(ドージョー☆シャカリキ)
▼第3試合 ジム対抗戦 ウェルター級 2分3R
濱田朋彦(DURO)
VS
JYO(大誠塾)
▼第2試合 ジム対抗戦 フェザー級 2分3R
松本優友(DEEP)※デビュー戦
VS
上野殺慧(総合格闘技津田沼道場)※デビュー戦
▼第1試合 新人王トーナメントフェザー級一回戦 2分3R
大塚康彦(土浦)
VS
柳田直哉(Kインター柏)※デビュー戦
<チケット料金>
SRS席15,000円 RS席10,000円 S席5,000円 A席2,000円
※当日販売500円増し
<チケット販売所>
チケットぴあ
出場各ジム
<お問い合わせ>
マスターズピット=TEL:043-247-0112
マーシャルアーツ日本キックボクシング連盟/山梨県キックボクシング協会
「富士武闘会」
2010年4月11日(日)山梨県小瀬スポーツ公園「武道館」
開場11:00 開始16:00
※アマチュアは11:30〜
<全対戦カード>
▼メインイベント(第8試合) スーパーライト級 3分3R延長1R
深沢大輔(ダイケン/同級3位)
VS
豪鬼(ワイルドシーサー/同級6位)
▼セミファイナル(第7試合) スーパーバンタム級 3分3R
土橋義之(マイウェイ)
VS
ディオ(Almeric/元MAフライ級6位)
▼第6試合 スーパーフェザー級 3分3R
羽田 信(タナベ/MA日本スーパーフェザー級7位)
VS
藤沢大樹(HOSOKAWA)
▼第5試合 スーパーフェザー級 3分3R
片岡広樹(ダイケン)
VS
カズ☆ソーンパヤック(真樹ジムアイチ)
▼第4試合 フェザー級 3分3R
福島文人(ダイケン)
VS
キューピー村上(HOSOKAWA)
▼第3試合 ウェルター級 3分3R
ロッキー相川(マイウェイ)
VS
倉橋 司(真樹ジムアイチ)
▼第2試合 ウェルター級 3分3R
中村直文(ダイケン)
VS
雪丸(真樹ジムアイチ)
▼第1試合 スーパーフェザー級 2分3R
赤木俊(ダイケン)※デビュー戦
VS
小林 恵(King Bee)※デビュー戦
<チケット料金>
2F自由席3,000円
※小学生以下無料
<チケット発売所>
YKA事務局
出場各ジム
<問い合わせ>
山梨県キックボクシング協会(事務局)=TEL:055−228−2326
FAX:055−231−2345
マーシャルアーツ日本キックボクシング連盟
「FIGHTERS GATE-7〜夢の扉を開け〜」
2010年3月27日(土)神奈川・ラゾーナ川崎
開場16:00 開始16:30
<全対戦カード>
▼第15試合 フライ級 ランキングマッチ バンタム級契約 3分3Rショーダウンマッチ
深堀ヒロシ(Kインター柏/同級4位)
VS
伊東拓馬(橋本道場/同級9位/2009年バンタム級新人王)
▼第14試合 フェザー級 ランキングマッチ 3分3R ショーダウンマッチ
BOB(MAGMA/スーパーフェザー級6位)
VS
野良猫星野(WS群馬/同級7位)
▼第13試合 ライト級 ランキングマッチ 3分3R ショーダウンマッチ
佐藤 琉(JMC横浜/同級8位)
VS
内山周平(Kインター柏/スーパーライト級10位)
▼第12試合 新人王トーナメント ウェルター級 1回戦 2分3R
中河“闘将”和則(士道館ひばりが丘)
VS
小林 準(JMC横浜)
▼第11試合 新人王トーナメント ウェルター級 1回戦 2分3R
中谷安裕(WS群馬)
VS
田中友一郎(飯島)
▼第10試合 新人王トーナメント ライト級 1回戦 2分3R
村上 綾(HOSOKAWA)
VS
レンジャー桜井(士道館ひばりが丘)
▼第9試合 新人王トーナメント ウェルター級 1回戦 2分3R
RIKU(HOSOKAWA)
VS
山際和希(谷山)
▼第8試合 新人王トーナメント ライト級 1回戦 2分3R
千田紘生(習志野)
VS
春日 翔(士道館ひばりが丘)
▼第7試合 新人王トーナメント バンタム級 1回戦 2分3R
渡部 博(士道館ひばりが丘)
VS
ペッヌン・ワイルドシーサー(WS群馬)
▼第6試合 新人王トーナメント ウェルター級 1回戦 2分3R
大曽根新(MAG)
VS
長谷川亮(Kインター柏)
▼第5試合 新人王トーナメント ライト級 1回戦 2分3R
橋本 悟(橋本道場)
VS
ペットーン・ワイルドシーサー(WS群馬)
▼第4試合 新人王トーナメント フェザー級 1回戦 2分3R
野口直人(飯島)
VS
デラックス良矢(HOSOKAWA)
▼第3試合 新人王トーナメント バンタム級 1回戦 2分3R
菅原 充(PCK)
VS
深山邦彦(土浦)
▼第2試合 ジム対抗戦 フライ級 2分3R
俊一(士道館ひばりが丘)
VS
透馬(WS群馬)
▼第1試合 ジム対抗戦 ヘビー級 2分3R
名取政則(ダイケン)
VS
キング・ジョー(PCK)
<お問い合わせ>
興行本部・事務局=TEL:042-530-8630
●MA日本キックボクシング連盟2010年興行スケジュール
3月27日(土)神奈川・ラゾーナ川崎 ※新人王トーナメント1回戦
3月28日(日)東京・後楽園ホール(谷山ジム主催興行)
4月4日(日)東京・千葉公園体育館(マスターズピット主催興行)
5月4日(祝火)千葉・八千代市勝田台文化センターホール(習志野ジム主催興行)
5月30日(日)東京・ディファ有明
6月27日(日)東京・新宿FACE
7月18日(日)東京・後楽園ホール(真樹ジム主催興行)
8月15日(日)東京・ディファ有明
9月26日(日)東京・後楽園ホール
10月10日(日)東京・ディファ有明
11月27日(土)東京・後楽園ホール
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