↑(左から)準優勝のドナタス・イムブラス(リトアニア)、優勝した塚越孝行(日本)、3位のヴァレリー・ディミトロフ(ブルガリア)
NPO法人全世界空手道連盟 新極真会
「第9回オープントーナメント全世界空手道選手権大会」
2007年10月14日(日)東京体育館
開場10:00 開会式11:40
10月13日(土)14日(日)の2日間にわたり、東京・千駄ヶ谷の東京体育館で開催された4年に1度のカラテオリンピック、NPO法人全世界空手道連盟新極真会主催『第9回オープントーナメント全世界空手道選手権大会』。
初日は男子がトーナメント3回戦まで、女子が2回戦まで行われ、男子日本代表は16人中10名、女子も8名中4名が初日でトーナメントから姿を消している。
→飛びヒザ蹴りを連発するダリウスにペースを掴むことが出来ず、前回の世界チャンピオン鈴木国博(右)が4回戦で敗れる大波乱。
そして決勝トーナメントが行われた2日目、ベスト8入りをかけて争われた4回戦では、さらなるピンチが日本代表を襲った。まず前川憲司がデニス・グリゴリエフ(ロシア)に敗れ、なんと前回の世界チャンピオン鈴木国博までもがロシアのダリウス・グダウスカスの前にまさかの敗北。久野浄英もリトアニアのドナタス・イムブラスの前に散った。
ベスト8に残った日本人は、第3回ワールドカップ重量級優勝&第36回全日本大会優勝&第20回全日本ウエイト制大会重量級優勝の実績を誇る“日本の重戦車”塚越孝行と、日本人同士の潰し合いを制して勝ち上がった第6回世界チャンピオンの塚本徳臣の2人のみ。
新極真会の世界大会史上、ここまで空手母国の日本が追い込まれたのは初めてのことだ。
→ネステレンコの蹴りの大技に対し、塚本はボディへの飛びヒザ蹴りで応戦。左下段廻し蹴りを効かせた塚本だったが、ボディを狙い撃ちされて勝敗は試し割り判定にもつれ込んだ。
塚越は外国人四強の一人である第2回ワールドカップ重量級王者デニス・グリゴリエフを本戦で難なく仕留めたが、塚本は2006年の全ロシア大会王者ローマン・ネステレンコに大苦戦。
→外国人四強の一人グリゴリエフを塚越は本戦判定4−0で退ける。
再延長でも決着がつかず体重差判定となったが、規定の10Kg以上の差はなかった。そこで4回戦前に行われた試し割り(自分が申告した枚数の板を正拳・足刀・ヒジ・手刀の4種類の技で割る)の枚数差での判定となったが…塚本19枚に対し、ネステレンコは20枚! 僅か1枚差で塚本も姿を消した。
日本と世界の空手の実力差はここまで縮まっていたのか…柔道、剣道に続き日本の武道である空手までもが海外に王座を持っていかれてしまうのだろうか?
→蹴りの大技を駆使するヴァレリーに対し、塚越はしっかりと防御しながら下段廻し蹴りを効かせていった。世界王座を逃したヴァレリーは1ヵ月間日本に滞在して空手の修行に励むという。
その大ピンチを救ったのは、日本人で唯一ベスト4に進出した塚越だった。準決勝では前回の世界大会で4位入賞、2005〜2007全ヨーロッパ大会軽重量級三連覇を達成した、外国人最強との呼び声が高かったヴァレリー・ディミトロフ(ブルガリア)が相手だったが、左下段廻し蹴りを効かせてから右下段廻し蹴りを狙い打ち。見事、この優勝候補を延長戦判定4−0で退けた。
決勝戦はネステレンコを本戦で判定に下した、これもヴァレリーと並んで優勝候補に挙げられていたドナタスとの対戦。
勢いに乗る塚越はヴァレリー戦同様、左下段廻し蹴りを効かせてから、左足をかばうため重心の掛かる右足をさらに右下段廻し蹴りで狙い撃ち。
→ワールドカップ決勝戦の再現となった今大会の決勝戦。塚越の左下段廻し蹴りにドナタスの表情が苦痛に歪む。
ドナタスが得意とするハンマーのような突きの連打や突き刺すヒザ蹴りをほとんど出させることなく、本戦判定4−0で勝利。空手母国の大ピンチを救うと共に、世界大会での初優勝を成し遂げた。
「この4年間は本当に苦しかった…」勝利者インタビューを受けている途中、安堵した塚越は号泣。日本代表チームが労をねぎらって胴上げし、塚越の巨体は何度も宙を舞った。
また、同時開催された初の女子無差別級世界大会では、“女王”の異名を持つヴェロニカ・ソゾベトス(ヨーロッパ)が他の女子選手を圧倒。
決勝では第3回ワールドカップ中量級で史上最年少優勝を果たした日本のエース格・佐藤弥沙希を本戦判定5−0で撃破し、初代世界チャンピオンの座に就いた。
→身長180cm、体重80Kgという男子顔負けの体格を持ち、6年間無敗の女王ヴェロニカは圧倒的な強さで女子無差別級世界大会の初代チャンピオンとなった。
■試合結果 RESULT
<男子>
優勝 塚越孝行(日本)
準優勝 ドナタス・イムブラス(リトアニア)
3位 ヴァレリー・ディミトロフ(ブルガリア)
4位 ローマン・ネステレンコ(ロシア)
5位 マキシム・シェヴチェンコ(ロシア)
6位 ダリウス・グダウスカス(ロシア)
7位 塚本徳臣(日本)
8位 デニス・グリゴリエフ(ロシア)
敢闘賞 ヴァシリ・クディアコフ(ロシア)
技能賞 ヴァレリー・ディミトロフ(ブルガリア)
試し割り賞 マキシム・シェヴィチェンコ(ロシア)
<女子>
優勝 ヴェロニカ・ソゾベトス(ヨーロッパ)
準優勝 佐藤弥沙希(日本)
3位 福田美み子(日本)
4位 ゲルガーナ・アタナソヴァ(ヨーロッパ)
敢闘賞 将口恵美(日本)
技能賞 ゲルガーナ・アタナソヴァ(ヨーロッパ)
※大会初日のレポートはこちら
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