ワールドビクトリーロード
「戦極〜第二陣〜」
2008年5月18日(日)東京・有明コロシアム
開場14:30 開始16:00
観衆=9,286名(主催者発表)
▼メインイベント(第8試合) ヘビー級 5分3R
○ジョシュ・バーネット(フリー/第10代無差別級キング・オブ・パンクラシスト・第7代UFCヘビー級王者・PRIDE
GP 2006 無差別級トーナメント 準優勝)116.3kg
判定 3−0
●ジェフ・モンソン(アメリカ/アメリカン・トップチーム)111.5kg
一本・KO勝ちが続出した今大会のメインを飾るのは、10年以上もの親交があるというジョシュとモンソンの友情対決。何度も一緒に練習していることもあり、お互いに手の内は知り尽くしているが、両者とも「ウィークポイントは分かっている」と口を揃えている。
“キング・オブ・戦極”のニックネームを頂戴したジョシュが、旗揚げ戦の吉田秀彦戦に続いて勝利を収めるか。それとも、“寝技世界一決定戦”を2度も制したモンソンが、PRIDEでの藤田和之戦に続いて日本での2勝目を挙げるのか? 両者はリング中央でガッチリと握手、言葉をかわして分かれた。
1R、ジョシュが右ローキック、ジャブを放つ。そのジャブを右手でパーリングするモンソン、ワンツーで前に出るがかわされる。ジョシュのワンツーからロー、なんとバックキックまで繰り出す。
間合いを保ちつつローキックを当てて行くジョシュ、モンソンのパンチはバックステップでかわして距離を作ってのジャブ。モンソンが組み付くが、すぐに離す。ジョシュのワンツー&ローキックにモンソンはなかなかタックルの距離に入れない。組み付くとジョシュのヒザ蹴りをもらってしまう。
ジャブから組み付いたモンソン、ジョシュがヒザ蹴り。ジョシュが首相撲に持ち込もうとするとモンソンはすぐに離れる。ジョシュが連打で打ち合いに持っていくと、モンソンの右ロングフックがヒット! すぐにテンカオに行くジョシュだが、離れ際にもう一度モンソンが右フック。
2R、ジョシュがワンツー、そしてバックキック。連打に行ったジョシュにモンソンがパンチで反応すると、ジョシュはボディへヒザを突き刺す。組み付くモンソン、片足タックルでテイクダウンに成功!
ジョシュは足を利かしてモンソンの動きを封じ、三角絞めを狙っていったが、モンソンがパンチを放つとアームロックを狙う。上体を抑えこんで行くモンソン、サイドポジションから顔面へパンチ。
しかし、ジョシュは両足を跳ね上げて反動をつけて立ち上がり、すぐにアッパー、さらにテイクダウン。モンソンはジョシュの体を蹴って立ち上がろうとしたが、潜り込んで足を取りに行ったところでジョシュがガブり、ボディへのヒザ蹴りを見舞う。
上になるジョシュは手の平でモンソンの口をふさぎ、モンソンが立ち上がると首相撲からのヒザ蹴りを連続で突き刺していく。モンソンもアッパーを返していくが、首をコントロールするジョシュがヒザ蹴りで優勢。
3R、ジョシュの左ミドル、モンソンが組み付いてくるとヒザ蹴り。片足を取ってテイクダウンを狙っていくモンソンだが、ジョシュにガブられて転がされる。ジョシュはボディへヒザを見舞い、パンチを入れると足関節へ! が、これはすっぽ抜けてモンソンが立ち上がる。
すぐに組み付くモンソン、ヒザ蹴りにアッパーで応戦するもブレイクに。モンソンの右ストレートをかわしてヒザ蹴りを見舞うジョシュ、その一発がモンソンの顔面をとらえてモンソンが倒れこむ。上になってパンチを入れながら、足関節を狙っていくジョシュだが、モンソンは足を利かせてそれを許さない。
潜り込むようにして足を取りに行くモンソンだが、ジョシュはボディへのヒザ蹴りでこれを防ぎ、バックへ回って抑え込む。ガブったような状態から、ジョシュがモンソンの背中を超えてアンクルホールドへ行くが、極めきれず試合終了のゴング。
両者は何か言葉を交わし、ガッチリと抱き合って健闘を称える。判定は3−0でジョシュの勝利に。両者は再び抱き合って健闘を称えあった。
「今日は友だちの試合、楽しみじゃない。でもファンのおかげで僕は元気、絶好調です。北岡さん、川村さん、近藤さんの試合、素晴らしい試合でした。新しい戦極ポーズをティーチします」とジョシュは流暢な日本語でマイクアピール。
そして、「行くぞーっ!」と記者会見でも披露した「イチ(一)、ジュウ(十)、ヒャク(百)、戦(千)極! 戦極!」と戦極ポーズを決めて大会を締め括った。
▲全試合終了後、出場全選手に戦極ポーズをレクチャーするジョシュ(左)
▼セミファイナル(第7試合) 5分3R
○ホジャー・グレイシー(ブラジル/ホジャー・グレイシー柔術アカデミー)102.6kg
一本 1R1分40秒 ※チョークスリーパー
●近藤有己(日本/パンクラスism)87.4kg
ついに“グレイシー一族最強の遺伝子”ホジャー・グレイシーが日本初見参! グレイシーの定番入場曲である『ラストモヒカン』は使わず、静かな曲でゆっくりとリングへ向かって歩を進めた。対する近藤もこちらは御馴染みの静かなる入場曲で、やはりゆっくりと歩いて入場する。向かい合うと13cmの身長差が際立つ。
1R、左へ回っていく近藤が右のパンチを放ったところで、組み付くホジャー。コーナーへ押し込んでいく。しばらくコーナーを背に耐えた近藤だったが、ホジャーがテイクダウンに成功。サイドポジションへパス、近藤はブリッジで返そうとしたが、ホジャーはマウントを奪う。
両膝で近藤の脇を上げてパウンド、近藤がブリッジで返そうとするとすぐに上体を抑え込む。ホジャーは再び体を起こしてパンチ、そしてブリッジする近藤のバックへ回ってチョークスリーパーへ! しばらく耐えた近藤だったが、アゴをこじあけられてしっかりと腕が食い込み、タップするしかなかった。
「皆さんありがとう。今回が日本でのデビュー戦です。しかし、これが最後となることはないでしょう」と短いマイクアピールをしたホジャーに、吉田秀彦から花束が贈られた。近い将来での両雄の激突が期待されるところだ。
▼第6試合 ライトヘビー級 5分3R
○ケビン・ランデルマン(アメリカ/ハンマーハウス)92.9kg
判定 3−0
●川村 亮(日本/パンクラスism)92.9kg
UFC、PRIDEで活躍した“リアル・ドンキーコング”ことランデルマンが、2006年4月23日『PRIDE
GP 2006開幕戦』での中村和裕戦以来となる日本のリング(総合格闘技)に上がる。肺の破裂、感染症での大手術で生命の危機にすら直面したが、見事に復活を遂げた。対するはパンクラスのホープ川村亮。「ランデルマンがドンキーコングなら、自分はインパラ」とスピードで勝負することを宣言する。
リング中央で両者は激しく睨み合いを展開する。コーナーに戻った両者は、今にも飛び出しそうなほどの前傾姿勢で始まりのゴングを待つ。
1R、前へ出るランデルマンに川村はロープ際まで追い込まれる。ランデルマンが早い左フックからダイビングするようなタックル、あっという間にテイクダウンを奪った。バックを取るランデルマンに、川村はアームロックの体勢。しかし、ランデルマンは立ち上がろうとする川村のバックをキープし続ける。
コーナーで腕を抱えたまま立ち上がった川村だが、ランデルマンは持ち上げてテイクダウン。川村もまた立ち上がる。腕はまだアームロックの体勢に固めたままだ。ランデルマンは背後から顔面を狙ってパンチ。すると川村は前方回転から足関節へ!
体を捻って足を抜いたランデルマンは、再びバックへ回る。川村もアームロックの体勢へ。ブレイクとなる。早くも汗まみれのランデルマンへローキックを飛ばしていく川村。圧力をかけていくのは川村だが、手は出さず睨み合いのままラウンド終了。
2R、圧力をかけていくのは川村の方。両者はリング中央でグルグルと回る。ランデルマンが再びパンチからタックルに入ったが、川村はコーナーを背にしてテイクダウンを許さない。両脇を差して相手を突き放した川村が左ハイキックを放つと、ヒザがランデルマンの顔面にヒット。
川村のローキック、ランデルマンは下がっていく。タックルは川村があっさりとかわしてみせる。川村のインロー、ジリジリと圧力をかけるとランデルマンがどんどん下がっていく展開に。ここでレフェリーからランデルマンが消極性を注意される。
再開後、ランデルマンがいきなりタックル、テイクダウンしたが川村はすぐに立ち上がる。バックを奪うランデルマン、アームロックの体勢になる川村。一度離れて川村がハイキックを放ったが、これは空振りに。ランデルマンがすぐにバックを奪ったが、川村はやはりアームロックの体勢。
パンチで前に出る川村、ランデルマンもフックを放つ。どんどん前へ出つつ、右フックを振っていく川村。ランデルマンはダッキング、スウェーで下がりながら避ける。川村は前へ出てパンチを放ち、優勢な展開ではあるが、パンチはほとんど空を切った。
3R、リング中央で向かい合い、小さな円を描く両雄。ランデルマンの左ストレートに川村が右ボディストレートを合わせる。川村のローキック、右ハイキック。さらにワンツーで前へ出て行くとランデルマンがタックル、コーナーへ押し込んでいく。ガッチリと抱え込む川村、ブレイクに。
ランデルマンのジャブに川村が右ストレートを返し、ランデルマンのタックルはかわした川村が逆にタックルへ。しかし、ガブったランデルマンは顔面へヒザ蹴り、そのまま前へ出て川村の上のポジションを奪う。抑え込むランデルマン、川村は背中を見受けながら立ち上がり、気合いを入れてランデルマンを突き放す。
ランデルマンのジャブ、川村の右フック&ローキック。残り1分、川村のローにランデルマンが右フックを合わせ、川村の連打は空を切る。ランデルマンがタックル、バックを取るが川村はやはりアームロック。そして向き合ってパンチを連打して前へ出る!
川村のパンチはほとんど空を切ったが、ランデルマンは防戦一方となった。決着は今大会初の判定に委ねられた。判定は3−0でランデルマンの勝利。川村の攻勢を支持していた観客からは「えーっ!?」という声が起こった。
ランデルマンは川村に「ワンモアタイム」と再戦を約束。続いてマイクで、「アリガトウ、トーキョー! カムバックするために頑張って試合をしました。応援のEメールお願いします。今日は油断したら負けていました。それくら川村選手は強かったです。必ずもう一度闘います。ワンモアタイム! ワンモアタイム!」と、川村の善戦を称えてファンに再戦を約束した。
▼第5試合 ヘビー級 5分3R
○中尾“KISS”芳広(日本/TEAM TACKLER)104.0kg
TKO 2R0分46秒 ※右フック
●BIG・ジム・ヨーク(ニュージーランド/ファイブ・リングス・ドージョー)92.9kg
吉田秀彦、藤田和之の唇ならぬ首を狙って戦極初参戦を果たす中尾“KISS”。試合前のVTRでは、現在怒涛の9連勝中で3分以上かかった試合が一試合もないというヨークの写真を見て、「木っ端微塵にしてやる!」と意気込んだかと思えば、「でもけっこうイケメンだね」とキャラクター通りの発言。
中尾のセコンドには、テレビ中継の解説席を離れた高阪剛が就く。1R、中尾はサウスポースタイルからジャブ、前蹴り、ローキック。思い切った左フックで飛び込んでみるが、これはかわされる。
なかなか攻めてこないヨークに対し、中尾はノーガードになってお尻をフリフリ挑発する。中尾はタックルと見せて大振りの左フック。ヨークが近寄ってくるとロー、ミドルキック。ヨークもローを返すが当たらない。
中尾はタックルをフェイントにして何度もフックを放っていく。ヨークはこれに乗らず下がってかわしてローキック。ヨークが左右のフックで前へ出て行くと、中尾はミドルキックを当てて走って逃げる。
インターバル中にはリングサイドで試合を観戦する秋山成勲の姿が映る。2R、中尾は前蹴り、ローキック。ヨークが右フックを繰り出すと、待ってましたとばかりに中尾が片足タックル! テイクダウンすると慌てて逃げようと背中を見せて立ち上がるヨークだが、中尾はすぐに相手を離して右フック二連発!逃げようとしていたヨークは下がり際にフックをモロにもらい、バッタリ倒れる。そこへ追撃のパウンド! 中尾が鮮やかに復活勝利を決めた。
「中尾です、KISSです! 今日この舞台に辿り着くまでにいろんなことがありました。このリングで生涯闘っていきたいと思います。そして6・8、藤田選手、闘ってください! 戦極の皆様、ファンの皆様、このカードが組まれるようにお願いします」と、次回第三陣での藤田戦をアピールした。
▼第4試合 ウェルター級 5分3R
○ジョルジ・サンチアゴ(ブラジル/アメリカン・トップチーム)82.2kg
一本 3R2分10秒 ※腕ひしぎ十字固め
●佐々木有生(日本/GRABAKA)82.6kg
三崎和雄、郷野聡寛らを擁するGRABAKAから、PRIDE参戦経験もある佐々木有生が参戦。国内はもとより海外での試合経験も豊富なベテランが、戦極で一気に浮上するか?
その日本の名門所属選手と戦うのは、こちらもアメリカの名門アメリカン・トップチーム所属で“黄金のヒザを持つ男”サンチアゴだ。両者はアメリカの格闘技イベント『ストライクフォース』で対戦する予定だったこともあり、研究はバッチリだろう。
1R、左右の肩を振りながらジリジリと距離を詰めていくサンチアゴ、佐々木をコーナーやロープ際まで圧力をかけて追い込んでいく。
下がりながらローキックを放っていく佐々木だが、サンチアゴはしっかりとスネブロック。ならばと佐々木は左のミドルキックを連発していく。
前に出るサンチアゴに左ミドルを合わせる佐々木、サンチアゴは圧力をかけつつ右ストレート。左ハイキックを放ったところで、佐々木が蹴り足を掴んでテイクダウンに成功! バックへ回ってスリーパーホールドの体勢に入る!
が、サンチアゴは腕を外してローリングでトップポジションを奪い、強烈なパウンドを叩き込んでいく。
サンチアゴの両手首を掴み、クロスガードで抑え込む佐々木。サンチアゴは腕を引き抜くと右のパウンドを顔面、ボディへと連打する。サンチアゴはさらに左のヒジでレバーを叩き、顔面へパンチを放つ。ブレイク。
距離をとる佐々木は左ミドル、サンチアゴの左ハイキックをまたもかわしてテイクダウンを奪い、サイドポジションから腕ひしぎ十字固めにいったところで惜しくもゴング。
2R、肩を振りながら圧力をかけて前に出るサンチアゴ、右ストレートは空振り、佐々木が前に出てきたところへ左右のフックを繰り出すもやはり空を切る。サンチアゴは右ローキック、佐々木はアッパーのフェイントから左ミドル。
佐々木が組み付き、テイクダウンに行こうとしたが、佐々木だけが倒れてしまい引き込んだような形に。サンチアゴは強烈な右のパウンド、さらに踏み付け。佐々木はサンチアゴが乗って来た所で三角を狙ったが、サンチアゴは足を外してボディへヒジを見舞う。サンチアゴが立ち上がったところでブレイク。
佐々木が左ミドルでサンチアゴの前進を止める。するとサンチアゴが飛びヒザ蹴りの奇襲! そこから左右のフックだ。ところが佐々木がパンチで逆襲するとサンチアゴは打たれて下がり、苦し紛れにタックルに行く。
佐々木はこれを潰してバックからマウント、さらに肩固めから腕十字へ移行したが、またもここでゴング!
3R、前に出るサンチアゴを左ミドルでストップする佐々木。さらにワンツー。サンチアゴがローを蹴ってくると左右のアッパーを放つ。ローの蹴り合い、サンチアゴはジャブで佐々木をロープ際へ追い詰めて行くが、逆に佐々木のフックをもらう。
サンチアゴがパンチで来ると佐々木は組み付き、胴に腕を巻いてまたもテイクダウンに成功! しかし、ここでサンチアゴが下から電光石火の腕十字! スタンドでもグラウンドでも試合を優位に進めていた佐々木が、まさかの逆転勝ちを許してしまった。
「戦極で試合する機会を与えてくれてありがとう。これが僕の日本デビュー戦です。日本の素晴らしいストライカーと試合が出来て嬉しい。また戦極に戻ってきます!」と、サンチアゴはマイクで再来襲を誓った。
なお、休憩後に佐々木と同門の三崎和雄がリングに上がり、「佐々木が負けて本当に悔しい。サンチアゴと闘いたい」とリベンジをアピールした。
▼第3試合 ライト級 5分3R
○光岡映二(日本/和術慧舟會RJW)70.0kg
一本 1R4分15秒 ※チョークスリーパー
●イ・グァンヒ(韓国/Tuhon Jeongsim
Gym)69.8kg
あのヨアキム・ハンセンからも勝利を収めている光岡映二が、五味隆典の首を狙って戦極初参戦。対戦相手は五味と同じニックネームを持つ“韓国の火の玉ボーイ”グァンヒだ。
デビュー戦で負けた以外は5勝全てKO勝ちを収めているというグァンヒと、光岡の寝技が激突する。グァンヒは「五味よりも俺の方が強い」と試合前VTRで豪語。リングサイドではその五味が目を光らせている。
1R、ゴングが鳴ると両手を伸ばして握手を求めていくグァンヒ。しっかり握手をかわすとグァンヒはロー&ハイキック。サウスポーに構えてしっかり距離を保つ光岡は難なくかわす。ジリジリとタックルの距離に入っていく光岡を、グァンヒがハイキックで突き放していく。
再びジリジリと近寄っていく光岡、右フックを放ってタックルに行ったが、グァンヒはコーナーを背にして脇を差し、横へ回り込んで脱出する。
パンチで前に出ようとするグァンヒへ、光岡は片足タックルで今度はテイクダウンに成功。
光岡を抱え込むグァンヒだが、ハーフガードをパスされてマウントを奪われる。パンチを落としながらバックマウントを奪う光岡、後ろから殴りつつ、スリーパーホールドへ! グァンヒは為す術なくタップした。
「こんちは! 相手の打撃が上手いらしいんで、打撃から逃げ気味だったんですけど、作戦なんで。分かってくれました? 五味選手凄く強くて、僕もいつかはやりたい……とは思いませんけども、五味選手は強くて世界ナンバーワンであって欲しいんですが、僕も日本一と世界一を目指しているでやりたいんですけど、次とかその次はまだ早いんで、いつかお願いします!」と、かなり謙虚なマイクアピール。リングサイドでこれを聞いていた五味も爆笑していた。
▼第2試合 ウェルター級 5分3R
○マイク・パイル(アメリカ/エクストリーム・クートゥア・ジム)76.2kg
一本 1R4分52秒 ※三角絞め
●ダン・ホールバックル(アメリカ/McVicker’s
Martial Arts Academy)75.8kg
元WECウェルター級王者で、“クイックサンド”(流砂)と異名をとるほどの素早い仕掛けのサブミッション(関節技)を得意とし、過去15勝の内12勝が一本勝ちだというマイク。師匠は“MMA(総合格闘技)の鉄人”と呼ばれるランディ・クートゥアーである。
対するモヒカン頭がトレードマークのダンはデビューから15勝1敗の好成績、常に試合の主導権を握っていることから“ハンドラー”(調教師)の異名を持つ。
マイクが計量を200グラムオーバーし、減点1からの試合スタートとなった。
1R、サウスポーのダンが先制のローキック、組み付いてヒザ蹴りに行くとマイクは胴タックルからテイクダウンする。ダンが下から三角絞めを仕掛けるが、マイクは立ち上がって足を外し、パウンドを落とす。
足を利かして立ち上がろうとするダンに、マイクはバックへ回って顔面にパンチを見舞う。立ち上がるダン、逆にマイクをテイクダウンしてパウンドに行くが、今度はマイクが下からの三角絞めを狙う。ダンが立ち上がったところでブレイク。
ダンはパンチから組み付いてのヒザ蹴り、マイクが双差ししてくるとダンはコーナーへ押し込んでいき、ボディへパンチを見舞う。しかし、これもブレイク。
胴タックルに行ったマイクを受け止め、ヒザ蹴りを見舞って突き放すダン。ところが、逆にマイクがヒザ蹴りからパンチ、さらに首相撲からのヒザを見舞うと、ダンは一方的にヒザを蹴られてしまう。
マイクの右フックがヒットし、再び首相撲からのヒザ蹴りに行くと、苦しいダンはタックルに行ってマイクをロープの外にまで押し出す。
ダンのミドルキックをキャッチしてすぐにヒザ蹴り、ダンがテイクダウンしてきたところでマイクは素早く下からの三角絞め! ダンはたまらずタップ! マイクは笑顔で勝利をアピールした。
▼第1試合 ライト級 5分3R
○北岡 悟(日本/パンクラスism)70.0kg
一本 1R0分50秒 ※フロントチョーク
●イアン・シャファー(オーストラリア/チーム・シャファー)69.9kg
『戦極』第二陣の幕を開けるのは、パンクラス中量級のエース北岡。今回の試合に備えてアマチュア大会に二連続出場し、関節技の“試し切り”を終えている。対するはK-1&HERO'Sで活躍し、K-1ルールでは須藤元気をKO、山本“KID”徳郁と対戦したこともあるシャファーだ。総合ルールは1年7ヵ月ぶりだという。
北岡は戦極のナレーションを務めている池田秀一さん(機動戦士ガンダムのシャアの声優)へのオマージュか、劇場版ガンダム「哀戦士編」の主題歌「哀
戦士」の曲で入場した。リング中央ではシャファーと真正面から睨み合う。
1R、サウスポーに構えた北岡はステップを踏みながらシャファーに近付いていく。シャファーはガードを落とした構えで同じようにステップを踏み、回り込んでいく。
シャファーがロープを背負ったところで、北岡が両足タックル! シャファーはガブってこのタックルを切り、ロープを背にして立ち上がる。
すると北岡は両腕をかんぬきに決めてスープレックス気味に投げ、得意のフロントチョーク! 両足でシャファーの両足を挟み込んで動きを止め、暴れて逃げようとするシャファーを絞め上げる! するとシャファーがタップ! 北岡が強豪シャファーから秒殺一本勝ちを飾った。
「始めまして。北岡悟です。マイクを持つつもりなかったんですけど、何を言おうかな…。これデビュー戦みたいなものなので、ぼくは格闘技を生業にしていくので名前を覚えてもらってよろしくお願いしますって感じです。戦極もパンクラスも総合格闘技サイコーです!」とマイクアピール、秒殺の興奮冷めやらぬファンの喝采を浴びた。
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