↑(左から)準優勝ザハリ・ダミヤノフ、初優勝の谷口誠、第3位の田中健太郎
国際空手道連盟極真会館
「第40回オープントーナメント全日本空手道選手権大会」
2008年11月2日(日)東京体育館
開場10:00 開会式11:30 開始12:10
▼決勝戦
○谷口 誠(鹿児島支部/第24回全日本ウェイト制重量級優勝)
判定5−0
●ザハリ・ダミヤノフ(ブルガリア/第9回全世界ベスト16)
記念すべき40回目の全日本大会は、『第8回全世界大会』で優勝した木山仁の後輩であり、『第24回全日本ウェイト制大会』重量級王者の谷口と、『オールアメリカン大会2008』優勝者で昨年の『第9回全世界大会』でベスト16のダミヤノフによって争われることとなった。
外国人選手が全日本大会の決勝戦に進出したのは、第4回のハワード・コリンズ、第28回&29回のギャリー・オニール、そして一昨年の第38回でのアルトゥール・ホヴァニシアンに続き、史上4人目。全日本の王座は2年連続で海外流出のピンチを迎えた。
オーソドックスに構えた谷口が右ロー、突いてくるダミヤノフに左下段から右下段廻し蹴り。足を引いて蹴りを避けるダミヤノフ。露骨に下段を嫌がっている。恐怖の飛び膝蹴りをかわした谷口が足を払ってコカす。
谷口は右下段廻し蹴りの4連打! 下がるダミヤノフへさらに右下段廻し蹴りを追撃連打していく! 下がり続けるダミヤノフは突きを出すが、谷口が押していって右下段廻し蹴り。さらに右下段を4連打。左下段廻し蹴りはダミヤノフが足を引いて避けるが、谷口は右下段から左下段廻し蹴りへ繋げる。
ついに胸を合わせる距離になってしまったダミヤノフ。谷口は右下段廻し蹴りの三連発から二連発、苦しいダミヤノフは掴みで注意をとられてしまう。右下段廻し蹴りで突進する谷口、ダミヤノフも突きで応戦するが、谷口は構わず下段を連打! ダミヤノフは逆転を狙って掛けから上段膝蹴りを狙ったが不発に。白い旗が5本挙がり、谷口が初優勝を飾った。
▼準決勝 C・Dブロック
○ザハリ・ダミヤノフ(ブルガリア/第9回全世界ベスト16)
判定5−0 ※右上段膝蹴りで技あり
●田中健太郎(川崎中原支部/第36回全日本優勝)
ダミヤノフが突きで前へ出て左上段膝蹴り、突きから右上段廻し蹴り。田中は突きを返すも、ダミヤノフが突きでラッシュをかけて田中を下がらせ、場外ラインギリギリのところで右上段ヒザ蹴り! この一発で田中が倒れる! 技あり!
さらに突きと膝蹴りで押していくダミヤノフ、場外間際で左の飛び膝蹴り。左下段廻し蹴りで応戦する田中、ダミヤノフは身を躍らせてパンチで前に出るが、田中の下段が確実に効いている。
突きでどんどん前へ出て行くダミヤノフは膝蹴りに繋げる。田中は右下段廻しを蹴り続け、ダミヤノフはパンチで押していく。田中の下段を嫌がるダミヤノフは両足を引いて蹴りをかわし、突きで前に出る。田中は技ありを奪い返すことが出来ず、ついに準決勝で敗退。判定5-0でダミヤノフが決勝へ進出した。
▼準決勝 A・Bブロック
○谷口 誠(鹿児島支部/第24回全日本ウェイト制重量級優勝)
判定5−0
●木立裕之(本部直轄浅草道場/第8回全世界8位)
サウスポーの谷口がジリジリと近寄って左下段廻し蹴り、木立はステップを使って距離を取る。回り込みながら突きで入っていく木立を突きと前蹴りで迎え撃つ谷口。内股への下段から上段廻し蹴りへ繋げる。
木立の後ろ廻し蹴りをかわし、内股への下段から右下段廻し蹴り。木立が突きで来るところに右下段廻し蹴りを合わせる。谷口が右の下突きから右下段廻し蹴り、木立の突きには膝蹴りで応戦、木立が突きを連打してくると内股への下段で崩す。
ステップで距離を取る木立に近付いていった谷口は突きと内股への下段、離れ際にも左下段廻し蹴り。どんどん追い詰めて行く谷口は突きと右中段廻し蹴り。突きから左下段廻し蹴りのコンビネーションで木立を場外へ追い出す。
突きでラッシュを掛ける谷口が押していく! その優勢のまま試合終了。判定5-0で谷口が圧勝したが、奮闘した木立にも惜しみない拍手が送られた。
▼準々決勝 Dブロック
○田中健太郎(川崎中原支部/第36回全日本優勝)
延長1回 判定5−0
●森善十朗(東京城西支部/第23回全日本ウェイト制中量級優勝)
3回戦で『第36回全日本大会』準優勝の徳田忠邦を、4回戦では『第9回全世界大会』ベスト16のゴテルジ・カパナーゼを体重判定で連破した森が、内田と並ぶ日本のエース田中と準々決勝で拳を交えた。田中は3回戦で正道会館の外岡真徳と対戦し、本戦は有利に進めるも再延長戦では外岡に旗が2本上がり、あわやの大ピンチを試割り僅か1枚差で退けている。4回戦ではロシアのニコライ・ダビドフを延長戦で降したが、苦しい闘いが続く。
ステップを使って距離を取る森を田中はジリジリと追い詰めていく。森はその場でピョンピョンと飛び跳ねて威嚇。間合いを詰めていく田中は左下段廻し蹴り、森は田中が突いて来ると右上段廻し蹴りを返す。
田中の右下段廻し蹴りに、森は声を出して気合いを入れながら突きを繰り出し、すぐに離れる。それを追って行く田中、ステップを使って離れる森。前進して突きから下段で攻める森に、田中は右下段廻し蹴りを狙い撃ち。森は接近すると飛び後ろ廻し蹴りの大技を放つ。田中が前へ出て来るところには左中段廻し蹴りを合わせる
田中は突きから内股への下段、森もすぐに同じ技で打ち返す。前へ出る森は突きの連打。前へ出て突いてくる田中を、下段廻し蹴りと突きで迎え撃つ森。打ち合いとなって試合終了、旗判定は田中に1本上がったが、延長戦へ突入する。
延長戦が始まると森はいきなり飛び蹴り、そして離れる森を田中はジリジリと追って行く。田中の右上段廻し蹴りをかわした森は、胴廻し回転蹴りを放つも不発。ステップを使って離れようとした森を、田中は左足払いで転倒させる。
印象が悪くなったと思ったか、森はすぐに打ち合いに転じたが、田中の左下段廻し蹴りに大きく体が揺らぐ。ストレートの突きで前へ出る田中。そして右下段廻し蹴りで森を大きくグラつかせたところで試合終了。田中が判定5−0で準決勝進出を決めた。
▼準々決勝 Cブロック
○ザハリ・ダミヤノフ(ブルガリア/第9回全世界ベスト16)
一本勝ち 41秒 ※左上段膝蹴り
●村田達也(埼玉県西支部/第9回全世界8位)
昨年の『第9回全世界大会』で日本人唯一のベスト8入りを果たした村田。準々決勝で対するのは、その世界大会で日本のエース内田義晃を破ってベスト16に進出したダミヤノフだ。ダミヤノフは今年の『第25回全日本ウェイト制大会』重量級にも出場し、赤石誠に試割り判定で敗れて準優勝、その3ヵ月後には『オールアメリカン大会』でブラジル勢を退けて初優勝を果たしている脅威の22歳。
突きから下段廻し蹴りで前に出る村田、ダミヤノフの下段には軸足蹴りを合わせる。その村田を逆に左下段廻し蹴りで転倒させるダミヤノフ。
村田は突きの連打で前に出るが、ダミヤノフも突きで押し返し、右から左の下突きで動きが止まった村田へ左上段膝蹴りを突き上げた! 前のめりに直立不動の体勢のまま倒れる村田! 足が痙攣する戦慄の一本勝ちで、ダミヤノフが準決勝へ駒を進めた。
▼準々決勝 Bブロック
○谷口 誠(鹿児島支部/第24回全日本ウェイト制重量級優勝)
判定5−0
●イゴール・ティトゥコフ(ロシア)
4回戦で昨年の『第9回全世界大会』5位入賞者アンドレイ・ステピンを再延長戦の末に降した谷口が、準々決勝で同じくロシアのティトゥコフを迎え撃った。ティトゥコフは4回戦で第23〜25回全日本ウェイト制三連覇を達成した鈴木雄三を、延長戦で右上段膝蹴りによりマットに沈めている。
ティトゥコフの踵落としをかわした谷口は左下段廻し蹴り。その後も左下段廻し蹴りを狙い撃ちする。ティトゥコフが突きで来るところと打ち終わりで下がるところの両方で左下段廻し蹴りを的確に当てていく。
ティトゥコフは突きを中心に踵落としも放つが、谷口は下がらず右下段を振ってから左下段廻し蹴り。さらに内股への下段蹴りで押し込んでいく。
左下段廻し蹴りに苦しむティトゥコフは後ろ廻し蹴りを繰り出し、突きで押そうとしたが、谷口は下がらず下段を蹴り続けた。逆転を狙ったティトゥコフの胴廻し回転蹴りは不発に終わり、谷口が本戦5−0で勝利を収めた。
▼準々決勝 Aブロック
○木立裕之(本部直轄浅草道場/第8回全世界8位)
延長1回 判定5−0
●赤石 誠(総本部/第25回全日本ウェイト制重量級優勝)
4回戦で超ベテランの市村直樹を破った今年の『第25回全日本ウェイト制大会』重量級覇者の赤石。対するは4回戦で、昨年の『第9回全世界大会』においてあのレチ・クルバノフに一本勝ちしてベスト16に入ったイリヤ・カルペンコを延長3回の死闘の末に退けた木立。赤石にとってはベテラン勢との二連戦となる。
突きで前に出る木立に赤石は下がりながら右下段廻し蹴り。両者共に間合いをとり、木立が入ってくるところに膝蹴りを合わせる赤石。木立の入り際に左中段廻し蹴りを合わせた赤石は、さらに木立が入って来るところへ左上段膝蹴りで迎え撃つ。
離れてはリーチ差があって不利(赤石187cm、木立169cm)と見たか、木立は胸を付けるような接近戦から突きに行くも、赤石は回り込んで右下段廻し蹴り、さらに距離をとって右下段廻し蹴り。木立が下突きを打って下がるところには右下段廻し蹴りと膝蹴り。
膝蹴りで前に出る赤石は機敏に動いて木立を逃さず、膝蹴りの連打。離れると右下段廻し蹴り。赤石の左上段膝蹴りがかすめたところで試合終了となり、旗判定は赤石に1本上がったが、判定1−0で延長戦へ。
木立は接近して左下突きの連打、赤石も足を止めたため突きの応酬になる。正面から突きで勝負する木立に赤石が突きと膝蹴り。木立は左の突きを伸ばして入り込み、赤石が膝蹴りで迎え撃つ。
しかし、ここへ来て赤石の動きが鈍くなり、木立が突きを打って前に出る。赤石は膝蹴りで反撃も、木立の突きの回転力がさらに上がり、押されていく。最後まで突きを打ち込んでいった木立が、判定5−0で勝利した。
RESULT
優 勝 谷口 誠(鹿児島支部/178cm/100kg/31歳)
準優勝 ザハリ・ダミヤノフ(ブルガリア/182cm/100kg/22歳)
第3位 田中健太郎(川崎中原支部/180cm/91kg/27歳)
第4位 木立裕之(本部直轄浅草道場/169cm/80kg/36歳)
第5位 村田達也(埼玉県西支部/172cm/82kg/26歳)
第6位 赤石 誠(総本部/187cm/93kg/27歳)
第7位 イゴール・ティトゥコフ(ロシア/25歳)
第8位 森善十朗(東京城西支部/174cm/78kg/23歳)
敢闘賞 ザハリ・ダミヤノフ(ブルガリア/28歳)、イゴール・ティトゥコフ(ロシア/173cm/85kg/25歳)
試割賞 ヌルマガメド・マメドフ(ロシア/180cm/85kg/28歳)=29枚
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