▲(写真左より)兄・島本一ニ三(=かずふみ)と弟・雄二が全日本ウエイト制大会で初の兄弟優勝を果たし、世界大会の日本代表選手に選ばれた(=29日)
新極真会の全日本ウエイト制空手道選手権大会の最終日が29日(日)行われ、男子中量級では兄の島本一ニ三(=かずふみ)が、男子重量級では弟の雄二が揃って優勝し、今大会初の兄弟優勝し、今年10月に行われる世界大会の日本代表選手に選ばれた。
また、男子中量級で準優勝だった加藤大喜と女子軽量級で優勝した加藤小也香(=さやか)も兄弟で日本代表の切符を手にした。和歌山の前田兄弟も兄弟選抜に期待された。しかし、男子中量級に出場した弟の勝汰は準々決勝敗退、惜しくも世界選抜には選ばれなかったが、兄の優輝は、男子軽量級で19歳ながらこの階級で見事三連覇を達成した。
前田優輝は、高校時代からこの大会で優勝し続けている逸材で、空手界の石川遼とも言われ、今大会ではポスターや大会パンフレットの表紙まで飾った。彼もまた10月の世界大会に挑む。
▼男子軽量級決勝
○前田優輝(新極真会 和歌山支部)
最終延長判定 4−1
●山野翔平(新極真会 福岡支部)
山野は準決勝で緑強志との福岡支部同門対決を制し決勝に進み、何としても福岡支部の選手が優勝し緑からもらったバトンを生かしたいところ。
一方三連覇をかける前田(写真・右)は4回戦で、高橋一能(西山道場)に本戦引き分け、延長戦2回の末判定勝ち、そして準々決勝で白蓮会館全日本軽量級王者の福地勇人(淑徳巣 鴨高校)を延長3回目の最終延長の末、判定勝ちと、新極真の看板を背負い、険しいトーナメントを登りここまで来た。
決勝では山野はボディに突き、ヒザを細かくまとめながら上段廻し蹴り、後ろ回し蹴りにつなげる。対する前田は接近してパンチの連打から思い切りのいい下段回し蹴りを体全体の力を使って放つ。本戦3分で決着がつかず、延長戦を2回戦い、それでも決着がつかない場合は体重判定(軽量・中量級は5キロ以上体重が重いほうが負け)だが、それでも差がなく、試合は最終延長へ(引き分けは無し。どちらかに必ず旗を上げるマスト判定制)。
最終延長では前田も飛び蹴り、後ろ回し蹴りなどを出し、お互い大技の連発となったが、山野が試合中に掌底(手のひら)で相手を一瞬押しでしまい、掌底押しで反則「注意1」が響き、マスト判定は4−1で前田が勝利し、三連覇を飾った。
前田は優勝の喜びを「山本健策師範の三連覇と並べて光栄。試合で体のあちこちにダメージがあるけど勝ちたい気持ちが体を動かしてくれた」と語った。
▼男子中量級 決勝
○島本一ニ三(=かずふみ・新極真会 広島支部)
最終延長4−1
●加藤大喜(新極真会 愛知山本道場)
加藤は2回戦と3回戦に上段回し蹴りによる秒殺での1本勝ちで、3回戦の選手はダウン後起き上がれず担架で運ばれてしまうほどの破壊力!4回戦は一昨年、この階級を制している吉田富和(新極真会 沖縄吉田道場)を相手に延長戦開始22秒で後ろ蹴りを吉田のレバーに当てダウンを奪い一本勝ちで勝利。この恐るべき蹴りの名手に連覇を狙う島本(写真・右)はどう戦うか!
決勝戦、島本は加藤の上段を警戒してか距離を潰し、圧力をかけ突きと下段蹴りの中心に組み立てる。対する加藤も接近戦に付き合い、突きと膝蹴りで応戦し、時折距離をあけ上段廻し蹴りにつなげるも島本はしっかりガード。その展開で延長戦に突入し、延長2回目、島本の下段回し蹴りで、ダメージからか加藤が一瞬顔をしかめる場面も。
判定は1-0で島本も旗が3本以上ないので引き分け。体重判定でも決着がつかず、最終延長へ。島本は下段回し蹴りを蹴り続け加藤も突きの連打と上段を出し続けるが、徐々に足にダメージが蓄積していき、判定は4-1の僅差で島本が二連覇を飾った。
▼男子重量級 決勝
○島本雄ニ(新極真会 広島支部)
本戦判定5−0
●渡辺大士(新極真会 福岡支部)
渡辺は多彩な技の選手だが特に今回は右下段回し蹴りの強さが際立ち、準々決勝で一昨年のこの大会チャンピオンで、同年、秋の無差別も制している山田を延長2回3-0の僅差で下した。
準決勝では、3年前秋の無差別全日本大会準優勝している逢坂祐一郎(新極真 徳島西南支部)相手に右下段廻し蹴りで足を効かせ本戦5-0の判定で勝利し決勝に挑む。
一方、島本(写真・右)は準決勝で青柳茂瑠(新極真 福岡支部)と対戦。青柳は一昨年、この大会で準優勝し、同年、秋の無差別全日本大会でも準優勝している強豪だが、島本は得意の前蹴りを連打し青柳を追い詰め、本戦5-0の判定で勝ち進んだ。
決勝戦では開始早々、渡辺が積極的に前に出るが、島本は渡辺に下段回し蹴りを集中させる。徐々に効き始め、後半渡辺が足を引きずりはじめ足が上がらない状態に。渡辺は腕にもダメージを負い、島本のボディへの突きもガードできない。それでも得意の右下段廻し蹴りを時折島本に返すも、終盤、島本はボディと下段に攻撃を集中すると、渡辺はただ打たれながら必死に耐えるのみ。本戦判定5-0で完勝し、初優勝で、今大会初の兄弟ダブル優勝が実現した。
▼女子軽量級 決勝
○加藤小也香(新極真会 愛知山本道場)
本戦判定3−0
●砂川久美子(新極真会 お茶の水道場)
4年前の世界大会ではベスト8に入賞したベテラン砂川に対し、17歳の加藤は臆せず前に出て積極的に攻撃を仕掛ける。砂川も技を捌いてうまく回り込みながら突きと下段廻し蹴りで応戦するも終盤、若干加藤の前蹴りに押されたかに見えた砂川。判定は3-0の僅差で加藤に。加藤は軽量級三連覇を飾った。
▼女子中量級 決勝
○横山紀子(新極真会 和歌山支部)
最終延長5−0
●木村敬代(渡邊道場)
一昨年、この階級を制している木村ここまで女性離れした鋭い下段廻し蹴りを武器に勝ち進んできた。決勝の横山戦も同様に積極的に突きと下段廻し蹴りのコンビネーションで前に出る。横山はリーチのある足で木村のボディに前蹴り、膝蹴りを入れていく。勝負は延長2回、体重判定でも決着がつかず、最終延長へ。最終延長でも互角ではあったが、試合中、木村は掌底押しで反則「注意1」が与えられる。それが最終延長のマスト判定に響き、結果は判定5-0で横山の勝利。初優勝を飾った。
▼女子重量級 決勝
○将口恵美(新極真会 愛知山本道場)
本戦判定5−0
●篠原葉子(新極真会 高知支部)
秋の無差別全日本では2度、体重別のこの大会では3度優勝し、もはや優勝の常連の将口、対する決勝進出を果たした篠原は、17歳と若くスタミナがあり、更に163センチ75キロと恵まれた体格を生かしたパワーファイターである。試合は篠原が突進し、圧力をかけ重い突き、蹴りで前に出て行くのに対し、一回り小さい将口は篠原の周りをまわりながら突き蹴りを連打。
始終やまない将口の攻撃と、常にまわり込む動きで篠原は将口に強い攻撃をまともに当てられず、パワーは封じられ、本戦判定5-0で将口がこの大会4度目の優勝を果たした。将口は昨年秋の無差別全日本に優勝し、世界大会の切符をすでに獲得していたため、敗れた篠原が繰り上げで日本代表に選ばれた。篠原はそのパワーで世界の大型外国人にどう挑むか期待される。
全世界空手道連盟 新極真会
「骨髄バンクチャリティ
第28回オープントーナメント全日本ウエイト制空手道選手権大会・2日目 最終日」
2011年5月29日(日)大阪府立体育会館
開場10:00 開会式11:00
<各階級の入賞者>
男子軽量級
優勝 前田優輝(新極真会 和歌山支部)
準優勝 山野翔平(新極真会 福岡支部)
第3位 緑強志(新極真会 福岡支部)
第4位 阿部哲也(新極真会 北海道支部外館道場)
男子中量級
優勝
島本一二三(新極真会 広島支部)
準優勝 加藤大喜(新極真会 愛知山本道場)
第3位 長野義徳(新極真会 兵庫中央支部)
第4位 大下郁真(新極真会 広島支部)
男子重量級
優勝 島本雄二(新極真会 広島支部)
準優勝 渡辺大士(新極真会 福岡支部)
第3位 青蝟ホ瑠(新極真会 福岡支部)
第4位 逢坂祐一郎(新極真会 徳島西南支部)
女子軽量級
優勝 加藤小也香(新極真会 愛知山本道場)
準優勝 砂川久美子(新極真会 お茶の水道場)
女子中量級
優勝 横山紀子(新極真会 和歌山支部)
女子重量級
優勝 将口恵美(新極真会 愛知山本道場)
<決定した世界大会における日本代表選手>
第10回全世界空手道選手権大会
2011年10月22〜23日 東京体育館
男子
2010年 第42回全日本空手道選手権大会 選抜において決定した4名
塚本徳臣 村山努 森健太 塚越孝行
2011年 第28回全日本ウエイト制空手道選手権大会 選抜において決定した7名
島本雄二 渡辺大士 青蝟ホ瑠 逢坂祐一郎 島本一二三 加藤大喜 前田優輝
推薦選手
山田一仁 落合光星 野本尚裕 水野暁記 河鰭郁也
女子
2010年 第42回全日本空手道選手権大会 選抜において決定した2名
将口恵美 佐藤弥沙希
2011年 第28回全日本ウエイト制空手道選手権大会 選抜において決定した3名
篠原葉子 横山紀子 加藤小也香
推薦選手
長谷川真美 砂川久美子 落合玲菜
GBRの「新極真会」特集
動画による山本健策の一撃ヒザ蹴り講座・鈴木国博の中段廻し蹴り講座、前田優輝&青蝟ホ瑠インタビューなど
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