ZUFFA
「UFC 110」
2010年2月20日(現地時間)オーストラリア・ニューサウスウェールズ州
シドニーエイサーアリーナ
▼第9試合 ヘビー級 5分3R
○ケイン・ベラスケス(アメリカ/アメリカン・キックボクシング・アカデミー)
KO 1R2分20秒 ※パウンド
●アントニオ・ホドリゴ・ノゲイラ(ブラジル/チーム・ノゲイラ)
ノゲイラに挑むはUFC&UFN5戦全勝のベラスケス。MMA(総合格闘技)戦績も7戦全勝の27歳。ノゲイラは3勝1敗の33歳。ベラスケスの実力が試される一戦だ。
1R、いきなりパンチの打ち合いとなり、ローとミドルの蹴り合い。ベラスケスの左ハイキック! ノゲイラもパンチを合わせる。ノゲイラがパンチを打つと、ベラスケスは4連打! パンチから右ローにつなげるベラスケスは、左ハイキックも放つ。
パンチからロー、そして前蹴りで距離を作るベラスケス。ノゲイラが右を伸ばすとベラスケスが左フック! 続くノゲイラの左フックに右アッパーのカウンター! そしてダメ押しの左フック! 倒れたノゲイラにパウンドの連打! ベラスケスが衝撃的なKOでノゲイラから勝利を奪った。
「立ち技に限らずどこでも闘おうと思っていた。テイクダウンされないようにバランスに気をつけていた。集中を保ってどんなポジションでも有利に立とうと思っていた」とベラスケス。
ノゲイラは「ガッカリしています。彼のパンチは凄かった。どんどん前に出てくるし、昇り竜と言っていい。彼はヘビー級のトップ選手だ」とベラスケスを賞賛した。
▼第8試合 ミドル級 5分3R
○ヴァンダレイ・シウバ(ブラジル)
判定3-0 ※三者とも29-28
●マイケル・ビスピン(イギリス/ザ・ウルフズレア・アカデミー)
いよいよシウバが登場。2007年のUFC本格参戦から1勝3敗と戦績は冴えないが、大人気を誇る。セコンドにはかつてシュートボクセ時代のコーチだったハファエル・コルディロがつく。今回は初のミドル級挑戦だ。対するビスピンはラシャード・エバンス、ダン・ヘンダーソンには敗れたが8勝2敗の好成績。この試合の勝者は次回に秋山成勲との対戦が噂されている。
1R、まずはジャブの突き合いとローの蹴り合い。シウバが左ハイキックから右ロー、ビスピンがジャブでシウバのパンチを誘い、そこへタックル。シウバはすぐに立ち上がり、ビスピンが立ち上がり際にヒザ蹴り。
ビスピンのよく伸びる右ストレートからタックル、立ち上がるシウバにパンチを連打する。圧力をかけていくシウバだが、ビスピンよく伸びる右ストレートが入る。シウバも右ストレート、ローにはビスピンが右ストレートを合わせる。追い詰めて行くシウバが連打を仕掛けるが、ビスピンの右フックでシウバが後退。前へ出るシウバだが、接近するとビスピンが首相撲になってヒザを入れ、すぐに離れる。
ビスピンが2度のタックル、シウバはしっかりと切ってグッと圧力をかけて前へ出ると、左フックがヒット! 一気にパンチでラッシュをかけるシウバ、下がるビスピン。しかし、ここで初回終了。
2R、圧力をかけるシウバが左ロー、ビスピンのパンチをかわしながら左ロー。ビスピンのミドルをキャッチして軸足を払い、上になったシウバがパウンド。ビスピンも下からの腕十字を狙うが、シウバはパウンドで防ぐ。立ち上がり際にシウバが蹴りを見舞い、スタンドに戻ると左インロー。左フックも繰り出す。ビスピンがタックルに入って持ち上げ、テイクダウン。しかし、シウバはすぐに立ち上がる。
ジャブで牽制するビスピンにシウバは大振りの右フック。シウバは左インロー、左ミドルを放ちながら圧力をかけて前へ出る。シウバの左フックでビスピンのマウスピースが飛び出す。その直後、ビスピンがタックルに入るとシウバがフロントチョーク! ガッチリ極まったかに見え、シウバの全身に力が漲るが、ここで2R終了! シウバはまたもチャンスを逃した。
3R、左インローを連発するシウバは下がって回り込む。ビスピンが右ストレートを放ってくると左フックを合わせていく。シウバの右ストレート、ビスピンも右フックを返す。ビスピンのローが急所に入ると場内からは大ブーイング。シウバの人気の高さがうかがえる。
再開後、また圧力をかけて前に出るシウバは左ローと左右のフック。ビスピンのタックルを切って右フック。場内から「シウバ」コールが起こると、両手を広げて煽る余裕。頭を振りながらビスピンのパンチをよけ、左フックを放っていくシウバだが、ビスピンの伸ばした手の親指がサミングになってしまい、再び中断。
前に出るシウバの右ストレートがヒット! 一気にラッシュをかけるシウバ! ビスピンのミドルをキャッチして軸足を蹴って転倒させる。残り30秒、左右フックを繰り出して前に出るシウバに、ビスピンはワンツー。残り時間僅かでシウバがラッシュを仕掛け、金網際まで追い込んでの右フックでビスピンがダウン! 思わずサッカーボールキックに行きそうになったシウバだが、すぐにパウンド。
判定はジャッジ3者とも29−28でシウバの勝利! 場内も大歓声でシウバの勝利を称えた。「誰でも人生で調子の悪い時はある。だけど神様と自分を信じてやれば大丈夫だ。シドニーの皆さん、ありがとう! 故郷にいるように応援してくれて嬉しかった」とメッセージを送ったシウバ。場内は再び大歓声。
敗れたビスピンも「ヴァンダレイと闘えたのは光栄だ。彼はリスペクトするしかないよ。イギリスの皆さん、勝てなくて申し訳ない。また頑張ります。ヴァンダレイにも感謝します」とシウバを称えた。
▼第7試合 ライト級 5分3R
○ジョージ・ソティロポウロス(アメリカ)
判定3-0 ※三者とも30-27
●ジョー・スティーヴンソン(オーストラリア)
2006年にイーブス・エドワースと三島☆ド根性ノ助を破り、2008年にはBJペンのライト級王座にも挑戦経験のあるスティーヴンソン。27歳ながら36勝10敗の戦績を誇る。対する地元出身のソティロポウロスはTUF&UFN&UFはCで4連勝中。かつては日本でエンセン井上の元で練習し、修斗で青木真也と対戦したこともある。ソティロポウロスには大声援、スティーヴンソンにはブーイング。
1R、両者ともクラウチングスタイルからパンチを繰り出し、アグレッシブな打ち合い。ソティロポウロスがタックルに行き、スティーヴンソンはガッチリと受け止めて耐えたが、ソティロポウロスがテイクダウンに成功。ソティロポウロスは首に腕を巻きつつ、パスガードを狙う。
ハーフガードで両足を巻きつけ、胴体に両腕を回してロックするスティーヴンソン。頭を股の間に入れてバックを狙って行くスティーヴンソンだが、ソティロポウロス素早く上に。スティーヴンソンは下から蹴り上げ、ソティロポウロスは喰らいながらもパスガード。するとスティーヴィンソンが下からアナコンダチョーク! それをかわしたソティロポウロスがヒジ! めまぐるしく動く試合展開に場内は大きく沸く!
ソティロポウロスがアームロックから腕十字、スティーヴンソンはこれに耐える。両者グラウンドで動き続けるスピーディーな攻防であっという間に初回が終了した。
2R、打ち合いの中でソティロポウロスの左ストレート、ガクッと腰を落とすスティーヴンソンだが、すぐに立て直す。場内は「ジョージ! ジョージ!」の大合唱。ソティロポウロスのワンツー、真っ直ぐ伸びた右ストレートがヒットする。スティーヴンソンは飛び込み様のフックを連発するが、ソティロポウロスが繰り出すストレート系パンチの方が当たる。
そこでスティーヴンソンがタックルでテイクダウン、ソティロポウロスはオモプラッタ。スティーヴンソンは身体が返らないように耐えたが、ソティロポウロスはバックを奪うのに成功する。しかし、スティーヴンソンはすぐに上になり、金網に押し込みながらパンチ。するとソティロポウロスが下からの腕十字!
腕を抜いたスティーヴンソンはアキレス腱固め! ソティロポウロスは立ち上がって上になる。そしてスピニングチョークを仕掛けるが、ここで第2ラウンドが終了! スピーディーでテクニカルな熱戦に場内は総立ちの大盛り上がり。
3R、ワンツーで前に出て行くソティロポウロスのパンチがヒット、スティーヴンソンのローをキャッチしてグラウンドに引きずり込むが、スティーヴンソンはすぐにタックル。ソティロポウロスはたすき掛けに捕らえ、テイクダウンするがスティーヴンソンは立ち上がる。
離れて再びパンチで打ち合う両者、ソティロポウロスのワンツーの右ストレートがクリーンヒットし、スティーヴンソンが怯む。タックルに行くスティーヴンソンだが、これも切られてしまう。が、諦めずに押し込んでいったスティーヴンソンがテイクダウンに成功、上体を捻って上になり、クロスガードのソティロポウロスにヒジ! ソティロポウロスは下から蹴り上げて足関節を取りに行く。
場内総立ちの熱戦はジャッジ三者とも30−27でソティロポウロス! 地元選手の勝利に場内は大騒ぎだ。UFCライト級戦線に新たなる強豪が名乗りを挙げた。
▼第6試合 ライトヘビー級 5分3R
○ライアン・ベイダー(アメリカ)
TKO 3R2分10秒 ※左フック
●キース・ジャーディン(アメリカ/ジャクソンズ・サブミッション・ファイティング)
TUF(ジ・アルティメット・ファイター)、UFN(アルティメット・ファイト・ナイト)、UFC104と三連勝を収めて今回の試合に臨む26歳のベイダー。MMA(総合格闘技)戦績もここまで11戦全勝だ。それとは対照的にジャーディンはクイントン“ランペイジ”ジャクソン、チアゴ・シウバに2連敗中で、ここまでのUFC戦績は6勝5敗の34歳。
観客に大人気のジャーディンはオクタゴンに入ると、相手に向かってダッシュ! 威嚇する。
1R、大振りの右フックで牽制するジャーディンに、ベイダーはタックルで金網へ押し込む。パンチを入れながら離れるベイダー。ジャーディンの大振りフックにフックを合わせ、前へ前へと出て行く。ジャーディンは金網を背負いそうになるとフックを振り回していき、ベイダーは肩を揺らしながら前へ。
ジャーディンが前へ出て来るとタックルを合わせ、テイクダウンを奪うベイダー。すかさず放ったヒジでジャーディンは頭部から出血。ハーフガードのジャーディンにベイダーは頭部、ボディへヒジ。ジャーディンはフックガードだが、ベイダーは構わずヒジを打ち込んでいく。しばらくその状態が続いたが、ブレイクに。
ブレイクになるとフックで打ち合う両者、ベイダーの飛び込んでのワンツーにジャーディンは左右のフックを振り回す。
2R、前に出るベイダーのパンチにフックを合わせようとするジャーディン。そのフックにベイダーがタックルを合わせて金網に押し込んで行くが、ジャーディンにヒザをもらって離れる。フックを振り回すジャーディンにベイダーが再びタックル、金網に押し込むと同時にヒザ。両足タックルに移行するが、ジャーディンはしっかりとディフェンスし、ベイダーが離れる。
ベイダーのワンツー、ジャーディンも左右のフックをヒットさせる。ベイダーのタックルは不発。度重なるタックルの失敗が響いたか、ややベイダーが疲れた様子を見せ、ジャーディンが積極的にパンチでアタックを続ける。“来い”と手招きし、自らもパンチを放っていくジャーディン。ベイダーは組み付いて金網へ押し込んでいくが、すぐに立ち上がられてしまう。
3R、笑みを浮かべながら回り込むジャーディンに、ベイダーはタックルを仕掛けたがまたもテイクダウン出来ない。ジャーディンはパンチをフェイントしてローキック、タックルには右ミドルを合わせる。ベイダーはタックルから持ち上げてテイクダウンするも、ジャーディンはすぐに立ち上がった。
流れはジャーディンのペースかと思われたが、ジャーディンの左フックにベイダーが右ストレートのカウンター! グラつくジャーディンに右の飛びヒザ蹴りから左フック! 崩れ落ちるジャーディン! ベイダーが逆転KO勝ちで連勝記録を守った。
▼第5試合 ヘビー級 5分3R
○ミルコ・クロコップ(クロアチア/チーム・クロコップ)
TKO 2R終了時
●アンソニー・ペローシュ(オーストラリア/SPMA)
前回『UFC103』ではジュニオール・ドス・サントスにTKO負け、これまでのUFC戦績は2勝3敗と後がないミルコ。その対戦相手として、ロスウェルが病気のため急遽代打に選ばれたのはペローシュ。UFCには『UFC66』以来約3年ぶりの参戦(過去2敗)となる。ミルコ35歳、ペローシュ37歳。
1R、サウスポーのミルコに対してペローシュは左へ回っていく。ペローシュが両足タックルに行って片足タックル、ミルコはフロントチョークに捕らえながらガブる。すぐに立ち上がるミルコ。パンチを出していくのはペローシュだが、ミルコは確実に打ち返す。
下がるペローシュにミルコの左ストレートが炸裂! 尻餅をつくペローシュにパウンドを打つが深追いはしない。タックルに来たペローシュに左のショートを合わせるミルコ、胴タックルで組まれるがこれは突き放す。
徐々に圧力を強めていくミルコにペローシュが組みに行くと、またも左のショート。尻餅をつくペローシュにパウンドを数発打ち込むと、深追いはせずにすぐに立ち上がってスタンドを要求。ペローシュの続くタックルもしっかり切る。
圧力をかけて前に出るミルコにペローシュはフックを繰り出すが、ミルコはしっかりとブロック。左ミドル、左ストレート。ペローシュのタックルは切って立ち上がり、スタンドを要求する。ミルコが右フックから左アッパーを入れたところで初回終了。ペローシュは鼻血を出している。
2R、左へ回りながら下がっていくペローシュに圧力をかけながら追って行くミルコ。パンチを出すペローシュに連打を打ち返し、タックルもしっかり切ってボディへパンチ。すぐに離れる。徹底してスタンド勝負を望むミルコ。左アッパー、左ミドル。ペローシュも右ローとパンチを打ち返してタックル。ミルコはガブって顔面へパンチ、首を取りながら抑え込むが、ペローシュが仰向けになると立ち上がって離れる。
どんどん前に出るミルコ、金網を背負ったペローシュはタックルに行くが、やはりミルコにガブられる。ここで初めてミルコがインサイドガードに入ると、強烈な左ヒジの一撃! この一発でペローシュは大流血! ドクターチェックが入る。
しかし、レフェリーは試合続行を宣言。ミルコは右フック、前に倒れるペローシュにパウンド。上に乗ってまたも左ヒジとパウンド! ここで2Rが終了した。しかし、インターバル中に試合続行不可能と判断され、ミルコがTKO勝ち!
「今回は元々の相手がキャンセルしたので、ペローシュが試合を受けてくれてガッツを見せてくれたことに感謝している」と、ミルコは対戦相手をリスペクトした。
▼第4試合 ライトヘビー級 5分3R
○クシシュトフ・ソシンスキー(ポーランド/チーム・クエスト)
TKO 3R1分4秒
●ステファン・ボナー(アメリカ)
1R、サウスポーのソシンスキーが試合開始と同時にパンチでラッシュを仕掛け、組み付く。ソシンスキーが離そうと顔に手を伸ばすと、これがサミングになる。再開後、ソシンスキーの左フックがヒットし、ボナーはグラつく。詰めてくるソシンスキーにボナーは両足から片足タックル、ソシンスキーが倒れないとアッパーを叩き込む。
パンチでどんどん前に出るソシンスキーに、ボナーも伸びるストレートを返す。ラッシュを仕掛けるソシンスキーの連打がヒットするが、ボナーも下がりながら打ち返す。ソシンスキーのミドルをキャッチしてテイクダウンに行くボナーだが、ソシンスキーは立ち上がる。ボナーはそのまま組み付いていき、胴タックルでテイクダウン。サイドを奪う。
しかし、ソシンスキーもすぐに立ち上がり、ボナーは左右のヒジ。ソシンスキーも左右のフック。ソシンスキーがローからパンチのラッシュ、組み付くとヒザ蹴り。ボナーは体を入れ替えてパンチからロー。ソシンスキーのローに右フックを合わせ、前蹴りの相打ちがあったところで初回が終了した。激しい打ち合いが展開された。
2Rもパンチとローの打ち合いが展開される。突進するソシンスキーにパンチを合わせるボナー。金網際で打ち合いが展開され、ボナーの右ストレートとソシンスキーの左ストレートでお互いにヒットを奪う。
組んでテイクダウンに行くボナーだが、ソシンスキーは倒れない。ボナーが左右のヒジ、ソシンスキーの左がヒットする。前に出て攻勢に立つのはボナーだ。何度も両者のパンチが合い打ちとなり、お互いにクリーンヒットを奪い合う。
ワンツーの交換、お互いに飛び込んでパンチを放つ。ボナーはバックスピンキックまで繰り出すが、両者タフでなかなか倒れない。
3R、出会い頭のパンチの合い打ちでバッティングがあり、ボナーは膝を着く。組み付くボナーにソシンスキーがヒザ蹴り、ボナーもヒザで応戦する。ボナーの頭部からは激しい出血で、両者の身体が血で真っ赤に染まる! 試合はそこでストップとなり、ソシンスキーのTKO勝ちとなった。
▼第3試合 ウェルター級 5分3R
○クリス・ライトル(アメリカ)
一本 1R1分41秒
●ブライアン・フォスター(アメリカ)
1R、両者とも強打のフックを繰り出して激しい打ち合いが繰り広げられる。ライトルが左フックをヒットさせれば、フォスターも左フック。バックを奪ったライトルだったが、ライトルは前転して膝十字固め! フォスターは足を引き抜こうと暴れたが、これがしっかりと極まり、ベテランのライトルが鮮やかな一本勝ちを飾った。
▼第2試合 ミドル級 5分3R
○CB・ダラウェイ(アメリカ)
判定3-0
●ゴラン・レジック(クロアチア)
▼第1試合 ライトヘビー級 5分3R
○ジェームズ・テフナ(ニュージーランド)
TKO 3R3分26秒
●イゴール・ポクラヤッチ(クロアチア/チーム・クロコップ)
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