▼WBC世界バンタム級タイトルマッチ
○フェルナンド・モンティエル(メキシコ/挑戦者)
TKO 4R2分59秒
●長谷川穂積(真正/王者)
※長谷川が11度目の防衛に失敗、モンティエルが新王者に就く
30日、日本武道館で行われたWBC世界バンタム級タイトルマッチ、チャンピオン長谷川穂積(真正)−WBO王者フェルナンド・モンティエル(メキシコ)の一戦は、モンティエルが4回2分59秒で長谷川をストップした――。
WBC王者長谷川とWBO王者モンティエルの“統一戦”。歴史的ファイトは期待通りの好試合だった。序盤から互いにスピードとフェイントを駆使し、緊迫した攻防が続く。どちらも相手をピンチに追い込むようなヒットはなくとも、その駆け引きでファンをうならせた。そんな展開で4回途中までは長谷川がややリードしていたのだが……
この回終了10秒前を告げる拍子木が鳴った瞬間だった。左を打った長谷川のバランスが一瞬崩れたところをモンティエルの左フックが急襲。被弾した長谷川がロープへと後退したのを見逃さず、モンティエルはここぞと追撃。意識の飛んだ長谷川をローレンス・コール主審がモンティエルの連打から救った。長谷川の好調スタートから一転、まさかの結末に武道館1万1千人のファンが凍りついた。
長谷川はウィラポンから奪った王座の11度目の防衛に失敗。同時に5年間の王位に別れを告げた。控室では「最後は気を抜いたところにもらったのかもしれない。(意識もあって)何で止めたのかと思ったが、映像で見て、あれだけもらってたら仕方がない」と潔かったが「悔しさはある」と話したところで涙した。それでも最後まで「最高の状態をつくった。負けましたけど言い訳はできない。今日の試合は試合で満足している」と気丈に話した。モンティエルとのリマッチを希望するか、との問いには「できるならやりたいけど」と語っている。
結果は日本のファンにとってショッキングなものだったが「これぞ世界戦」という格調高い一戦だった。勝者モンティエルはWBO王座2度目の防衛に成功するとともに、待望のグリーンベルトを腰に巻いた――
▼WBC世界スーパー・バンタム級タイトルマッチ
○西岡利晃(帝拳/王者)
TKO 5R1分14秒
●バルウェグ・バンゴヤン(フィリピン/挑戦者)
※西岡が4度目の防衛に成功
33歳のチャンプ強し! 30日東京・九段の日本武道館で行われたダブル世界タイトル戦の第1試合、WBC世界スーパー・バンタム級戦は、王者西岡利晃(帝拳)が不敗挑戦者(10位)バルウェグ・バンゴヤン(フィリピン)に5回1分14秒TKO勝ちし、一昨年獲得したタイトルの4連続KO防衛に成功した。
立ち上がりは波乱なし。4回終了時までの公開スコアでは、西岡が1〜5点優勢だった。5回、劣勢のスコアに反応するかのようにバンゴヤンが攻勢を強めると、一瞬の隙をついて西岡の左ストレートが顔面を直撃。バンゴヤンたまらず仰向けに倒れる強烈なノックダウン。
挑戦者はよろけながらも立つが、ダメージが深刻なのは明らか。すかさず西岡が連打すると、青コーナーのセコンドが駆け上がり、ここでペレス・レフェリー(メキシコ)がストップをかけた。西岡は初防衛から4連続KO防衛をマーク。これは日本人世界チャンピオンの新記録である。
西岡は試合を振り返って「相手はサウスポー対策がうまかったが、思い通りの展開になった。KOを狙っていたのではなく、自然に出た。いいかたちで終わりましたね」と、満足そう。そして、今後の抱負を聞かれると、「指名試合なら望むところ。目ざすは世界の西岡です」と、スーパー・チャンピオンに向けてさらに精進を誓った。
年齢を気にしないという西岡、この日も10歳若い挑戦者を鮮やかに撃退し、改めて「精神的にも肉体的にも、試合ごとに強くなっている」と、円熟の王者ぶりをアピールした。
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