「IT’S SHOWTIME 56」
2012年5月12日(土・現地時間)ベルギー・コルトレイク
写真:Ben Pontier/EFN
テキスト:遠藤文康
若手にチャンスが与えられる舞台「IT’S SHOWTIME」には、活きの良い無名選手が毎回登場する。1999年にスタートし、大化けする選手が無理なく育つ。現在のリングにその当時活躍した選手は、当然ながら誰一人存在しない。新陳代謝は絶えず進んでいるし、世代交代も早い。考えてみるまでも無く、総合格闘技ならまだしも、打撃格闘技界で十年一日の如く同じ選手がリングに君臨しているとしたら、やはりそれはかなり妙なことではないのかと普通に思う。今ベルギー大会も、日本のファンにとっては無名選手が多かったが、内容は濃かった。
▼メインイベント(第6試合) ヘビー級 3分3R
○ダニエル・ギタ(ルーマニア)
KO 2R ※左フック
●ブライアン・ダウエス(オランダ)
大声援を受けるギタは、まさにヘビー級の世界トップファイターとなった。1Rから対戦相手のダウエスは、怖れることなく前に出た。セコンドのハンス・ナイマンが2R前に「接近しろ」と指示。が、皮肉なことにアドバイスによる至近距離戦は、ギタの左ショートフックがダウエスのアゴを打ち抜き、失神KO決着となった。
前日の計量でギタは、「2Rに終わる」と予言。その通り実行したギタの背中が「言っただろ」と語っていた。面白いことに、今大会は31歳のギタが最高齢。パート2に出場した12選手の年齢平均は25歳だ。やはりIT’S SHOWTIMEのリングには勢いがある。
▼第5試合 ヘビー級 3分3R
○ルステミ・クレシュニク(アルバニア)
TKO 1R ※3ノックダウン
●マイケル・ドゥート(オランダ)
「3週間しか練習が出来なかった」と、計量時に調整不足を嘆いたクレシュニック。ところが試合は1Rで片がついた。ドゥートの圧力がクレシュニックに試合勘を取り戻させた。強烈なフックで3ダウン奪っての勝利。これを機に、6月末のジェロム・レ・バンナ戦に向けて調整を続けることになる。クレシュニック28歳。今から脂の乗り切った時を迎える。
▼第4試合 イッツ・ショウタイム85kg世界タイトルマッチ 3分5R
○サハーク・パーパリアン(アルメニア)
判定
●アンドリュー・テイト25歳(アメリカ)
※パーパリアンが防衛に成功
ここ1カ月ほど、賭け勝負論争で互いに挑発しあったパーパリアンとテイトの難民vs.ナルシスト対決。試合開始から前半は良かったテイトだが、徐々にグダグダに。変則スタイルのテイトの出自は空手とフルコンとMMAの混合。いきおい序盤に勝負をかける速攻タイプとなった。ラウンドが進むごとに攻守が逆転し、テイトは失速し、自滅していった。在ベルギーアルメニア人来場者は、 『Yes, we can!』コールで打倒アメリカを叫んだ。アメリカは欧州ではさほど好かれていない。少なくともオランダでは多くが嫌っている。賭け勝負対戦はパーパリアンが防衛し、テイトは1,000ユーロを払うハメとなった。
▼第3試合 ヘビー級 3分3R
○セルゲイ・ラシュシェンコ(ウクライナ)
KO 1R ※左右連打
●サラ・エディン・カンドゥシ(モロッコ)
マイクスジムで練習を続けるウクライナのラシュシェンコは、選手アパートに住み込んでいる。4月には日本の軽量級トップ選手の闘魔も、ラシュシェンコと2週間ほど同居した。試合は攻防の末、ラシュシェンコが左右のクリーンヒットで19戦無敗のカンドゥッシを倒した。カウント10までに立ち上がったカンドゥッシだったが、レフェリーは試合を止めた。
▼第2試合 73kg契約 3分3R
○ソニー・ダグレド(ベルギー)
判定5−0
●エリック・デニス(フランス)
73kgのダグレイドがどのような選手なのか、知る人は少なかったはずだ。切れ味の良さと集中力そしてスタミナ。さらにフットワークとコンビネーションと攻撃角度。
3Rを終えてもう1試合できそうな軽快さ。とはいえIT’S SHOWTIME73kg世界王者のローシン・”オーシー”・オズニとタイトルマッチを行うには、もう少し経験が必要だろう。
▼第1試合 85kg契約 3分3R
○シェリック・シディベ(フランス)
判定5−0
●ジェイソン・ウィルニス(オランダ)
メインであるパート2のオープニングマッチは、フランスからのシディベが判定5−0でオランダのウィルニスを下した。
シディベのワンサイド展開にウィルニスも逆転KO狙いでパンチを繰り出すが、ベテランのシディベの経験と技量が勝った。
<テレビ放映>
〜最強打撃格闘技〜 IT'S SHOWTIME56 2012・5・12 ベルギー大会
05月19日(土)16:30 〜 J SPORTS 3
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