12月28日(火)、都内ホテルで記者会見が行われ、アマレス全日本選手権4連覇の田中章仁(専修大学)が大学卒業後、FEGに入社、来春からはK-1の所属として、北京オリンピック、総合格闘技のプロデビューを視野に入れて、活動していくことが発表された。
会見に出席した谷川プロデューサーは「元新日本プロレスの上井さんに『凄いのがいるよ』と、(田中選手を)紹介されました。今月に入ってから、専修大学のレスリング顧問の馳浩先生と、3人でお話しました。基本的にはデスクワークはなしで、私たちが生活の保障と練習環境をサポートしていきたいと考えています。まだ名称は決まっていないんですが、新日本プロレスさんの闘魂クラブのような形でやっていきたいと思ってます」とコメント。「アマチュアの優秀な選手達でも、就職が決まれば、練習時間・環境が整わずに、埋もれてしまうケースが多い。K-1としては、そういう選手達をこういった形でサポートし、還元していきたいと考えています」と、今後はアマチュア選手の育成にも力を入れていくことを明らかにした。
同席した馳氏は「北京オリンピックを目指す上で練習環境等を考えた結果、FEG社員としてアマチュア活動していく、と。北京オリンピック、そのほかアマレスの世界大会などで結果を残して欲しいと思っています」と、エールを送った。大学卒業後は専修大学に拠点を置き、海外遠征や国内でレスリングのトレーニングを続けていくプランだ。
田中本人は「FEGに就職して、練習時間を作って、レスリングを中心に総合格闘技の練習もやっていきたい。谷川さん、馳さんの期待に応えるように頑張りたい」と、総合格闘技への興味を示しており、恩師である馳氏も「学生時代は毎月試合があるんですが、社会人になれば年に3試合くらい。アマレスに影響するようなケガがなければ、プロとしてやるのもいい」と、前向きなコメントを残している。
谷川プロデューサー、馳氏共に田中を「K-1所属としてアマレスとプロ格闘技界のトップを狙える逸材」と高く評価。日本における新たな格闘家の形としても、今後の活躍に期待がかかる。
●田中章仁
「FEGに就職して練習時間を作り、レスリングを中心に総合格闘技の練習もやっていきたいと思います。谷川さん、馳さんの期待に応えるように頑張りたい」
●谷川貞治プロデューサー
「田中章仁選手が来春からFEGに入社し、K-1所属の選手としてレスリングの試合に出ることになりました。まだ名称を決まってないのですが、新日本プロレスの闘魂クラブのように、アマチュアの選手が(K-1)の所属として、活動していくという形になります。アマチュアの世界は底辺が広く、優秀なプロ選手も出てくるんですが、それとは関係なく何かお礼をしたいと考えていました。アマチュアの優秀な選手達でも、就職が決まれば、練習時間・環境が整わずに、埋もれてしまうケースが多い。K-1としては、そういう選手達をこういった形でサポートし、還元していきたいな、と。
田中選手にはいきなりプロとして試合にでて欲しいという気持ちはありません。北京オリンピックを含めたアマレスの大会でメダルを獲って欲しいと思っています。K-1には世界中にネットワークを持っているので、海外への武者修行なども考えてます。私たちとしてはいかにいい練習環境を提供できるか?だと思っています。誰もが凄いと思えるような怪物になってほしいです」
●馳浩氏
「田中については大学入学前から知っていました。当時から必ず五輪を狙える逸材として、将来を嘱望されていました。北京オリンピックを目指す上で、練習環境等を考えた結果、FEG社員としてアマチュア活動していく、と。北京オリンピックそのほかアマレスの世界大会などで、結果を残して欲しいです。ただし本人が望めばプロとしての活動もありだと思っています。練習場所は専修大学を中心に海外遠征や国内を考えています。田中は50年に一人の逸材、応援していただければ幸いです」
●記者との一問一答
――総合格闘技の試合にも出たいという気持ちはありますか?もしそうなればアマレスとの両立が難しくなりませんか?
田中 アマレスの試合数が少なくなるんで出たいです。両立は可能だと思います。
馳 一番心配なのはケガですね。学生時代は毎月試合があるんですが、社会人になれば、大きな試合は年に3試合程度です。プロとしての自覚を持てば、体を作らないといけないし、基礎体力はまだまだです。先輩である中西学のような体を作れば、アマチュアでもプロの総合格闘技でもトップを狙えると思います。
――馳さんは新日本プロレスの闘魂クラブも経験されていますが、闘魂クラブとK-1との相違点はどこでしょう?
馳 中西、永田、石澤、永田弟など、新日ではある程度成果が上がっていると思います。いい環境でトレーニングが出来ました。FEGさんにはK-1ブランドの下で社会貢献して欲しいです。田中の後に続く若手もいますから。そしてプロやアマチュアの登竜門になり、選手の受け皿、プロ興行への道が開ければいいなと思います。
――普段はデスクワークもあるんでしょうか?
谷川P それはないです。練習だけしてもらって大丈夫です。基本的な生活の保障はしますし、練習を仕事と考えてもらっていいです。そして大きな大会で優勝すれば報奨金を払おうかなと考えています。僕も個人的にはアマチュアは大好きなんで、闘魂クラブさんに負けないように頑張りたいなと。才能はあるんだけど、仕事の都合で練習が出来ない。そういう人材が埋もれるんであれば、練習が出来る環境を作りたいと思っています。後は早く馳先生には文部大臣になってもらって、プロ格闘技が広く認知されるようにして欲しいですね(笑)
――練習に専念できる分、プレッシャーは感じませんか?
田中 とにかく自分が出来る事を精一杯やるだけです。
――元々K-1や他の総合格闘技は見ていたんですか?
田中 テレビでは見てました。
――好きな選手はいますか?
田中 (しばらく考えて)ホイス・グレイシーです。寝技も立ち技も出来るんで。
谷川P さっきホイスと喫茶店で会ったんですけど、田中選手の(沸いた)耳を見て「こいつは出来る」って言ってました。
――今までのレスリング以外の格闘技はやったことがありますか?
田中 柔道を中学3年間。県大会まで行きました。
――いずれはK-1ルールでも戦いたいという気持ちはありますか?
田中 打撃が出来るようになれば、いずれはやりたいと思っています。
谷川P JAPANの選手でもこれだけ体の大きい選手はいませんでしたからね。田中選手が初だと思います。
――中尾選手や宮田選手など、先輩の活躍は気になりますか?
田中 はい。頑張ってほしいですね。
――プロレスラーという道は考えなかったんですか?
田中 考えなかったですね。自分はK-1や総合格闘技の方に興味があったんで。
<PROFILE>
田中章仁(たなか・あきひと)
1983年3月9日、21歳
185cm/98kg
<経歴>
福岡県三井高校→専修大学(2005年3月卒業見込み)
<主な戦績>
1999年 全国高校生グレコローマン選手権96kg級優勝
2000年 インターハイ優勝
全国高校生グレコローマン選手権96kg級優勝
国民体育大会少年の部フリースタイル120kg級優勝
全日本学生レスリング選手権フリースタイル120kg級3位
2001年 全日本選抜レスリング選手権フリースタイル120kg級3位
全日本学生レスリング選手権フリースタイル120kg級優勝
全日本レスリング選手権(天皇杯)優勝
2002年 全日本選抜レスリング選手権フリースタイル120kg級優勝
全日本学生レスリング選手権フリースタイル120kg級優勝
世界選手権11位
アジア選手権6位
全日本レスリング選手権(天皇杯)優勝
2003年 全日本選抜レスリング選手権フリースタイル120kg級2位
全日本学生レスリング選手権フリースタイル120kg級優勝
国民体育大会成年の部 3位
内閣総理大臣杯優勝
全日本レスリング選手権(天皇杯)優勝
2004年 全日本選抜レスリング選手権フリースタイル120kg級優勝
全日本学生レスリング選手権グレコローマン96kg級優勝
全日本学生グレコローマン選手権優勝
内閣総理大臣杯優勝
全日本レスリング選手権(天皇杯)優勝
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