7月31日(金)東京・新宿FACEにて、全日本スーパーフェザー級チャンピオンの石川直生(青春塾)が記者会見を行い、大いに語った。石川は8月14日(金)に開催されるKrush実行委員会『Krushライト級グランプリ2009開幕戦Round.2』に出場、1回戦でTURBO(FUTURE_TRIBE ver.OJ)との対戦が決まっている。
まず最初に、7・24開幕戦Round.1をリングサイドから観戦していた感想を語る石川。
「1回戦は順当。勝者はよくもこんなに順当に勝ち残れるなというくらい、ノーダメージで2回戦が出来る理想的な勝ち上がりだった。
準々決勝は僕から見れば両方(山本真弘と“狂拳”竹内裕二)とも逆転勝ち。狂拳は誰が見ても分かりやすい逆転勝ちでしたね。真弘VS大月は大月選手の全盛期を彷彿させるプレッシャーと豪腕が炸裂したけれど、最後はスタミナが切れた。そこで真弘選手がポイントをとった試合でした。
勝った二人は何かを持っていますね。大月選手、梶原選手が持ってないものを持っている。トーナメントを勝ち上がるものなのか、今の勢いなのか、理屈じゃないものを持っていると感じました。
リングサイドで見ていて、どの試合も解説したいくらいのレベルの高さだったけれど、僕はここに入っていかないといけない。レベルの高いいいトーナメントですね」
当初は「出場を断ろうと思っていた」と記者会見で発言していた石川だが、開幕戦Round.1の激闘を見て心変わりしたようだ。
「選手はその時その時で気持ちが切り替わるものです。順当とは言っても、トーナメントでは真弘VS大月が軽く実現してしまう。そこに歯がゆさがある。トーナメントはその試合だけに集中できないじゃないですか。戦う者からすればその一戦に集中したいけれど、それで勝ち残っているわけだから条件はみんな一緒なんですよね。
その同じ条件の中で強いヤツを決めるのが勝負論だから。俺が辿り着きたい所に辿り着くには、細かい理屈はいったんフラットにしないといけない。でも、出場しがいのあるトーナメントになっていますよね」
開幕戦Round.1で勝ち残り、決勝トーナメントに勝ち上がった山本と竹内が持っているという“何か”。その何かとは? との質問に、石川は意外な答えを用意していた。
「それは実は僕は持っていないものなのかもしれない、という気持ちもある。いつも大事なところで落とす自分がいるから。でも、そこを克服できないと優勝は出来ない。自分もそれを持っている選手かどうか、これまでのキャリアを見てると持っていないかもしれないけれど、俺が持ってるか持ってないかを証明するための8月の2試合だと思っている。持っていることを証明したい」
トーナメントに出場しているほとんどの選手が「戦いたい」とその名を挙げ、トーナメント前に山本真弘を撃破して国内60kg級最強の座に躍り出た“狂拳”竹内については、次のように語る。
「あいつ、大好きですよ。必ず目が合うと絶対にそらさないんです。そういうのも好き。5月に一緒のリングに上がった時、ふてぶてしい顔をしているなと思って見ていたら、向こうもずっと俺の目を見ているんです。“この野郎”と言ったら向こうも“この野郎”と言ってきそう。あれはパフォーマンスじゃない。
マイクも俺は最初から考えているけれど、あいつはその時に思ったことをあいつのキャラで言うから好きですね。やってみたい? やったら俺が勝ちます。あいつには勝てる。でも、面白いと思いますよ。あのタイプは最近のキックボクサーにはいないじゃないですか。不良っぽい、ヤンチャな、あんなハッタリじゃないヤツって。いろんな選手がやりたいと言うのは分かります」
1回戦で対戦するTURBOとは、4年前に行われたIKUSA-GP U60トーナメントの1回戦で対戦、この時は石川が右ハイキックと右ストレートでダウンを奪い、KO勝利を収めている。
「4年経っているとはいえ、俺も向こうもキャリアを持っての4年前の戦いだったのでベースは大きく変わっていない。パワーがついたとか、パンチが上手くなったはあるけれど、ベースは変わらない。相性で言うとやりやすい。
向こうは各地を転戦するようにいろんな団体に上がって、俺もあいつとやりたいというヤツとやっている。そして勝ち負けは別にして、お客さんが喜ぶ試合にして勝ち負けを繰り返している。だからといってナメてはいない。4年前はとりあえず俺が勝ったくらいにしか思っていません。
でも、3週間前に5Rまでやって、ダウンも取られて(7月26日のRISEで板橋寛とドロー)また3週間後に出場してくるヤツに、簡単に倒される俺じゃないし、制覇できるトーナメントじゃないぞと思う。今の60kg級は、ベルトを獲れないで3週間後にもう1回という甘い世界じゃない」
TURBO戦には必勝を誓う石川だが、この日はトーナメント準々決勝まで2試合を戦わなければならない。準々決勝では水落洋祐(はまっこムエタイ)VS桜井洋平(Bombo Freely) の勝者と対戦する。
「(準々決勝の相手は)水落ですか?(笑)。トーナメントだから合理的に勝ち上がれればいいけれど、7月と同じで順当に行けば桜井洋平が来るでしょうね。VS茨城二連戦ですよ。二人とも300人クラスの応援団を連れて来るから、ホールなのに俺がアウェイになる(笑)。
1回戦でどっちが勝つかによるけれど、俺はワンマッチだろうがトーナメントだろうが桜井には負けちゃいけない。何でかって言うと、俺は団体を背負ってきたし、ジャンルを背負いたいと思っているから。桜井は11月から試合をしてないじゃないですか。怪我をしていたんだろうけれど、K-1に出たいとか60kgを盛り上げるって言うなら、だったら試合に早く出て来いよって。
Krushだってその間に3回もやってるんだから、盛り上げるんだったらKrushで試合をしたっていいじゃないですか。特訓しているのか分からないけれど、俺は母ちゃんが死んでも試合をしたし、その2ヵ月後に頭を割られて入院するくらいの怪我だったけど試合をした。
不本意だったK-1ルールに挑戦して、キックボクシングと軽量級のために背負ってきた俺が負けちゃいけない。おいしい所だけを持って行きたい選手に、俺が負けちゃいけないんですよ」
石川にとっても桜井にとっても、K-1ルールはお互いの得意技であるヒジと組みヒザを封じられた戦いとなる。その条件下、どんな試合になるのだろうか。
「俺以上に向こうはそれしかないわけじゃない。パンチ力がウェルター級なみだと聞きます。俺のK-1ルールへのシフトチェンジが今やってるのが実戦でどれだけ出来るか。シフトチェンジが間に合わなければK-1ルールで優勝できないですからね。
だから狂拳、真弘と今回の反対側からは(山本)元気が出てくると思うけれど、みんなパンチが強いK-1向きの選手。俺にとっては桜井がK-1ルールのトーナメントで決勝に勝ち上がるのに文字通りの通過点になる。このハードル、勝負を乗り越えなければ10月の決勝トーナメントはもっとレベルが高いのだから、桜井に負けるようでは3人に勝てない。
K-1ルールならこの3人の方が上だと見ているから、桜井をクリア出来なければ勝ち残れない。今回勝ち残っても3人には勝てない」
Round.2はRound.1よりも過酷だと石川は言う。
「他の選手には失礼だけれど、俺と元気の1回戦は7月の1回戦に比べたらハードルはちょっと高め。尾崎選手は60kgでどういう試合をするか分からないけれど、俺のTURBOと桜井のハードルは出ている選手の中で一番高いかも。世界チャンピオンの二人ですから。
そこが、俺が何かを持っているかどうかなんですよ。Kick Returnトーナメントで優勝できず、思い描いていたことを自分の口から言えず、その2年後にトーナメントで改めて言えるか、持っているかということを試される二人じゃないですか。でも、世界チャンピオンに勝って決勝に残るというのはいいですね」
過去、石川はIKUSA-GPとKick Returnという二つのトーナメントで優勝を逃している。その時と今ではどう違うのか?
「違うものはそりゃあ、ありますよ。IKUSA-GPの時は優勝しか考えてなかった。だけど、自分がピンチになったイメージが出来ず、試合を引っ繰り返されて血迷ってしまった。Kick Returnの時は真弘が強かったということ。
今回はどう違うかと言うと、この2年でやってきたこと、キックボクシングというジャンルを背負う状況も全日本キックの状況も変わったし、俺も変わった。ボクシングを一生懸命にやって幅が広がり、一番身近な(山本)優弥が世界に羽ばたいていった。俺も国内じゃねえぞって気持ちがある。キックボクシングの60kgは石川だというのを証明したい。純粋に2年経って強くなっているのは当然です。
元気は集大成として今回に懸けている気がする。大月さんもそうだったと思う。あの人たちは現役を長く続けるタイプじゃないと聞くし、元気は口数こそ少ないけれど強いヤツとやりたいし、全日本キックが好きだし、年齢的にも今回に懸けているみたいな気がする。いつでもアイツは怖いけれど、今回は腹を括ってるんじゃないかな。
真弘と狂拳はまだ若いし、今回で天下をとっても20代がまだ残っているから、他の選手のことなど考えず自分のことだけを考えてイケイケですよ。前田(尚紀)は謎ですね。あいつだけは分からないです(笑)。
ファイヤーは悔しいけれど、会場を盛り上げられる。種類は違うけれど沸かせられるのは凄いこと。プロモーターが使いたがるのは分かる。七番勝負の初戦がファイヤーだったけれど、その時にVTRで研究しようと思って見たら、たまたまファイヤーが勝って喜んでいるシーンだったんですよね。その時の俺はテンション高かったのに、それを見たら具合が悪くなった(笑)。自分は持っていない動きでしたね。
それで、ファイヤーの火を消さないと絶対にダメだと思いました。彼はキックボクシングが面白い、自分を表現できる場だと分からせてくれた。キックボクシングという競技で俺とリングで遊んでくれて、キックボクシングの面白さを取り戻させてくれた選手だった。
8月の8人でテレビ番組を作ってくれれば、充分作れる。それくらいキャラは揃っている。大月、狂拳以外にも面白い選手はいっぱいいるじゃないですか。60kgは面白いですよ。だから誰が主役になるかは大きなこと。俺が優勝して盛り上げるものだと思っています。俺が優勝してK-1の60kgもキックボクシングもまとめて引っ張っていきます。その資格を俺が持っているかどうか、持っていれば優勝して大晦日に辿り着けると思う。
大晦日も含めてあと5試合。大晦日に出れたとしても、タイ人とやってカットされてしまったら出ただけで終わってしまう。それはしたくない。キックボクシングは殴る、蹴る、掴む、切る……その全てを見せられたらいい。とりあえず10月に優勝したら、大晦日が見えるところまで来れたのは嬉しい。あと5試合を勝てば自分が目指すところに辿り着けると思います。ここから本腰を入れていきます」
なお、今大会のチケットは「もう少しで完売」(宮田Krush実行委員長)というほどの人気を見せているという。宮田実行委員長は「前回は順当にいっただけに、今回は波乱が起こると思う」と予測している。
また、気になる全日本キックボクシング連盟の今後については「8月14日以降に発表します」とした。
Krush実行委員会
「Krushライト級グランプリ2009〜開幕戦Round.2〜」
2009年8月14日(金)東京・後楽園ホール
開場17:00 本戦開始18:00
<決定対戦カード>
▼第9試合 Krushライト級グランプリ2009準々決勝 K-1ルール 3分3R延長1R
山本元気VS尾崎圭司の勝者
VS
前田尚紀VSファイヤー原田の勝者
▼第8試合 Krushライト級グランプリ2009準々決勝 K-1ルール 3分3R延長1R
石川直生VSTURBOの勝者
VS
水落洋祐VS桜井洋平の勝者
▼第7試合 スーパーファイト 70kg Fight K-1ルール 3分3R延長1R
中島弘貴(バンゲリングベイ・スピリット)
VS
堤 大輔(チームドラゴン)
▼第6試合 スーパーファイト 65kg Fight K-1ルール 3分3R延長1R
吉本光志(AJ)
VS
大石駿介(OISHI GYM)
▼第5試合 Krushライト級グランプリ2009 一回戦 K-1ルール 3分3R延長1R
山本元気(DTS/全日本スーパーフェザー級1位)
VS
尾崎圭司(チームドラゴン/2007K-1 WORLD MAX日本トーナメント第3位)
▼第4試合 Krushライト級グランプリ2009 一回戦 K-1ルール 3分3R延長1R
前田尚紀(藤原/全日本フェザー級1位)
VS
ファイヤー原田(ファイヤー高田馬場/J-NETWORKライト級4位/J-NETWORK)
▼第3試合 Krushライト級グランプリ2009 一回戦 K-1ルール 3分3R延長1R
石川直生(青春塾/全日本スーパーフェザー級王者)
VS
TURBO(FUTURE_TRIBE ver.OJ/初代WMAF世界スーパーフェザー級王者)
▼第2試合 Krushライト級グランプリ2009 一回戦 K-1ルール 3分3R延長1R
水落洋祐(はまっこムエタイ/全日本フェザー級4位)
VS
桜井洋平(Bombo Freely/WFCAムエタイ世界ライト級王者/ニュージャパンキックボクシング連盟)
▼第1試合 Krushライト級グランプリ2009リザーブファイト K-1ルール 3分3R延長1R
青津潤平(NPO JEFA)
VS
宮下トモヤ(パワーオブドリーム)
▼オープニングファイト 第2試合 70kg FIGHT K-1ルール 3分3R
内村洋次郎(パンクラスP’sLAB東京/初代ZSTウェルター級王者)
VS
小西拓槙(M-BLOW)
▼オープニングファイト 第1試合 60kg FIGHT K-1ルール 3分3R
小澤量哉(士心館)
VS
小川 翔(OISHI GYM)
<チケット料金>
SRS席15,000円 RS席10,000円
S席7,000円 A席5,000円
※当日券は各席500円増し。
<チケット販売所>
チケットぴあ=http://t.pia.jp/sports/sports.html
イープラス=http://eplus.jp/
後楽園ホール=TEL:03-5800-9999
Krush実行委員会=TEL:03-5351-8390
<お問い合わせ>
Krush実行委員会=TEL:03-5351-8390
Krush実行委員会
「Krushライト級グランプリ2009〜決勝戦Final Round〜」
2009年10月30日(金)東京・後楽園ホール
開場17:00 本戦開始18:00
<イベント内容>
トーナメント準決勝2試合、決勝戦1試合、リザーブファイト1試合、70kgスーパーファイト
<賞金予定>
優勝3,000,000円 準優勝1,000,000円 第三位(2選手)500,000円
KO賞=1回戦50,000円 準々決勝100,000円 準決勝100,000円 決勝戦200,000円
<お問い合わせ>
Krush実行委員会=TEL:03-5351-8390
|