↑(左から)準優勝の森、優勝したタリエル、3位の田中
国際空手道連盟 極真会館(松井章圭館長)
「第42回オープントーナメント全日本空手道選手権大会」
2010年11月21日(日)東京体育館
開場10:00 開会式11:30 試合開始12:50
11月21日(日)東京体育館にて国際空手道連盟・極真会館(松井章圭館長)『第42回オープントーナ メント全日本空手道選手権大会』が開催され、初日の1、2回戦を勝ち上がった32名により3回戦〜決勝戦 が行われた。
ベスト8に入賞した選手には、来秋日本で開催される『第10回全世界空手道選手権大会』への出場権が与えられるため、例年以上の激戦が予想された今大会。世界大会の前哨戦とばかりに強豪外国人選手たちもエントリーし、史上初の外国人全日本王者の座を狙いに来たため、日本VS海外のせめぎ合いも見ど ころの一つとなっていたのだが、ついに史上初の外国人選手の全日本王者が誕生した。
この快挙を達成したのは今年の全日本ウエイト制軽重量級を制覇したロシアのタリエル・ニコラシビリ。タリエルは3回戦で村岡賢和、4回戦で別府良建、準々決勝で小林大起を下してCブロックを突破。
準決勝では第36回&第41回全日本大会優勝の田中健太郎と激突し、延長2回にまでもつれる接戦を繰り広げ、試し割り判定で田中を撃破して決勝進出を決める。
逆ブロックを勝ち上がったのは、そのタリエルに今年の全日本ウエイト制決勝で敗れている森善十朗 。森は3回戦で四反田将、4回戦で竹岡拓哉に勝利し、準々決勝では第40回全日本大会準優勝&第4回全世 界ウエイト制重量級準優勝の実績を持つザハリ・ダミヤノフから勝利を収めた荒田昇毅と対戦。延長2回の末、荒田に勝利すると、準決勝では正道会館の沢田秀男を下して決勝戦にまで駒を進めた。
決勝戦ではタリエルが無尽蔵のスタミナと強烈な突きを軸とした試合運びで、森に判定5−0で勝利。 タリエルが全日本王者の栄光を手にした(19歳での全日本優勝は史上最年少記録)。
大会後、松井章圭館長は「この結果で全日本の王座も国外に流出することになりました。しかしこれはある意味、歴史の必然です。優勝したタリエル選手は立派な試合をしました。この現実を受け入れて 、前向きに全員が世界に向かうべきだと思います」と大会を総括。
史上初の外国人全日本王者、そして最年少優勝記録を樹立したタリエルは「今の気分を言葉にするこ とは出来ません。そのくらいうれしい気持ちです。自分が史上初の外国人全日本王者になったというこ とは、周りに言われるまで知りませんでした。外国人として初めて全日本王者になったことももちろん ですが、この大会で優勝できたことが僕にとっては一番大事なことです」と喜びを語った。
<主な試合結果>
▼決勝戦
○タリエル・ニコラシビリ(ロシア)
本戦 判定5−0
●森 善十朗(東京城西)
決勝で対戦したのは、外国人として初の全日本王者を狙うタリエルと、そのタリエルに今年の全日本ウエイト制軽重量級の決勝で敗れている森という組み合わせとなった。
すぐに間合いを詰めて突きから右の下段廻し蹴り、膝蹴りを繰り出すタリエル。森は距離を取って戦おうとするが、タリエルはすぐに前進して、右の下段廻し蹴りで攻める。森も左の下段を蹴り、突きを返すが、これが顔面殴打で注意となってしまう。左の突きから右の膝蹴り、上段廻し蹴りを見せるタリ エル。森も右の突きから左の下段を返すが、タリエルがパワフルな突きと膝蹴りで森を下がらせる!
そして森を左右の突きで場外まで押し出すタリエル。森も必死に突きを返すが、タリエルがそれを手数で圧倒する。判定は5−0でタリエルとなり、タリエルが外国人選手として初の全日本王者の座を手に 入れた。
▼3位決定戦
○田中健太郎(川崎中原)
本戦 一本 47秒
●沢田秀男(正道会館)
準決勝でタリエルに試し割り判定で敗れた田中が正道会館勢としてベスト4進出を果たした沢田と3位 決定戦で激突。ここまでの試合で左足にダメージを負っている沢田に対し、田中は左右の下段廻し蹴り 。沢田も右の上段廻し蹴りを返すが、田中の左の下段廻し蹴りを受けると動きが止まってしまい、田中に技ありが与えられる。再開後、田中が前に出て左の下段を蹴ると、これで田中が2度目の技ありを奪い 、合わせ一本で勝利した。
▼準決勝
○タリエル・ニコラシビリ(ロシア)
試し割り判定
●田中健太郎(川崎中原)
※延長2回、体重判定でも差がなかったため
準々決勝ではレチ・クルバノフとの激闘を制して勝ち上がった田中。対するタリエルは準々決勝で小林大起を再延長の末に下している。
左の突きから右の下段を蹴るタリエル。田中も強烈な右の下段を蹴って、タリエルを下がらせる。 タリエルは田中の周りを回りながら左の突き、そして右の下突き。田中は左右の突きを返して、左の下段を蹴る。
タリエルは右の突きから左の下段蹴り、後ろ廻し蹴りを見せる。田中はタリエルの腹に左右 の突き。しかしタリエルも強烈な右の突き、左の下突きを返す。激しく突きを打ち合う展開の中、田中の右の突きがタリエルの顔面に入ってしまう。再開後、再び両者は足を止めて突きを打ち合うが差はつかず、判定0−0で延長に突入する。
延長、左の突きから左右の下段を蹴るタリエル。田中は重い右の下段廻し蹴りを返す。ここも足を止めて突きを打ち合う両者。田中は右の突きを胸元と腹に打ち分ける。タリエルは田中の左右に回りこむ ようにして突きと膝蹴り。
田中もガムシャラにタリエルを追いかけて突き、そして右の下段廻し蹴り! 気迫の攻撃でタリエルを場外まで押し出す。しかし判定は2−0(田中)で、延長2回までもつれること になる。
延長2回、タリエルが左の突きと右の前蹴り。田中はその前蹴りを受けて、右の突きで飛び込む。突きと左の下段を蹴るタリエル、田中は右の突き、そして右の下段廻し蹴り。
田中の右の突きが顔面に入ってしまうが、タリエルはすぐに立ち上がって試合を再開する。左の突きから前に出る田中。しかしここでも顔面殴打があり、田中に注意が与えられる。再開後、2人が突きと膝蹴りで打ち合う展開が続き、そのまま試合が終わる。
判定は0−0と差がなく、決着は体重判定へと持ち込まれる。しかし体重判定でもタリエル=87.5kg、 田中=90.3kgと両者に10kg以上の差はなく、試し割り判定へ。試し割りの結果はタリエル=22枚、田中 =15枚! タリエルが田中を撃破し、決勝にまで駒を進めた。
▼準決勝
○森 善十朗(東京城西)
本戦 判定5−0
●沢田秀男(正道会館)
極真勢を脅かすライバルとして各大会で結果を残している正道会館の沢田を森が迎え撃った。じりじ りと前に出る沢田に対し、森は左の突きから右の下段廻し蹴り、左の下段蹴りを返す。森は下がるだけ でなく自分から前に出て左の下段蹴り。沢田が右の中段を蹴ると、左の下段蹴りを合わせる。
左の突きから右の下段廻し蹴り、左の下段蹴りで攻める森。沢田も距離が詰まると左右の突きを繰り 出すが、森はすぐに離れて距離を取る。沢田が前に出てくれば森は回転の速い突きを見せ、手数で沢田 を上回る。判定は5−0で森! 他流派でもある沢田を準決勝で食い止め、決勝進出を決めた。
★準々決勝から3回戦の主な試合結果(田中VSクルバノフ、森VS荒田、荒田VSダミヤノフ、中村VS高橋)はこちら
<入賞者>
優勝 タリエル・ニコラシビリ(ロシア)
準優勝 森善十朗(東京城西)
3位 田中健太郎(川崎中原)
4位 沢田秀男(正道会館)
5位 荒田昇毅(千葉県南)
6位 小林大起(東京城西)
7位 レチ・クルバノフ(ロシア)
8位 鎌田翔平(東京城西)
敢闘賞 中村昌永(兵庫大阪南)
技能賞 森善十朗(東京城西)
新人賞 高橋佑汰(東京城北)
試割賞 荒木 聡(浅草・22枚)
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高橋佑汰VSガンダム、田中健太郎VS赤石誠のスパーリング、森善十朗の日本海式竜巻蹴り、房総の金太郎・荒田昇毅の破天荒すぎる猛特訓などを動画で!インタビューも多数あり |
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