■細身であるにも関わらず強い前に出る圧力
2月4日の『K-1 WORLD MAX 2006〜日本代表決定トーナメント〜』で圧勝した佐藤嘉洋。長身を利した圧力を活かしてパンチ・蹴りを有効に使い、対戦相手を徐々に痛めつけていく堅実なファイトスタイル。対戦相手は成す術もなくペースを奪われ、ワンサイドの判定負けを屈している。
佐藤の主武器はテンカオ気味の左右のヒザ、もしくは片手で引っ掛けてからの組み際の首ヒザ、そして左右のローキックといったところでありパンチはない。ヒザ蹴りやローキック共に切れ味はなく、かと言って一発で効かせるほどの重さも迫力もない。
しかし、対戦相手の多くはローやヒザで効かされていることが多い。なぜ見た目にはそんなに大したことがない様な蹴りが、威力を発揮するのであろうか?
魔裟斗のような精度の高いコンビネーションやパンチの切れを持ち合わせていないのに、なぜ相手は嫌がるのであろうか?
それは手足の長いリーチを存分に活かし、かつ細身であるにも関わらず、意外に強い前に出る圧力・粘さであると私は観ている。
長身の打点が高いタイプを前にすると、どんな者でも全体が大きく視界に入るために胴体がより長く目に映るものである。この胴体が長く映る者と相対すると、その長さに捕らわれ、パンチや蹴りが非常に視界から外れやすくなり、どこから打撃が飛んでくるか分からない状態になるのだ(経験談)。
苦杯を舐めた対戦相手の多くが、これほどの身長・リーチ・前に出る圧力の強さの選手と対したことがないため、佐藤に横綱相撲をとられて敗れているのが現実であろう。
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