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【K-1】12・31秋山成勲VS桜庭和志戦の裁定についての記者会見全文(5)

2007/01/11



 1月11日(木)都内ホテルにて、2006年12月31日(日)大阪・京セラドームで開催されたTBS/MBS/FEG主催『K-1 PREMIUM 2006 Dynamite!!』での秋山成勲(フリー)VS桜庭和志(フリー)戦に関する記者会見が行われた。

 会見には谷川貞治イベントプロデューサー(以下EP)、磯野元HERO'Sルールディレクター、平直行HERO'S審判長、梅木良則レフェリーが出席、この一戦の裁定に関する結果報告が発表された。また秋山本人も会見に出席し、今回の件についてコメントを残している。以下、秋山のコメントと記者との質疑応答。

秋山成勲
「あの大舞台で桜庭さんと試合をさせていただいた関係各位のみなさん、あの時に集まってくれた140人の柔道の子供たち、そして全国のファンのみんなに、本当にお詫びしなければなりません。

 自分のとった行動が皆さんを裏切ってしまい、深く反省しております。自分ではルール違反ではないと思っていましたが、その認識のなさがこのような問題を起こしてしまい、深く反省し痛感しております。

 試合後、色んな不信感があり、色んな問題が起こったんですが、自分は本当に悪意をもってやっていません。しかし疑いを持たれること、それ自体が大きな問題になってしまい、そのことを心から痛感して反省し、弁明の余地もありません。

 処分に関しても桜庭さんが納得されてない部分もたくさんあると思います。ですが自分はどんな処分でも受けるつもりでいます。その処分を受けて、また桜庭さんと機会があれば笑ってリングの上で戦えればなと思うのと、しっかりと桜庭さんの目を見て謝罪をしたいと思います。

 自分がこういう風になってしまった以上、もう一度、格闘技の名誉と、柔道の子供たちやファンのみんなに応援してもらえるように、怪我を治して精進していきたいと思います。最後に桜庭さん、本当に申し訳ありませんでした」

――控え室でクリームを塗っている時、周囲に「辞めた方がいいんじゃないか」と言う人はいなかったんですか?

秋山「自分に付いている山田トレーナーは、セミファイナルで魔裟斗選手と試合をした青コーナーの鈴木選手のところに行っていました。自分でこう言うのも何なんですが、自分の周りにはプロとしての人間はほとんどいません。

僕の幼馴染みや友達、その後輩たちで、寄せ集めの草野球チームのような形でここまで頑張ってきて、それを自信と思っていました。認識のなさも大きな問題の一つですが、クリームを塗っていた時にそういった言葉を言う人間は正直いませんでした」

――クリームは何のために塗っているんですか?
秋山「女性の方は分かると思うのですが、保湿のために毎日使っているものです。もともと自分は手足が多汗症で、いつもタオルを持ち歩かなければいけない体質なんです。冬になると汗が出る分、肌が乾燥してしまうんですね。それで日常の生活で使用している乳液を使ったということです」

――それは全身に使うものなんですか?
秋山「顔にも塗りますし、シャワーを浴びた後は全身に塗ることが毎日の生活の一部になっています」

――クリームを塗らないと乾燥してひび割れたり、切れてしまうんですか?
秋山「そうですね」

――控え室ではクリームは全身に塗ったんでしょうか?
秋山「指先まで念入りにというのではなく、適当ではあるんですが(全身に)塗りました」

――磯野ルールディレクターにお聞きします。ルール上は問題ないということですが、片方がバンテージを厚く巻き、片方がほとんどバンテージを巻いていない状態で試合をすることは問題がないと考えられているのでしょうか?

磯野「総合格闘技は戦略の幅が大きいものですから、打撃を多く使いたい選手が支給された範囲内でバンテージを厚く巻くこと、グラップリングを中心にしたい選手がバンテージを薄く巻く、もしくは全く巻かないというのは、あくまで選手の戦略に基づいた自由だと思っています。(※HERO'Sルールでは布のバンテージとテーピングをそれぞれ左右一本ずつ支給)

 一方の選手にしかバンテージが支給されない、一方の選手にしかグローブのサイズを選ぶ権利がないと言うのであれば、それは非常に不公平なことだと思いますが、バンテージやグローブのサイズをどうするかは、すべての選手に公平な選択肢が与えられて、その中で選手が判断することです。

 今回、秋山選手のグローブが大きかったことが不公平な要素があったかと言われれば、そういった要素は全くないと考えています」

――道衣のチェックに関して、試合直前ではなく、事前に着用するかどうかを申告するといった改善策は考えられてますか?

磯野「用具チェックやコスチュームの確認は行っておりますが、秋山選手は試合直前のインスピレーションで(着るかどうかを)決めるということで、試合をしてきましたから、できるだけ選手の要望に添える形でやってきました。

 しかしご指摘の通り、その結果このような混乱を招いたことは真摯に受け止めます。今後は競技コスチュームの管理や、コスチュームそのものに制限を設けさせていただく可能性もありますし、何らかの改善はする予定です」

――スミルノヴァス戦でクリームを塗らなかったのはなぜですか?
秋山「スミルノヴァス戦は10月の試合で、自分の中ではまだ暖かい時期で、今回は12月31日で寒く乾燥する時期でした。なぜスミルノヴァス戦で塗らなかったのかは、季節のことです」

――チェックを三重四重にするということでしたが、具体的にはどういったことをお考えですか?
磯野「まず何重にという部分ですが、一つの方法で100%満足できる方法があれば、それを採用しますが、現状では僕ら自身でそういった方法で確立しておりません。おそらく人数を増やす、一案として考えているのが、インスペクターと呼ばれる中立の立場の人間を各控え室に配置することです。

 こういうイベントや興行では、レフェリーは試合開始前の状況ではかなり時間がありますから、綿密に選手やセコンドの様子、用具のチェックを行えるのですが、試合が始まると、核となる審判員は会場に行ってしまうので、控え室で何が行われているのかを把握することは難しい。そのため人員を増やすことは有効な方法だと思います。

 道衣だけでなく、ルールで認められているイレギュラーなコスチュームを使用する場合は、試合開始直前のゲートのところまでは競技役員がコスチュームを預かり、ゲートまではレギュラーの形で来てもらい、そこのチェックで問題がなければ、コスチュームやグローブを渡すことを考えています」

谷川EP「今回の件に対する改善策については、そこまで話し合われていません。今年のHERO'Sは3月からスタートすると思っているんですが、その時にルールの改善策・改正を含めて考えています。初めて舞台裏の映像を見せてもらったんですが、試合前にチェックする時間や場所があることが分かったので、そのアイディアや感想は審判団にぶつけようと思います」

――試合中に桜庭選手が「滑る」とアピールしている時に、自分のスキンクリームが原因じゃないかという疑念はありましたか?
秋山「正直、試合中は自分も興奮していて、声が耳に入ってこないですし、何を言っているんだろうと思っていました。それが時間を経て、色々な抗議や問題が起こった時に、自分は(塗っていたことを)隠すつもりもなかったし、悪意もなかったので『よく考えたらそうだったな』と後々気付きました」

――平審判長と梅木レフェリーは今回の件についてどうお考えでしょうか?
平「僕らが(秋山選手を)触った時点では何も分かりませんでした。汗を書く前と汗が引いた後だったので。リング上で起こったことに対して、現実問題すべてが伝わってこないですし、選手を守るタイミングでストップをかけることを第一に考えてましたので、桜庭選手に非常に申し訳ないことをしたなというだけです。

 審判団としてではなく僕個人としては申し分けないとしか言いようがありません。あの大舞台で、勝ち負けもありますが、試合中に迷いを作らせてしまった時点で、試合は変わると思うんです。謝罪をしてもしきれないないという想いで一杯で、申し訳ありませんでした」

梅木「自分自身、過失があった、経験不足と認めざるをえないのは、試合後に桜庭選手の抗議を受けて、秋山の体を素手で触ったにも関わらず、それを塗り物だと断定できなかったところにあると思います。

 今までワセリンやタイオイルといったものは発見してきたと思います。ただこのように一般的に使われている常識的なクリームや、肌に塗るべきものを選手が塗布してきた場合にも、それをしっかり塗り物だと判断できるように、勉強していきたいと思います」

――最後のストップのシーンですが、あれは桜庭選手がまだ戦えると判断して止めなかったのか? それとも桜庭選手が抗議している状態に関して止めることをためらったのか? ご説明お願いします。

梅木「まず試合の映像を見て『なんで止めないんだ』と感じる気持ちは私自身分かりました。ただし目の前で秋山選手のパンチと桜庭選手の動きを見ていた私としては、あの時点で試合をストップするのは早いと判断しました。

 あの時、一瞬でも桜庭選手の意識が飛び、桜庭選手が完全に意識を失うようなことがあれば、私も試合を止めます。また桜庭選手が何もせずに顔面を殴られ続けている状態でしたら、それも私は試合を止めます。ただし今回に関しては、桜庭選手は全く意識が飛んでいませんでした。そして私の問いかけや言葉に対しても、反応が遅れることもなく、支離滅裂な返事もありませんでした。

 もしあそこで試合を止めていたら、私は説明ができません。自分の中では止めるタイミングがなかったのです。このような事態がなかったとして、桜庭選手に「なぜ止めたんだ?」と詰め寄られたら、私は説明する術がありませんでした。

 今までの大会でファンやマスコミの方に、ストップが遅い、早いと言われても、私は試合をストップするタイミングは自分自身で決めて、説明ができる状態でやっていました。しかしあの時点ではまだ試合を止められませんでした。

 ただしHERO'Sには審判長というシステムがあり、桜庭選手が殴られ続けているという状況は事実でしたので、審判長にこの状態は止めなければいけないのかどうかを問いかけて、HERO'Sのルールを最大限に生かしてレフェリングをしたつもりです」

 

【関連リンク】
≫FEG公式サイト
≫K-1公式サイト
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