それまで冷静だった魔裟斗が、イラついた表情を見せた。“反対側のブロックからは、誰が上がって来ると思うか”との質問に、ザンビディスが「自分が勝ちあがった場合は、魔裟斗ともう一度やってもいい。全然、問題ないのでもう1回やりたい」と答えた時だ。
魔裟斗は顔の前で手を組んで微動だにしていなかったが、この発言があると手を解き、記者席に座っていたマネージャーに「(記者会見が)長い」と口を動かした。その後も、明らかに不機嫌な表情で宙を睨みつける。
会見が終わると、足早に去っていく魔裟斗を記者団が追い、いくつかの質問を浴びせた。
「今回はやり残した練習もないし、今までで一番いい。優勝しか考えてない。負ける事は全く考えてない」
「明日は1万何千人の前で、俺が一番カッコいい姿を見せます」
何を聞いても、魔裟斗の揺るぎない自信が伝わってくる。最強の対抗馬と目されているジョン・ウェインについても、「今やってもいいくらいの気持ち。いつやってもいい。誰とでもやる。誰にも負ける気はしない」と特に問題にはしてないとの構えだ。
「とにかく明日はパンチをもらわないで、倒す事も考えず…と言っても、流れで倒れちゃうだろうけど。きれいな顔で帰る事を心がける」との発言には、魔裟斗が今年のテーマとしていた“打たせずに打って倒す”をここで完結させようという意思が見えた。
昨日も30分ほどの軽いジムワークをこなし、マッサージを受けた。「何の問題もない。これだけ体のケアに気を使ったのは初めて。これだけ満足いく練習が出来たのも初めて。負ける要素はないです」と、二連覇へ向けて不安要素は一つもない事を強調。
もう一人の日本人、小比類巻について聞かれても、「別に何もない。日本人だからと言って馴れ合う気持ちもない。敵なんだし」とあっさり切り返し、「全員の顔を見たけど、誰もパッとした顔をしてない」とキングの余裕さえ見せている。
記者会見場には笹が用意され、選手たちやマスコミにもお願い事を書く短冊が用意されていたが、魔裟斗は「僕がしなくても、僕のファンがやってくれるでしょう」と言い残して会場を後にした。
明日の七夕決戦、前人未到の日本人によるK-1二連覇という大偉業が、ファンの夢が叶うかどうか…魔裟斗は明日、“人類最激戦区”という名の苛烈な天の川を渡る。
※対戦カードと計量の模様はこちら→
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