BEG
「bodogFIGHT Season 1 Finale」
2006年12月1日(金・現地時間) カナダ バンクーバー パンパシフィック・ホテル
パシフィック・ルーム
インターネット・カジノというビジネスを成功させたボードッグ・エンターテインメント・グループが、巨万の資金をバックに(事実上)MFCを吸収し開かれることになったボードッグ・ファイト。
今流行りのリアリティTV形式の煽り番組も制作。8月にコスタリカで収録したシーズン1のフィナーレとして、今回のカナダ・バンクーバー大会で米国×ロシアの対抗戦が組まれた(この辺りはMFCの流れを多いに組むカード編成だが――)。さらに3試合のスーパーファイトと贅沢三昧な大会の計量が、コール・ハーバーを望むバンクーバーでも最高級に数えられるパシフィックホテルで行われた。
MARSに来日し、強さをみせつけたエディ・アルバレス(写真右→)の王座防衛戦や、HERO'Sでも活躍中のアントニオ・ペザォンの北米デビュー戦など、米国×ロシア以上にスーパーファイトへの関心が高い大会だが、最大の注目はホジャー・グレイシーのMMAデビュー戦であることは間違いない。
だが、ADCCサブミッションファイティング無差別級世界王者、〜現在進行形〜最強グレイシーは、対戦相手のロン・ウォーターマンが計量を終え、スチール撮影の時間になっても会場に現われない。その後、4試合の計量が済んだ頃に、会場にやってきたホジャー。何でも、ヘビー級契約のため減量の心配もなくゆっくり昼食を終えての計量会場入りだったという。
そのホジャーだが、服を着たままで計量に挑み、結果は220ポンド(約99・9s)。
昨年のADCCの際は、洋服を脱いで98・9sだったことを思えば、当時よりも体は絞られていると想像され、アゴのラインもさらにシャープになっている。
叔父ヘンゾ(写真右→左がホジャー)のいうとおり相当量の練習を積んできたようだ。
一見、こわばった表情で緊張しているかのように映るが、実際のところ柔術の試合前やグラップリングの試合前の様子とさほど変わりない。とにかく感情が表に出てこない選手。特に面識のない北米の記者の前ということもあってか、計量では最後まで固い表情のままだった。
それでも、計量とスチール撮影を終えると、実父マウリシオ・ゴメス、ヘンゾらと談笑するなど、本人の言葉にあるように「試合前日の選手としては当然」の程よい緊張感を漂わせながら、ホジャーは計量会場をあとにした。
→ボードック・ガールズもお披露目
最強一族の現在を支えるホジャーが、初めてのMMAでどのようなパフォーマンスが見せるのか――、答はすぐに出る。
●ホジャー・グレイシー 計量後 コメント
――この試合に向けて、どのような準備をしてきましたか。
「2ヵ月半、ニューヨークで従兄弟や叔父と十分に準備をしてきた。ムンジアルのあと、ロンドンに2週間だけ戻って、それからすぐにニューヨークに渡ったんだ。ヘンゾ、ホーレスにイーゴー、それにヘンゾの生徒のジャマール・パターソン。ジャマールとは随分レスリングをやったよ。ヘンゾのところには、優秀なレスラーが多いから、凄く良い練習ができる。ヒカルド・アルメイダも、一緒に練習に付き合ってくれたよ」
――UFC世界ウェルター級王者になったGSPも、ヘンゾのところで練習していたと聞きますが。
「ジョルジュ・サンピエールとは、一緒になったことはないね」
――ところで、MMAデビューということで、やはりホジャー選手の打撃のスキルというものが気になるのですが。
「ボクシングも少しはやってきたよ。でも、打撃で勝とうという気はさらさらないし、あくまでも勝負を決めるのはグラウンドだと思っている」
――当初の予定ではロン・ウォーターマン選手でなく、ドン・フライ選手と戦うとアナウンスされていました。
「ドン・フライの方がスタンドの攻防を好むから厄介だったかもね。ウォーターマンはテイクダウンを狙ってくるファイターだから、どちらかというと闘いやすいスタイルの持ち主だと思う」
――緊張していますか。
「少しね(笑)。でも、いつも試合前には少しぐらいは緊張するもんだよ。明日、試合が控えている者とすれば、普通のことだと思う」
――やはりグラップリングの試合前とは違うのでしょうか。
「正直に言って、そんなに変わりはないかな。グラップリングの試合前でも、今日よりナーバスになっていることもあるしね。凄く落ち着いているよ」
――ウォーターマン選手とは、実に54ポンド(約24・5s)も体重差がありますが、気にならないですか。
「50ポンド軽い、それが僕にとって最大の強みになるということが、試合を見れば分かるよ」
●ヘンゾ・グレイシー コメント
――ホジャー選手のMMAでの潜在能力は、どの程度だと思われますか。グラップリングの実績は誰にも劣りませんが。
「ホジャーのMMAデビュー戦を見た人は、物凄く驚くと思う。彼はグラップリングのテクニックをMMA用にアレンジできている、その強さをMMAでも十分に見せつけるだろう。この2カ月半のトレーニングで、新しいホジャー・グレイシーが生まれたんだ」
――ホジャー選手は、いつもクールで落ち着き払っています。MMAでは、もっと激しい気性が必要だと感じたことはありませんか。
「ホジャーは最も大きなグレイシーだよ。闘いに必要な精神力は十分に持ち合わせている。この試合は、彼にとって初めてのMMAだけど、十分なトレーニングを積んできた。ドン・フライとロン・ウォーターマンでは、試合展開も変わってくるだろう。でも、ホジャーは誰とでも闘えるだけのトレーニングを積んできた。対戦相手が変わったことは問題ではないよ」
――柔術のトップ選手のMMA転向といえば、同じグレイシー・バッハのトップ柔術家であるマーシオ・ペジパーノ選手がUFCで闘っていましたが、正直、十分にMMAに対応できているとは言いがたいです。
「確かに。ペジパーノは、柔術からMMAへのスタイル・チェンジが上手く機能していなかった。だからこそ、我々はペジパーノの失敗から、色んなことを学ぶことができた。柔術やグラップリングの試合と同じように闘うなんて無理だ。その点、ホジャーは道衣を脱いでも、スタンドで十分の力を持っているし、そのように練習してきた。彼のテイクダウンは相当のレベルにあるよ。多くのレスリング経験者と、あらゆる場面を想定してテイクダウンの技術を磨いてきたからね」
――では、試合ではペジパーノ選手のように引き込むことはないと。
「ないよ。とにかく、ホジャーの強さはリング上で全てが明らかになるよ」
<全対戦カード>
▼スーパーファイト ヘビー級 5分×3R
ホジャー・グレイシー(ブラジル)
VS
ロン・ウォーターマン(米国)
▼MFCウェルター級選手権試合 5分×5R
エディ・アルバレス(米国)
VS
アーロン・ライリー(米国)
▼スーパーファイト スーパーヘビー級 5分×3R
アントニオ・ペザォン・シウバ(ブラジル)
VS
エリック・ペレ(米国)
【アメリカVSロシア】
※全試合、上が米国人選手、下がロシア人選手
▼ミドル級 5分×3R
トレバー・プラングレー
VS
アンドレイ・シモノフ
▼ライトヘビー級 5分×3R
マイク・パット
VS
マルトゥン・マルホージャン
▼ミドル級 5分×3R
チェール・シェノン
VS
アレクセイ・オレイニキ
▼女子135ポンド 5分×3R
タラ・ラローサ
VS
ジュリア・バレジコバ
▼ミドル級 5×3R
ニック・トンプソン
VS
アンサル・シャランゴフ
▼ライト級 5分×3R
ニック・アガラー
VS
ウラジミール・ゼニン
▼ヘビー級 5分×3R
マリオ・リナルディ
VS
セルゲイ・カスノフスキー
▼ウェルター級
キース・ウィスニエフスキー
VS
エリック・オガノフ
写真撮影&レポート=高島学
Photos&Report=Manabu Takashima
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