7月8日(日)神奈川・横浜市南スポーツセンター第2体育館にて、日本サンボ連盟『第38回全日本サンボ選手権大会』が開催され、シニア男子9階級、シニア女子2階級でトーナメントが行われた。今年度はユニバーシアード対策に行った講習会(5月にナショナル・トレーニング・センターで実施)の影響か、大学生の参加が目立った。
52kg級は、これまで最高位2位だった川澄亮祐(木口道場)が悲願の初優勝。ここ最近は極めの強さも目立ち、まだまだ伸びしろを感じさる。準優勝の天野正道(総合格闘技YAMATO)は、準決勝で昨年度王者の中島涼(法政大学)を破っての決勝進出。見事な試合運びは会場を唸らせた。
57kg級は、昨年度王者の清水清隆(TRIBE TOKYO M.M.A)と伊藤要(刈屋道場)が欠場。混戦を勝ち上がったのは大東文化大学レスリング部の米山輝とSKアカデミーとして再スタートを切った元スポーツ会館の鈴木岳男。米山はレスリングベースの闘いで準決勝までを制したが、対する鈴木は柔道ベース。米山の豪快なリフトが決勝でも通じるかが注目されたが、勝負は以外にも完全な鈴木ペース。投げ技のポイントを重ね、テクニカル一本で勝利。
62kg級を制した西尾直之(伊田組)は昨年度の準優勝者。全日本選手権13連覇中の“絶対サンボ王者”松本秀彦(木口道場)を破り勝ち上がった三木秀輝(関西医療学園専門学校)との対戦は全く展開の予想がつかない取り組みとなる。試合は、レスリング的戦法で粘り切った西尾が制し、嬉しい初優勝。ここ10年以上波乱のなかったこの階級にあらたな波が訪れた。
最も激戦区となったのは68kg級。実力者揃いのこの階級を制したのは、昨年度王者である山崎吉央(菊池商店)。本年の大会で唯一連覇を果たした。相手は同じくサンボの実力者を破り勝ち進んできた東海大学の佐藤優作。サンボのキャリアがものをいい、山崎が激戦を制した。国内のサンボ大会しか経験がない選手だが、今後世界の舞台でどう闘うかを観てみたい実力者だ。
柔道界からも注目されたのが、74kg級の鳥居智男(関西医療学園専門学校)の出場。大学生の比率が多いこの階級だったが、きっちりポイントをとり予想通り鳥居が決勝進出。対するは東海大学柔道部の原口直也。非常に僅差の、ある意味でサンボらしい試合展開となったが、鳥居が判定で勝利。サンボでもその強さを誇示した。
82kg級は本命なき混戦。目立ったのは大阪商業大学の北条清矢。結果は準優勝だったが、柔道ベースの闘いで最後まで勝負を捨てない試合ぶりは会場の注目を浴びていた。学生サンボの名門ともいえる大阪商業大学の今後を担う存在になりそうだ。優勝したのは日本体育大学の宮下裕吉。大学柔道部のレベルの高さをみせつけた結果となった。
例年、参加人数とは関係なく層の厚い階級といわれているのが90kg級。第7代ミドル級キング・オブ・パンクラシストの竹内出(アブソリュート岡山)が準決勝で、昨年度優勝した榊原啓三(木口道場)が緒戦で敗れる波乱。その榊原を破った佐藤陽介(無所属)が、やはり昨年度準優勝で元全日本王者でもある菊地嘉幸(菊地商店)を決勝戦で接戦の末に破り初優勝を果たした。
100kg級には昨年度3階級を制した千葉記位(武心会サンボ教室)と、日本代表として世界選手権への出場経験がある田矢信二(フリー)、昨年の世界ユース代表である國學院大學の菊地真澄がエントリー。激戦区となるも、決勝の顔合わせはベテラン・千葉と期待のホープ・菊地。アグレッシブな攻撃を続けた菊地が僅差のポイントで判定勝利。シニア初優勝を飾った。
+100kg級は、エントリー2名のため、決勝戦のワンマッチ。大阪商業大学の金城義恒が東海大学の橋一真を破り優勝。
シニア女子48kg級は昨年と同じ顔合わせ。サンボのキャリアに勝る八木沼志保(アンプラグド国分寺)が先制し、楠本佳子(アブソリュート岡山)がそれを追いかけるという展開。お互いに技がよく出るスリリングな展開となり、八木沼が逃げ切った形で試合終了。スピードある好勝負となった。
シニア女子52kg級はエントリー1名のため、大東文化大学レスリング部の櫻井友香(大東文化大学)が認定優勝。参考試合も制し、サンボ初体験を勝利で終えた。女子が少ない日本のサンボ界において、今後の継続参戦が期待される選手である。
比較的連覇が多いサンボの全日本選手権だが、今大会で連覇を果たしたのはMVP(最優秀選手賞)を獲得した68kg級の山崎のみ。学生のエントリー増がその要因かもしれないが、新規参戦で優勝したのは2階級のみ。今後の継続参戦によって、勢力図がどのように変わっていくのかが非常に楽しみだ。
日本サンボ連盟
「第38回全日本サンボ選手権大会」
2012年7月8日(日)神奈川・横浜市南スポーツセンター第2体育館
情報提供:日本サンボ連盟 事務局広報委員会
■男子シニアの部
▼+100kg級
優勝 金城義恒(大阪商業大学)
準優勝 橋一真(東海大学)
▼100kg級
優勝 菊地真澄(國學院大學)
準優勝 千葉記位(武心会サンボ教室)
▼90kg級
優勝 佐藤陽介(無所属)
準優勝 菊地嘉幸(菊地商店)
▼82kg級
優勝 宮下裕吉(日本体育大学)
準優勝 北条清矢(大阪商業大学)
▼74kg級
優勝:鳥居智男(関西医療学園専門学校)
準優勝:原口直也(東海大学)
▼68kg級
優勝 山崎吉央(菊池商店)※最優秀選手賞
準優勝 佐藤優作(東海大学)
▼62kg級
優勝 西尾直之(伊田組)
準優勝 三木秀輝(関西医療学園専門学校)
▼57kg級
優勝 鈴木岳男(SKアカデミー)
準優勝 米山輝(大東文化大学)
▼52kg級
優勝 川澄亮祐(木口道場)
準優勝 天野正道(総合格闘技YAMATO)
■女子シニアの部
▼48kg級
優勝 八木沼志保(アンプラグド国分寺)
準優勝 楠本佳子(アブソリュート岡山)
▼52kg級
優勝 櫻井友香(大東文化大学)
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