ワンソンチャイプロモーション
『タイ王妃生誕記念イベント クイーンズカップ2012』
2012年8月12日(日・現地時間)タイ・バンコク王宮前広場
▲敗れるもベストワイクルー賞を受賞した村上リエ(左から2番目)
クイーンズカップとは、タイ王妃生誕記念イベントの1つとして行われ、2010年にはJ-NETOWORKより選手が参戦、2011年はDRAGON GYMの佐藤亮会長が中心となり、日本からメンバーを選抜して大会に参戦した。
今年は元J-GIRLSイベントプロデューサーの石垣槙壱氏(現・戦場イベントプロデューサー)が団長、佐藤会長が監督となり、クイーンズカップジャパン実行委員会を結成し、村上リエ(DRAGON GYM)、三堀“SMILE”美弥子(Y’ZD GYM)、ジェット・イズミ(M16ムエタイスタイル)、熊井亮介(Y’ZD GYM)の4人の日本人選手が出場した。
昨年は、タイ王族に不幸があり100日間同所は葬式場として使用されたために大ブランコ記念塔広場で開催されたが、今回は一昨年と同じく王宮前広場での開催となった。
タイで連日降り続けるスコールの影響で開始時間が遅れ、集客も最初は良くなかったが数時間後にはスコールも止み、約2万人の観客が集まる。
→子供たちによる古式ムエタイショー
花火のセレモニーやパレード、アストラビジョンでの映画上映、古式ムエタイショーなどなどの様々なイベントがあり、タイ王妃生誕記念イベントにふさわしい大規模なイベントとなった。
▲ファシトーン(右)の的確な右ミドルに苦戦する村上リエ(左)
▽第2部
▼メインイベント 62kg契約 3分5R ※ヒジあり
○ファシトーン(タイ/WMCフライ級王者)
判定3−0
●村上リエ(DRAGON GYM/WPMO女子世界ライト級王者、ワンソンチャイワールドタイトル63kg王者、J-GIRLSライト級王者)
31戦無敗、日本最強・村上リエの対戦相手のファシトーンは、タイ・ソンチャイプロモーションNo.1の天才少女。まだ16歳ながら60戦ものキャリアがあり、負けは僅か3回だけという超強豪。ムエタイの盛んなイサーン(東北地方)出身で、イサーンのベルトも保持している。強すぎて対戦相手がいないことから、ここ4試合は男子選手と試合をしているという。
1R、サウスポーの村上は右ジャブを出しながら左ストレート、左ミドル、左ロー。ファシトーンは様子見なのか、じっくりと構えた状態でなかなか手を出さない。レフェリーは両者に対し、もっと攻撃を出すようにと声をかける。村上は飛び込んで左ストレート。ファシトーンは組みついてヒザ。
2R、村上は右ジャブで距離を取りながら左ミドル。ファシトーンは前蹴りを合わせる。このラウンドもなかなか手を出さないファシトーン。
村上はテンポよくワンツーを当てる。ファシトーンはジャンプしての右ハイをクリーンヒット! 村上のパンチにはテンポよく右ミドルを合わせる。
3R、左右ローの村上。ファシトーンは1、2Rとは違い、圧力をかけて前に出る。村上は左ミドル、左ロー、ワンツー。ファシトーンは組んでのヒザ。ファシトーンのプレッシャーの前に、珍しく村上は下がってしまう。ファシトーンはミドルで飛び込んでヒザ。
4R、村上は左ミドル、前蹴り。ファシトーンは下がる村上を捉えてヒザ。さらに右ミドルを連発で当て、村上のワンツーにはテンカオを合わせる。村上の蹴り足を掴んだファシトーンはこかす。村上も飛び込んで左ストレートを当てる場面もあったが、ファシトーンはテンポよく右ミドル。
5R、前に出るファシトーンが右ミドルで村上のボディをえぐる。村上はファシトーンの蹴り終わりを狙ってパンチ。ファシトーンは組み付いてヒザと主導権を握る。
終盤にも、ファシトーンが右ミドルを連発であて首相撲で優位に立つ。勝負は判定決着となり、ファシトーンが勝利。32戦目にして初黒星を喫した村上は「悔しいですね。ファシトーンはどの技もうまいなと思いました。右ミドルは重く、やはり過去最強の相手でした」と試合を振り返る。気になる今後については「試合がいつあるかわかりませんが、日本人じゃなく外国人選手とやりたい。ファシトーンとは戦場のリングでリマッチもいいけど、やりならタイでやって勝ちたいですね」とファシトーンへのリベンジを口にした。
日本選手団の4戦4敗に終わった今大会。佐藤会長は「3度目の奇跡(2010年は村上、モニカが、2011年はモニカが同大会で世界タイトルを奪取)は起きなかった。今まで凄くいい想いをしてきたが、今回の負けは意味があることだと思います。ロンドンオリンピック(200M平泳ぎ決勝)で負けて後輩(立石諒)を爽やかに称えた水泳の北島康介選手のような男の領域には自分はまだ達していませんが、負けたことで男を上げたい。負けたまま終わるのは性格的にダメなので、これで終わる気はさらさらありません」と今回の敗戦をバネに再浮上を狙うという。
また、石垣団長(写真左)は「今回4名でバンコクに乗り込み、全員勝ち星を掴むことが出来ませんでした。正直悔しい思いです。負けは僅差でしたが、各選手は試合結果から得るものは大きく次回に繋がるのを感じました。私も団長として今後、ソンチャイプロモーション所属選手を日本に招いて、単発的なお付き合いではなく継続的な仕事としてのお話しをソンチャイプロモーションの副社長ご夫妻(写真右)からの一歩踏み込んだご提案を頂きました。内容に尽きましてはまた近い内に発表させて頂きたいと思います。最後に、世界最大の女子ムエタイイベントに今年で三年連続参加が出来た事に感謝し、また来年日本選手団を結成して貸を返しに乗り込みたいと考えております」とコメントした。
▼第4試合 ワンソンチャイ・ライトフライウェイト・ワールドムエタイ・チャンプオンシップ 3分5R ※ヒジあり
○ルークナム・コークロンキィヨウ(タイ)
判定
●三堀“SMILE”美弥子(Y’ZD GYM)
三堀は“ママさんキックボクサー”として知られ、豊富なスタミナと手数が持ち味のパンチ主体のファイター。三堀は世界タイトルを獲得することが出来るのか!?
対戦相手のルークナムは昨年のクイーンズカップで元WMC世界ピン級王者ティチャー・ゴー.アディソン(Little Tigerと1勝1敗)と対戦している強豪である。
1R、じっくり構えるルークナムに対し、三堀はジャブからロー。パンチ連打も見せるが、ルークナムはしっかりブロックし前蹴りで距離を取る。2R、ルークナムは右ミドル。三堀はパンチで飛び込むものの、首相撲に掴まってしまう。3R以降も三堀がパンチ連打で追い込んだが、ルークナムは徹底した首相撲からのヒザで主導権を握らせない。判定で三堀が敗れ、ルークナムが王者に輝いた。
▼第3試合 51.0kg契約 3分5R ※ヒジあり
○ノーンギフト・オーワンチャード(タイ)
判定
●ジェット・イズミ(M16ムエタイスタイル/初代J-GIRLSミニフライ級王者)
ジェットは初代J-GIRLSミニフライ級王者。3年連続のクイーンズカップ出場となり、2年連続で大逆転劇を演じている。いぶし銀のムエカウ(タイ語でヒザの選手)は2万人の大観衆を再び沸かせるのか。
1R、ジェットは右ロー、右ミドル。ノーンギフトも左ミドルを連発で返す。さらに前蹴りでジェットを突き飛ばすとヒザ蹴りで追撃。
2R、ノーンギフトはパンチ、左ミドル。ジェットもすぐに右ミドルを返すが当たらない。3R、プレッシャーをかけるジェットに対し、ノーンギフトは下がりながらも前蹴りから組み付いて首相撲を仕掛ける。4Rにはジェットがこかされる場面もあり印象は悪い。
5Rもジェットが手数で上回っているものの、巧みにディフェンスするノーンギフトが首相撲で優位に立ち主導権を握らせない。判定でジェットが惜敗した。
▽第3部
▼第3試合 50kg契約 3分5R ※ヒジあり
○ロートナロン・シンマナサック(タイ)
判定
●熊井亮介(Y’ZD GYM/ドラゴンスタジアム50kg級王者、APKFジュニア50kg級王者、UKF48kg級王者)
ジュニアで活躍し、6月の戦場でドラゴンスタジアム50kg級王者に輝いた現在中学生の熊井がタイで初の遠征試合を迎える。会場で配られたプログラムに大きく顔写真が掲載されており、タイ側も注目していることがうかがい知れる。
1R、熊井は左ジャブを突きながら右ロー。両者共に攻撃が少なく、両者にレフェリーから注意が言い渡される。ロートナロンは左ミドル。熊井は右ローを返す。
2R、じりじりと圧力をかけるロートナロンに対し、下がりながらも右ローの熊井。ロートナロンはパンチで飛び込むとテンカオ。そのまま首相撲で捕まえるとヒザ蹴り! ロートナロンが優位に立つ。熊井もフックを振り回し首相撲から逃れようとするも、ロートナロンはしつこくヒザ。
劣勢の熊井だったが、パンチ連打でロートナロンをコーナーに追い込む場面もあったが、追い込むことは出来ない。その後もロートナロンが首相撲で上回り、熊井は判定負けを喫した。
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