6月17日(日・現地時間)タイ・バンコクにあるムエタイ二大殿堂のひとつラジャダムナンスタジアムに『ALL
JAPAN KICKBOXING 2007 MUAY THAI CHALLENGE タイ国遠征試合』として敵地に乗り込む全日本キックボクシング連盟の5選手が、7日(木)東京・AJジムにて公開練習を行った。
この日の公開練習は3分1R、各々が自由に練習を見せるというもので、藤原あらし(S.V.G.)はAJジムの名伯楽ヌンサヤームとのミット打ちを披露、山本真弘と前田尚紀(共に藤原)は蹴り中心のスパーリングを行ったのだが、大月晴明(AJKF)と石川直生(青春塾)のパンチ限定のスパーリングでちょっとしたハプニングが起こった。
大月と石川は互いに練習用の16オンスグローブをつけてリングに上がったのだが、スパーリング開始のブザーが鳴ると一気に距離を詰めて大月がパンチを強振! ブロックを固めてロープに詰まる石川に容赦なく左右のフックを叩き込んでいく。
さらに石川のブロックの間から大月の右アッパーがヒット! 石川の顔が一瞬跳ね上がり、集まったプレスからどよめきが起こる。さらにスパーリングの後半には大月に負けじと、石川も鋭い右ストレートやジャブを大月の顔面にめがけて打ち込むなど、試合前の公開練習としては異例の激しいスパーが繰り広げられた。
公開練習後の囲み取材でスパーリングのことに触れられると、石川は「やられちゃいました。悔しいから今日はテンション低めです」と苦笑い。「公開練習だと思って少しリラックスしていたら、バチバチな感じになって…(大月さんのパンチは)見た目以上のものがあるし、もしフルスイングされていたら16オンスで倒れますよ」とスパーリングの感想を述べる。
それを隣で聞いていた大月は「えっ? そんなに激しかったですか? 公開練習だからと言って、なあなあなスパーリングをやっていたら、何やっているんだ?って思われますからね」と少し驚いた様子。何はともあれ試合直前にあれだけ激しいスパーリングを見せられるということは、タイ遠征に向けての調整が順調だということだろう。以下、各選手と記者との質疑応答。
石川直生
「パッと見るとラジャで勝ち越しているんですね。今の自分がラジャで勝ち越せるかどうかは分かりませんが、そのことがこの選手と戦うことで分かると思います。試合が楽しみです」
大月晴明
「タイの試合は2度目です。ラジャでの試合が初めてなので思いっきりいきます。対戦相手は元気戦を見る限り、俺よりも強い選手だと思うので、自分が勝っている部分で勝負していきたい。僕が勝つとしたらKOしかないわけですから、渾身の力を込めて打ち合いにいきます」
藤原あらし
「相手が16歳ということで、高校生や若い子に恵まれているのかなと(笑)。それはさておき、背が高い選手のようなので、対策を考えます。ただし背が低いなら低いになりにやることがある。これから作戦を立て直します」
山本真弘
「海外での試合は初、行ってみないと分からないですけど楽しみです」
前田尚紀
「山本のセコンドに付いた時に対戦相手の試合は見たいのですが、(藤原)先生から『日本で試合をする時とタイで試合をする時のタイ人は別人だと思え』と言われています。あの試合以外のことも参考に入れつつ戦おうと思います」
●質疑応答
――大月選手、どこが自分よりも強い選手だと思いますか?
大月「元気の試合を見た限り、すごく目のいい選手で、そうそう攻撃を当てさせてくれない。きっとこっちが一発のある選手だと分かると、前蹴りで突き放したり、首相撲からのヒジとヒザで来ると思うんです。
ラジャやタイで試合をするのであれば、僕よりも全然強いでしょう。だから相手がこっちの動きに慣れる前に、ローやボディなど顔面以外の場所に攻撃を効かせたい。僕は倒しに行く戦い方をしなければ、勝てませんから」
――短期決戦を狙いますか?
大月「だからと言って何もしないで突っ込んでいっても、ヒジで切られるか倒されて終わり。僕のリズムを覚えられる前にローやボディを効かせて、意識をそっちに持っていかせたいですね」
――ラジャダムナンスタジアムでの試合ということで、ランキング入りも含めて、これからムエタイに対してどういった方向性を持っていこうと考えていますか?
石川「それは結果としてついてくるものなんで、あまり考えてません。とりあえず面白い試合をして勝てば色々ついてくると思います」
大月「ランキングに入る入らないの前に、きっとムエタイができないとダメだと思うので、自分に(ランキング入りは)無理だと思います(笑)」
藤原「タイの中でフライ、バンタム、フェザーは最も層が厚い階級だと思います。まずはそこでタイ人とどっこいどっこいの試合が出来るようにならないと話にならない。その上で勝ちたいと思います」
山本「たくさんタイ人と試合をすることからスタートしたいです」
前田「自分はタイ人にKO勝ちしたことがないので、タイ人をKOすることを目標にしています」
――あらし選手、前回の会見では「コムパヤック戦ではムエタイをやっちゃったので、即効アレンジをかけてキックボクサーをタイの人たちに知ってもらいたい」と話していましたが、具体的にはどういったことですか?
藤原「あの時はタイ人と蹴り合おうと思って、あんな哀れな試合になっていまいました。だから今回はタイ人に通用する蹴りを持っている日本人がいるということをタイの人に分かってもらえたらなと思っています」
――大月選手はタイ人にKOすることを掲げていますが、あらし選手は逆に相手の土俵で戦って判定で勝ってみたい?
藤原「そうですね。試合には勝ちたいですけど、タイ人とテクニックとどっこいどっこいに持って行きたいんです。だからポイントでタイ人に勝つくらいの気持ちはあります」
――大月選手と石川選手はスパーリングをしてみてお互いにどんな印象を受けましたか?
石川「最初はミットをやる予定だったんですけど、ジムに来た時に『スパーをやらない?』と言われて、やることになりました。タイ人に大月選手のようなタイプはいないと思うし、ムエタイとやることを考えて、自分が課題に思っていたことはスパーリングの中でできました。ただ大月選手はすごく強いです。悔しいから今日はテンション低いです(苦笑)」
大月「たまに一緒に練習をするんですけど、蹴りもありでやったら石川の方が上手いですよ。今日は何とか腕力で持っていった部分もあったので」
――試合前の公開練習としては異例と思うくらい激しいスパーリングでしたが…
石川「二発くらいいいのが入りましたね(苦笑)。公開練習だと思って少しリラックスしていたら、バチバチな感じになって…(大月さんのパンチは)見た目以上のものがあるし、もしフルスイングされていたら16オンスで倒れますよ」
大月「えっ? そんなに激しかったですか? 公開練習だからと言って、なあなあなスパーリングをやっていたら、何やっているんだ?って思われますからね」
――山本選手は前回の試合でタイ人にKO勝ちして、今回はどんな試合をしたいと考えていますか?
山本「僕も判定じゃ勝てないと思うんで、倒すつもりで行きます。倒す形は何でもいいです。流れの中で出た技で倒したい」
――初めてタイで試合をする3選手に質問です。タイヤラジャダムナンスタジアムにはどんなイメージを持っていますか?
石川「イメージで言うと暗い。日本とはちょっと違うというか。きっとテンションも違うだろうし、シュミレーションしてやります」
藤原「ちょっと暗くて熱気がむんむんですか。あとは蹴ったらお客さんが沸く。ムエタイのビデオでよく見る光景ですね」
山本「どのくらい暑いんだろうなって。リングに上がれば一緒なので、場所は気になりません」
――ムエタイを一言で表すと何でしょう?
前田「黒い。どす黒いものですか」
山本「蹴り・キック」
藤原「下から見上げると頂点が見えない山」
大月「最強の蹴り」
石川「タイの国技ですごい競争レベルでやっているものだから強い」
ALL
JAPAN KICKBOXING 2007 MUAY THAI CHALLENGE
「全日本キックボクシング連盟・タイ国遠征試合」
2007年6月17日(日・現地時間)タイ・ラジャダムナンスタジアム
第一部開始17:00 第二部開始21:00
<第1部 対戦カード>
▼135ポンド(61.23kg) ムエタイルール 3分5Rインターバル2分
大月晴明(AJKF/WPKC世界ムエタイ・ライト級王者)
VS
グーピー・ウォー.スティラー(タイ)
▼130ポンド(58.97kg) ムエタイルール 3分5Rインターバル2分
石川直生(青春塾/全日本スーパーフェザー級王者)
VS
チャーンヴィットノーイ・シットチャーンヴィット(タイ)
▼119ポンド(53.98kg) ムエタイルール 3分5Rインターバル2分
藤原あらし(S.V.G./全日本バンタム級王者)
VS
ルークゲーオ・ギャットトー.ボー.ウボン(タイ)
<第2部 対戦カード>
▼128ポンド(58.06kg) ムエタイルール 3分5Rインターバル2分
山本真弘(藤原/全日本フェザー級王者)
VS
ウィーラチャイ・チューワッタナ(タイ)
▼128ポンド(58.06kg) ムエタイルール 3分5Rインターバル2分
前田尚紀(藤原/全日本フェザー級2位)
VS
モンコントーン・ポンソンクラーム(タイ)
●全日本キックボクシング連盟 2007年度・大会スケジュール
6月9日(土)新宿FACE 『CUB☆KICK’S-6』
6月10日(日)新宿FACE 『CUB☆KICK’S-7』
6月17日(日)タイ・ラジャダムナンスタジアム
7月29日(日)後楽園ホール
8月25日(土)後楽園ホール
9月29日(土)後楽園ホール
10月 代々木第二体育館(予定)
11月18日(日)後楽園ホール
12月7日(金)後楽園ホール
※新宿FACE大会、横浜赤レンガ倉庫大会(はまっこムエタイジム)、その他追加大会予定
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