8月20日(金)より公開中の映画『特攻野郎AチームTHE MOVIE』のプロモーションで来日した、B.A役のクイントン・“ランペイジ”・ジャクソンを直撃インタビュー。俳優になったきっかけや、映画を振り返ってもらうだけでなく、元UFCライトヘビー級王者の格闘家として今後日本で試合をする可能性があるのかどうかを聞いてみた。
――今回、俳優として日本に来られた気分はいかがですか?
「ファイターとして来日したときよりも全く違うモードだね。以前は、試合の準備もしなきゃいけないし、戦いが近づくと凄く緊張していたんだ。試合に向けてのインタビューを受けていたときも、おかしなことを言って緊張感を隠していた。『別に相手のことなど何とも思っていない』と言いながらも、ちょっと演技していた部分がある。今回は皮肉なことに、演技者として来たことで素のままでいられる。何も演技しなくていいから楽だよ」
――ランペイジ選手といえば、PRIDEで桜庭和志選手、ヴァンダレイ・シウバ選手、美濃輪育久選手(現ミノワマン)と激闘を繰り広げてきたことが記憶に残っています。どうして、ファイターとして活躍してきたあなたが俳優もこなすようになったんですか?
「以前(マウリシオ・)ショーグンと戦ったとき(2005年4月23日PRIDE GRANDPRIX 2005 開幕戦ミドル級GP1回戦)に、大ケガ(助骨骨折)をしてしまったんだ。当時は日本人のガールフレンドがいたんだけど、日本に住んでいる女性だったのでいつもオレの傍にいるわけではなかった。日本からアメリカに来て面倒を見てくれていたので、オレはシングルぺアレントで息子の世話をしていた。
ソファーから起き上がるだけで体が痛い状態だったので、ソファーに寝転がりながら色々と考えていたんだ。『子供の面倒をずっと見ないといけないのに、もっとこれ以上ケガをしてしまったらどうなるんだ?』と。ケガが治った頃に、ファイターのマネージメントをしているブラジル人のフェデリコから『小さい映画なんだけど、出演しないか?』とオレに一本の電話がかかってきたんだ」
――まさにそれが俳優の道へと進むきっかけだったんですね。
「どうして彼がオレに出演オファーの電話をしてきたかは覚えていないんだが、最初はほんの小さな役を任された。それは、アメリカのヤクザのボディーガード役だった。ヤクザ役をやっていたヤツが『もっとお金が欲しい』とフェデリコに言い始めて、そいつはクビになってしまった。それでオレにヤクザという大役が回ってきたんだ。
当時は演技の経験が全くなかったんだけど、かなりよく演技ができた。自分でも演技をするのが楽しかった。そこで考えたんだ。『もっと俳優のトレーニングを受けていったら、どうなるんだ? ファイターを引退して俳優の道に進むのもありかもな。それがうまくいかなかったら、ジムでも開くか』と」
――ショーグン戦でのケガがいい方向へと導いてくれたんですね。
「そうだな。試合中、ショーグンに早い段階で助骨を折られたときは恥ずかしかったよ。でも今思えば、そこからいい結果が生まれたと思う」
――今回は映画『特攻野郎Aチーム THE MOVIE』でアクションシーンだけでなく、B.A.という自分の暴力行為に思い悩みながらも、心の揺れを表現するという難しい役柄も演じていたと思います。演技の練習はどこでやられていたんですか?
「非常に素晴らしい演技のコーチがいたとこだったな」
――映画撮影時には、ちょうどUFCでラシャド・エヴァンス戦が予定されていましたよね。
「そうなんだ。でも、映画のトレーニングを重点的にやるためにキャンセルしたんだ(後に2010年5月29日に対戦し、判定負け)。そこで、オレが俳優をやることに怒っていたUFCと喧嘩をした。ちょうど映画を撮っているときには、俳優をやりながらも格闘家でいた私生活に思い悩んでいた自分がいたんだ。
監督はそれを知っていて、『自分の実生活と同じじゃないか。もう、試合をやりたくない。喧嘩をしたくない。これからは俳優としてやっていきたい、という揺れる気持ちがあるんだから、それをそのまま映画に出せ』と言うんだ。
――素の自分をそのまま映画で表現できたということですね。
「そうなんだ。だから、映画で出ていたものは演技ではなく、本物の表現だったんだ。その時まさに感じていた気持ちをそのまま出していたのでリアルなものだった。それはある意味、神様の祝福だったのかなと思うよ。信者ではない人間にはわからないかもしれないが、神様はそういう状況に落とし入れて、逆にオレのいいモノを引き出そうとしている。不思議なことだけど、そういうことが度々オレにはあるんだ」
――俳優で成功されて、格闘家としては世界最高峰のUFCで世界ライトヘビー級王者になりました。今後、俳優、格闘家の最終目標としてどういうことを考えていますか?
「俳優としてのゴールは、アクションムービーを作ること。今、ウェズリー・スナイプスのような黒人のアクションスターはいない。オレがアクションシーンをやれば、凄くリアルだろう。格闘家としてのバックボーンはあるし、喧嘩のシーンをやればパーフェクトな演技になる。傲慢で言っているわけではないが、実際にオレみたいな実績、実力のあるファイターでありながら俳優になるケースはない。オレ自身としてもいいチャンスだと思う」
――確かに元UFC王者が俳優になった例はないですね。
「格闘家としては、オスカー・デラホーヤ(メキシコ系アメリカ人の元プロボクサー)のように年に1、2回試合をやれればいい。それも日本でね。あとはアクションムービーに没頭したいね。両方の面でプロモーション出来ればいいと思うね」
『特攻野郎Aチーム THE MOVIE』
大ヒット公開中!
公式サイト:http://www.ateam-movie.jp
20世紀フォックス映画 配給
(C) 2010 TWENTIETH CENTURY FOX
▼INTRODUCTION
「弱きを助け、悪をくじく」のガッツを貫き、筋の通らないことは絶対に許さない、神出鬼没の4人組<Aチーム>!
奇人変人だらけの4人が集まれば、一糸乱れぬチームワークで奇想天外な作戦を遂行し、あらゆる不可能を可能にする超絶スペシャリスト集団へと変貌する! 無実の罪をきせられたAチーム。男のプライドを取り戻すために遂行するのは、ありえないほど豪快奇抜で、小粋な笑いのスパイスを効かせた前代未聞の大作戦!当代随一のヒットメーカー、リドリー&トニーのスコット兄弟が贈る、この夏の爽快アクション・エンターテインメント巨篇が堂々誕生!
▼STORY
メキシコでの<Aチーム>誕生秘話で幕を開けるこの映画は、アジア、アメリカ、ヨーロッパを股にかけたド派手なストーリー。全世界の金融マーケットを崩壊させかねない米ドル紙幣原版の強奪事件の濡れ衣を着せられ、軍人としての階級を剥奪、監獄送りになる4人組。しかしリーダーのハンニバル(リーアム・ニーソン)は、刑務所からの脱獄に成功し、フェイス(ブラッドリー・クーパー)、B.A.(クイントン・"ランペイジ"・ジャクソン)、マードック(シャルト・コプリー)と奇跡の復活を果たす。
果たして<Aチーム>を罠にはめ、巨大な陰謀を仕掛けた真の悪党は誰なのか。
そして汚名返上を成し遂げることができるのか。米軍最強のヤローどもが
男のプライドを懸けた最終決戦、その火蓋がついに切られた…!
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