昨日12月6日(土)神奈川・横浜アリーナで開催された『K-1
WORLD GP2008 FINAL』の一夜明け会見が、優勝者レミー・ボンヤスキー(オランダ/チームボンヤスキー)と谷川貞治FEG代表出席の元、7日(日)都内ホテルにて行われた。
谷川代表は以下のように大会を総括。
「今年のK-1はいい試合が続き、昨日の決勝大会もひとつひとつの試合に関しては内容の濃い闘いが続いたと思います。特に今年嬉しいのはバダ・ハリ、ルスラン・カラエフ、グーカン・サキ、エロール・ジマーマンという若い世代がK-1のトップファイターとしての実力が付いてきたことを証明できたことを嬉しく思います。僕は特にジマーマンが凄く可能性があると感じました。ただ、決勝戦に関しましてバダ・ハリが最後にミソをつけてしまったのは残念でなりません。まだ一夜しか経ってないので週明けには審判団と協議をして、バダ・ハリには厳しいペナルティを課したいと思っております。
世界で150カ国以上放送される、まだまだケーブル放送とかディレイでの放送の地域も多いんですが、これからスポーツとしてやっていかないといけない中で、K-1がただのストリートファイトとかエンターテイメントと思われるのは非常に心外なので、かつてのボブ・サップもそうなんですが、今回のバダ・ハリみたいな行動に対しては厳しくとっていくことで、信頼を得るようなスポーツにK-1していきたいと思います。そのペナルティに関してはもう数日待っていただきたいと思います。
ただ、先ほど朝の新聞を見まして、初めてバダ・ハリのコメントを知ったんですが、全然反省してないのが残念です。ボンヤスキー選手が立ち上がらなかったのはわざとじゃないか、主演男優賞ものだというような発言をしてましたけれども、その発言を見る限りは反省していない。僕が思うに、立ち上がって来れたとか出来なかったという問題ではなく、行為そのものが反則なので、行為自体を自らが反省しないといけない。さらに言うなら、踏み付けが当たっていなかったとしても、K-1というルールの元でのスポーツマンシップにもとる反則行為なので、ペナルティは課せられるべきだと思っています。
主演男優賞ものという発言自体、言語道断ではないか。反省の色がない感じがします。面白ければそれでいいんだという考え方は、一所懸命にやってるファイターにとっては許しがたいこと。魔裟斗選手と解説をやったんですが魔裟斗選手は非常に怒っていました。ルールを守ってやっていただきたいし、K-1ルールで物足りないんだったら違う世界に行けばいいし、自分のやりたいルールでやればいい。喧嘩をやりたいんだったらプロのリングに出場する資格はなくなってもいいのならやればいいし、ルールのある神聖なK-1の決勝戦という舞台ではルールを守ってやっていただきたい。最初からいい試合もダメなところもバダ・ハリがもっていってしまって、そこで彼が満足してしまわないようにしてもらいたいと思います。
レミー選手は素晴らしいコンディションで上がってきて、ディフェンスの技術が固いのもあるんですが、ジェロム戦でもサキ戦でも素晴らしい攻撃力、ここ一番の思い切りがいい。バダ・ハリ選手からもダウンを奪っている上手さも見えました。ただバダ・ハリ選手も可能性があったのでもったいないなって思います。ピーター・アーツに勝ったのは凄いと思うし、改めて才能のある選手だと思ったので、ここは反省してもらってまた来年以降頑張って欲しいと思います。二度とこんな決勝戦にしたくない。人気がある選手なんですが、人気があるからと言って処分を甘くしてしまったらまたK-1がおかしくなってしまうので、そこはきちんとやっていきたいと思います。処分に関してはもうしばらくお待ちください」
会見後の囲み取材では改めて「処分は冷静に判断しますが、彼は反省していない。人によって処分を変えるのはするべきではないが、プロデューサーの立場からするとバダ・ハリを育てる身なのでここで直さないといけないと思っています。あのタイプは処分を甘くするとナメてしまう。苦しくなったら反則をやればいいと思ったり、こういうことをしたらお客さんが喜ぶとか思われたらいけない」と、厳しい処分を下す意向を明らかにしている。
「反則なんてしなくても殺気が凄いのに…。フレンドリーなファイターが多い中で、あの殺伐さは素晴らしい。反則する必要はない。よく乱闘シーンが煽りVTRで使われますが、それは彼を表現する一部でしかないんです。殺気、テクニックなどは世界で一番素晴らしいK-1ファイターだと思います。あのジャブの速さやダウンしても立ち上がって頑張る姿はファイターの鏡。魔裟斗選手に通じる試合が出来る選手なので、今回のことは直した方がいい。それによって牙が削がれることはないと思いますよ。あのままではチャンピオンにはなれません。コントロールしにくい選手だと周りの人も、プロモーターもコーチもみんな言っています。そこで甘えているという感じがします」と、ファイターとしての素質は認めながらも“更正”しなければ先がないとした。
インタビュースペースではボンヤスキーに悪態をついていたバダ・ハリだったが、谷川代表には「謝ってきた」という。「試合後に会いました。ごめんなさいと言ってきましたね。最初は“なんで謝る必要があるんだ”とみんなに言っていたらしいんですが、僕には謝ってきましたよ」
反則行為をした理由については「理由なんかない。苦しかったからだと思います」と谷川代表はバッサリ。「苦しいから、やられたくないから反則したんでしょう。自分を信じて努力するところを見せられなかったのが、魔裟斗選手になれなかったところ。ダウンしたからといって諦めず、そこから頑張ることが出来なかったということです」と切り捨てた。
出場停止処分になるとバダ・ハリが保持するK-1ヘビー級王座の防衛戦も出来なくなるが、「それについても角田さんと話し合って決めたい。僕の一存では決められない」とし、「僕個人の意見では準優勝もなしにして、今年の準優勝は空位にした方がいいと思います」と準優勝という結果も剥奪する方針のようだ。
しかし、「実はバダ・ハリは体調がよくなかった」という裏話も。「前日会見で遅れたのは、急に体調が悪くなったからなんです。突然に風邪をひいて熱が出ました。試合当日は熱もさめて大丈夫だったんですが、前日は熱がありました。彼みたいなタイプは一度来なくてもいいと言うと、ずっと来ないタイプなので来させましたけれど。あと、彼は試合を組まないと私生活が大変なことを起こしそうなので、今年は試合をいっぱいやれと言ったんです。本当に気が荒い選手なので、試合をやらないとエネルギーをもてあましてしまうから」
大晦日『Dynamite!!』の出場候補にも挙がっていたバダ・ハリだが、「K-1ではリングに上げられません。かと言って総合格闘技はやらないと思います。そんな簡単には出せないですね。出場停止にならなければ出るかもしれませんが」と出場は白紙に戻った。
また、谷川代表は「個人的にはテイシェイラとジマーマンがよかったと思います。僅か1年であそこまでなったんですから、来年は怖い存在ですよ。来年は上がってくると思います。サキは小さいのでそれがよくないかな」と新世代の台頭を喜び、「大晦日は全員に出場の可能性があると思う。ただホンマンは総合格闘技の方がいいかもしれないですね。前より悪くなっています。K-1のスピードがせっかく凄くなっているので、彼みたいなタイプは生態系を破壊してしまう。総合格闘技なら持ち味を発揮できそうなので、やってもらいたい。レミーも出場候補だし、アーツはバダ・ハリともう一度と言っています。ジェロムも検査の結果骨が折れていなかったので候補に入ります」と、大晦日のカードについても語る。
さらに「メルヴィンはK-1の方に向いている。スピードのあるファイターがどんどん出るといいですね。もう一人、タイロン・スポーンというのがいまして来年は出てくると思います。ザビッド・サメドフを子ども扱いした選手で凄く強いです。ヘビー級はどんどんスピードのある闘いが出来るファイターを集めていきたいですね」と、K-1ヘビー級はスピードの時代を迎えたことを宣言した。
★12・6K-1試合結果はこちら
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