3月19日(金)東京・広尾にあるクラウド秋山道場にて、五味隆典(久我山ラスカル)が公開練習を行った。五味は、3月31日(水・現地時間)アメリカ・ノースカロライナ州シャーロット ボージャングルス・コロシアムで開催されるZUFFA『UFC FIGHT NIGHT FLORIAN VS GOMI』でケニー・フロリアン(アメリカ)と対戦する。
「いいな。金網だとプレッシャーをかけやすいよ」ジム生を相手に、秋山道場に設置されたUFCと同じサイズの金網を使っての練習に五味は手応えを感じているようだった。
公開練習ではジム生にミドルキック、ヒザ蹴り、ヒジ打ちを繰り出させ、それを身体で受けたり回り込んでかわしたりといったディフェンス中心のマススパーを5分2R行った。金網まで追い詰められると、すぐに回り込んで離れる動きも。
公開練習の後には秋山成勲も加わり、記者との質疑応答。両者は以前、試合場で会ったり、一緒に呑んだこともあって「僕が酔っ払って暴れたこともある(笑)」(秋山)という。
「アメリカでも会ったことがあります。今回UFCに参戦してくれるのを聞いた時に凄く嬉しいと思ったし、この道場を使って欲しいと思ったので、それが現実になって凄く嬉しい。この交流を大切にどんどん僕の道場を使って欲しい」と秋山は笑顔。
先にUFCに参戦している秋山からは、「海外でやるということで今までと違う環境でするということに対して、気後れせず普段通りにするのが一番いいことだと思うんですね。それがパフォーマンスにつながる。
僕から言えることはあまり気にしないのが一番いい、それが最大のアドバイスだと自分は思います。常にフラットの状態にするのが一番だと思う。そういう気持ちになれたもん勝ち。特にアジア人が海外で闘うのはいろんな面でプレッシャーがかかると思うので、プレッシャーがかかるのはいいことなので後は自分でどれだけ消化できるかですね」と、自然体で臨めとアドバイス。
それを受けて五味は、「そうだと思います。前回の秋山選手の試合のように日本とは違う環境で、最後は気持ちの勝負になると思う。気持ちで最後までやりたいと思います。苦戦するのは秋山選手ほどの方でも大変な試合だったので、自分もそうなると思う。秋山選手のように気持ちで最後まで押し切るような試合を続いてやりたいと思っています。
今日、初めて道場に来させていただいたので、宇野選手、岡見選手も来られているということで、金網の感覚と海外にチャレンジしない限りはこういった交流、アメリカにチャレンジする選手同士が集まる機会はなかったので、少しでも力を分けていただきたい」と、謙虚に答えた。
秋山は五味のことを「選手として尊敬しているし、パフォーマンスもいいし、経験も凄いし、結果も残している。そういった意味ではいい選手だと思います」と評し、「今回、僕は一緒に試合が出来ないですけれど間接的に応援させていただきます。その中で、僕は海外で戦う宇野君、岡見君、五味選手はチームだと思っているんです。道場に来てくれて汗を一緒に流せる機会をもたせてもらえたのは幸せ。
それ以上に結果を残すことが全てだと思うし、チームで仲良しこよしでやってるわけじゃないので、松岡修造さんじゃないけれど気合いを入れて応援したい。出来ることがあればナンボでもサポートしてあげたい。この何時間の中でひとつでも得るものがあって、五味君が少しでもフラットな状態に近づけるものがあれば何でも質問して欲しい。一緒に僕も強くなりたいので、逆に教えてもらうこともたくさんある。僕はチーム、仲間だと思ってこの試合、この解説、この応援、全て力を注ぎたいと思っています」と、全面サポート&応援することを約束。
五味は「今回は宇野選手、岡見選手ですが、秋山選手と出る機会があるところまで勝ち残れるようにしていこうと思っています。対抗戦じゃないけれど、アメリカの選手の中に1人は心細いので、一緒に出る機会があれば団結してやっていきたいと思います」と、いつか秋山と同じ大会に出たいと希望した。
金網で練習してみた感想として、五味は「敵にも味方にもなる感じがします。自分がプレッシャーをかければかなり有効に使えますし、下がった時には不利に働くことは軽いスパーでも感じる。やっぱりいくら打撃をもらっても前に出る姿勢がいいですね。上手く使うことは難しい」と語る。
それに対して秋山は、「ヒジや金網の練習はどこかでされていたと思うし、ある程度の対処もしていると思います。実際リングに上がった時にそれがどれだけ出せるかは分からないが、ちょっとした技術は僕ら経験した人間がアメリカに行って教えてもらったことがあるので、それを少しでもアドバイス出来れば。金網は敵にも味方にもなるが、味方にはしたいので、それを教えていきたいと思います」と、自分が学んできたものを惜しみなく五味に教えたいとした。
さらに秋山は、「日本の試合とはちょっと違う部分があると思いますけれど、大きく違うのは言葉の壁が大きい。何も分からない状態で行くのは怖いので、どういうことがあるか周りの人間がある程度予測して、いかに試合に集中させてやれるか、みんなのサポートが大事。そういう気遣いを周りのサポーターの人たちはやってあげて欲しい」とアドバイスする。
五味は「今まで日本でやってきた外国人はそういう環境ですし、それもチャレンジ。今回はたまたま宇野選手、岡見選手と一緒に参戦なので少し心強い」と、その環境もチャレンジの一環だと語った。
取材後には五味と五味のジム生が、秋山、中村K太郎、大沢ケンジ、ベルナール・アッカらの練習に一緒に加わり、金網を使って立つ練習やテイクダウンする練習、打撃のスパーリングをなどを行った。その中では五味VS秋山のスパーリングも実現! 両者がタックルを掛け合い、テイクダウンを奪いに行く勝負が繰り広げられた。
ZUFFA
「UFC FIGHT NIGHT FLORIAN VS GOMI」
2010年3月31日(水・現地時間)アメリカ・ノースカロライナ州シャーロット ボージャングルス・コロシアム
<全対戦カード>
▼メインイベント(第10試合)
五味隆典(久我山ラスカル)
VS
ケニー・フロリアン(アメリカ/チーム・シットヨートング)
▼セミファイナル(第9試合)
ロイ・ネルソン(アメリカ)
VS
ステファン・シュトゥルーフ(オランダ)
▼第8試合
ネイト・クォーリー(アメリカ)
VS
ホルヘ・リベラ(アメリカ)
▼第7試合
ロス・ピアソン(イギリス)
VS
デニス・シバー(ロシア)
▼第6試合
アンドレ・ウィナー(イギリス)
VS
ハファエロ・オリベイラ(ブラジル)
▼第5試合
ジェイコブ・ボルクマン(アメリカ)
VS
ロニーズ・トーレス
▼第4試合
宇野 薫(フリー)
VS
グレイソン・チバウ(アメリカ)
▼第3試合
岡見勇信(和術慧舟會総本部)
VS
ルシオ・リナレス(ブラジル)
▼第2試合
ジェラルド・ハリス(アメリカ)
VS
マリオ・ミランダ
▼第1試合
チャーリー・ブレネマン
VS
ジェイソン・ハイ(アメリカ)
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