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「UFC 147 Silva vs. Franklin II」
2012年6月23日(土・現地時間)
ブラジル・ベロオリゾンテ・エスタディオ・ジャーナリスタ・フェリペ・ドラモンド
<主な試合結果>
▼メインイベント 86.2kg契約 5分5R
○リッチ・フランクリン(アメリカ/元UFCミドル級王者)
判定3−0 ※ジャッジ三者とも49−46
●ヴァンダレイ・シウバ(ブラジル/元PRIDEミドル級王者)
2万席が完売したUFCブラジル大会のメインイベントを飾るのは、日本でもお馴染みのブラジルが生んだ英雄ヴァンダレイ・シウバ。
シウバは『PRIDE』で5年間無敗を誇り、吉田秀彦、桜庭和志、田村潔司ら日本人トップ選手をことごとくマットに沈めた。しかし、UFCでは3勝4敗と負け越しており、今回はどうしても勝ちたいところ。地元ブラジルでは12年ぶりの試合となる。
対戦相手のフランクリンは元ミドル級王者で、パンチを得意とする。当初、シウバの相手はビクトー・ベウフォートで決定していたが、ビクトーの負傷によりフランクリンが代打出場となった。2009年の『UFC 99』ではシウバに判定勝ちを収めており、シウバを返り討ちにするか?
1R、体格でひとまわり大きいサウスポーのフランクリンに対して、左側へ回り込んでいくシウバ。フランクリンの左ミドルにシウバが右ストレートを合わせる。ワンツーを繰り返し連打するフランクリンにシウバはやや後退気味。シウバが右ハイキックを放つが、これは受け止められた。
フランクリンがシウバを金網に詰める形で速いパンチを連打、シウバも打ち返すが、フランクリンのパンチが当たる。さらに突き刺すような前蹴りをボディに受け、後退するシウバ。フランクリンはパンチでもボディを攻め、距離を詰めていく。シウバはフランクリンがパンチで入ってくると、そこへフックを合わせていく待ちの姿勢。
2R、シウバはハイキックとローキック。ジャブを伸ばすフランクリンに顔面前蹴りも放つ。フランクリンがシウバを金網に詰めて顔面とボディへパンチをヒットさせていく。追い込まれるシウバは回り込んでいくが、すぐに金網に詰められてフランクリンのパンチをもらってしまう。
フランクリンの左ミドルに合わせて右フックをヒットさせるシウバは、時折飛び込んでのパンチ連打を見せる。そして、パンチを出しながら前に出るシウバのフックが当たり始め、右フックでダウンを奪うと、一気に上からのパンチ連打! フランクリンのタックルを潰し、バックからパンチを連打、仰向けになったフランクリンへさらに連打! 形勢逆転でストップ目前かと思われたが、ラウンドが終了した。
3R、ガードを高く上げるシウバにフランクリンが強烈な左ボディフック。フランクリンは速いジャブで距離を支配し、左ミドルもクリーンヒットさせていく。手数の減ったシウバは後退と回り込みを続け、フランクリンに左ミドルを蹴られ続ける。
フランクリンが左ストレートからタックルに入り、テイクダウン。この試合で初めて寝技の勝負に。上になったフランクリンが顔面へヒジ、そしてパンチを落とす。ピンチに陥ったシウバだが、ここでラウンド終了となった。
4R、フランクリンの右フックにシウバも右フックを返す。シウバがこの試合で多用するハイキックは空振り。フランクリンはジャブを多用しながらボディを狙い、左ストレートもヒットさせる。距離を取ってのアウトボクシングで試合を支配するフランクリンに、シウバはほとんど攻めることが出来ない。
シウバの右ミドルがローブローとなってしまい、試合は一時中断。右へ右へと回り込むフランクリンは、軽快なフットワークと左ジャブ、左ミドル。フランクリンのパンチにフックを返すシウバだが、手数はフランクリンの方が出ている。ラスト数秒でシウバがラッシュをかけた。
5R、右へ左へと回り込み、軽快なフットワークからジャブを伸ばすフランクリン。シウバはなかなか攻められない。フランクリンのパンチにフックを合わせようとするが、フランクリンはすぐに離れてジャブ連打で突き放す。
ラスト1分、強引に入っていくシウバだがフランクリンを捕まえきれない。ならばと手招きするシウバだが、フランクリンはフットワークとジャブを使って徹底したアウトボクシングに徹する。左右のフックで前へ出るシウバがフランクリンを金網際に詰めてラッシュするが、試合終了直前、フランクリンの左フックで逆にシウバが倒れてヒザを着いてしまった!
ジャッジ三者とも49−46の大差をつけ、判定3−0でフランクリンが勝利。シウバを返り討ちにした。フランクリンは「試合の内容は覚えていない」とコメントし、シウバは「見に来てくれてありがとう。試合が出来て光栄です。2Rで仕留めたかったがダメだった。ファンのみんなのために戦った」と左目を大きく腫らしながら無念そうにインタビューに答えた。
▼セミファイナル TUFブラジル ミドル級決勝戦 5分3R
○セザール・フェヘイラ(ブラジル)
判定3−0 29−28、30−27、30−27
●セルジオ・モラエス(ブラジル)
※フェヘイラが優勝。
UFCファイター育成大会TUF(ジ・アルティメット・ファイター)ブラジルのミドル級トーナメント決勝戦。
フェヘイラは柔術、レスリング、カポエラを学び、8年前にビクトー・ベウフォートの弟子となった。今回のトーナメントは全て一本とKOで勝ち上がっている。対するモラエスは柔術で世界王者になった実績を持ち、あのヒクソン・グレイシーの息子クロンにも一本勝ちした。今回のトーナメントは準決勝で敗れたが、勝ったサラフィアンが負傷欠場したため繰り上がりで決勝へ進出。
モラエスは背中にカタカナで「キウギシ」と謎のタトゥー文字。しかも左右が逆だ。
1R、サウスポーのフェヘイラは片手をマットに着いてのバックスピンキック。いわゆるカポエラキックを放って場内を沸かせる。両者パンチを繰り出すが、ヒットすることは少ない。フェヘイラの蹴りがローブローとなり、試合は一時中断。
フェヘイラが左ミドルキックからのパンチで組み付こうとすると、モラエスは左右フックの連打。フェヘイラは一瞬下を向いてのフェイントをかけて左ミドルを蹴っていく。
2R、フェヘイラは左ボディから左フック、そして組み付いてのパンチ。フェヘイラの左ミドルからの右フックにモラエスは転倒するが、フェヘイラはスタンドを要求。さらにフェヘイラが鮮やかなカポエラキックでダウンさせ、パンチで追撃! モラエスが下からの足関節を狙うとフェヘイラは離れてスタンドを要求する。
左目上から流血するモラエス。フェヘイラはパンチと前蹴りで圧力を強めていく。軽快なフットワークから左アッパー、左ボディ、左ミドルで攻める。しかし、残り1分でモラエスがスタンドでカウンターのヒジをヒットさせ、左右フックを連打して前進! これに圧倒されたフェヘイラだが、前蹴りで突き放すとモラエスは明らかにバテた表情。
3R、フェヘイラが中足(足裏の指の付け根部分)での前蹴りから左右フック、モラエスが倒れるが、フェヘイラはスタンドを要求する。軽快なフットワークから前蹴りを出すフェヘイラにモラエスは近付けないが、フェヘイラがパンチで攻めてくると左右フックを振り回す。しかし、フェヘイラの左ストレートにモラエスが吹っ飛んでダウン! モラエスはマットに寝たまま試合終了のブザーを聞いた。
勝ったのは自分だとアピールした両者だが、判定は3−0でフェヘイラが優勝。ダナ・ホワイト社長が盾を手渡し、「UFCとの正式契約が決まった」と祝福した。フェヘイラは「幸せです。このために厳しいトレーニングをしてきました」と喜びを語った。
▼第9試合 TUFブラジル フェザー級決勝戦 5分3R
○ホニー・ジェイソン(ブラジル)
判定3−0 ※三者とも29−28
●ゴドフレド・ペペイ(ブラジル)
※ジェイソンが優勝。
UFCファイター育成大会TUF(ジ・アルティメット・ファイター)ブラジルのフェザー級トーナメント決勝戦。
ジェイソンはアントニオ・ホドリゴ・ノゲイラの弟子で柔術黒帯。戦績は11勝3敗で、7つの一本勝ちと3つのKO勝ちを奪っている。ペペイも柔術黒帯で、戦績は9戦全勝。その全てが一本勝ち(7つ)とKO勝ち(2つ)。ジェイソンは地元での試合、トーナメントの決勝戦ということで感極まったのか、入場からオクタゴンに入るまで泣きっぱなしだ。
1R、パンチと飛びヒザ蹴りを仕掛けたペペイが組み付き、テイクダウン出来ないとヒザ蹴りを放って離れる。再びパンチで突っ込んだペペイが組み付き、引き込んで寝技の展開に。すぐにブレイクとなり、ペペイはパンチで前に出るが、そこへジェイソンが飛びヒザ蹴り! 組み付いてきたペペイをジェイソンがマットに叩きつけるようにテイクダウンし、寝技に持ち込む。
2R、両者パンチを振り回していく中、ペペイが飛び付いて寝技に引き込むと場内からはブーイング。ペペイが下からのパンチ、ジェイソンは上からヒジ。ジェイソンが立ち上がるとペペイも立ち上がり、両者パンチを思い切り振り回す。
サウスポーに構えたジェイソンが左ミドル、オーソドックスに構えなおしたジェイソンは右フックを当てていく。ペペイがバックブロー、ジェイソンがバックスピンキックをそれぞれ空振りしたところでこのラウンドが終了した。
3R、突っ込んでくるペペイにジェイソンが右フックをカウンターでヒットさせる。ジェイソンはサウスポーに構えると左ミドル、オーソドックスに構えるとパンチで攻める。ペペイの蹴りがローブローとなり、試合は一時中断。
ジェイソンがまたも右フックをヒットさせ、焦るペペイは組み付く。そして、またもペペイの蹴りがローブローとなり、ジェイソンは大の字に。休憩後、ペペイはローキック、バックスピンキックを繰り出すが、ジェイソンのパンチの圧力に押される。
ジェイソンは再び感極まって涙を流し、場内はジェイソンコール。判定3−0でジェイソンの優勝が決まり、ダナ・ホワイト社長が優勝の盾を手渡すとともに「これでUFCとの契約が決まった」と祝福した。ジェイソンは「非常に嬉しいです。ついにここまで来ました」と喜びを爆発させた。リングサイドではノゲイラ兄弟が拍手を送り、笑顔でジェイソンを祝福した。
▼第8試合 ヘビー級 5分3R
○ファブリシオ・ヴェウドゥム(ブラジル)
TKO 1R2分28秒 ※パウンド→レフェリーストップ
●マイク・ルソー(アメリカ)
ヴェウドゥムは2010年6月にエメリヤーエンコ・ヒョードルから一本勝ちを奪い、約10年間にわたる無敗伝説を打ち破った男。今回は8年ぶりのブラジル凱旋試合となった。対するルソーはシカゴの現役警察官で現在11連勝中と勢いに乗っている。
ルソーはブーイングで迎えられ、ヴェウドゥムには大歓声が送られる。
1R、パンチで攻めていくヴェウドゥムに大歓声があがり、ヴェウドゥムは接近すると首相撲からのヒザ蹴り。ヴェウドゥムの左ロー空振りから踏み込んでの右アッパーでルソーが崩れ落ち、バックを奪ったヴェウドゥムがパンチの連打! ルソーは四つんばいになったままなす術なく殴られ続け、ヴェウドゥムが地元で圧勝を遂げた。
ヴェウドゥムは「ここで試合が出来て嬉しいです。大観衆の声援が支えてくれました。次の試合も用意が出来ています」と、興奮気味に勝利者インタビューに答えた。
▼第7試合 フェザー級 5分3R
○アクラン・ディアス(ブラジル)
判定3−0 ※29−28、30−27、30−27
●ユーリ・アルカンタラ(ブラジル)
アルカンタラは柔術黒帯でムエタイでも州王者になっている。現在13連勝中でそのうち10試合が関節技による一本勝ちかKO勝ち。
1R、2Rともにディアスがテイクダウンして上のポジションを奪い、パンチとヒジを落としていく。2Rにアルカンタラが下からの腕十字を仕掛けるが、ディアスが腕を引き抜いてまたもパンチとヒジ。こう着状態にブレイクがかかり、スタンドに戻るとアルカンタラがワンツーをヒットさせる。
3R、アルカンタラが左ミドル、ディアスが右ミドルを繰り出すが、見合いが続いて場内からは大ブーイング。またもディアスがテイクダウンを奪い、上から、そしてバックからパンチを当てていく。動きのない展開に大ブーイングがうずまく中、ブレイクがかかり、残り30秒で初めてアルカンタラがタックルからテイクダウンを奪う。パンチ、ヒジを落としたアルカンタラだが、ディアスが判定3−0で勝利を収めた。
※今大会の模様は6月27日(水)17:30よりWOWOWライブにて再放送
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