Zuffa
「UFC 149 Faber vs. Barao」
2012年7月21日(土・現地時間)カナダ・カルガリー スコシアバンク・サドルドーム
<主な試合結果>
▼メインイベント UFCバンタム級暫定王者決定戦 5分5R
○ヘナン・バラオン(ブラジル)
判定3−0
●ユライア・フェイバー(アメリカ)
※バラオンがバンタム級暫定王座に就く。
バンタム級王者のドミニク・クルーズが負傷欠場となったため、当初対戦予定だったフェイバーと代打出場のバラオンによって暫定王者決定戦が行われることになった。
フェイバーは元WECフェザー級王者で、同タイトルを5度防衛。昨年7月、クルーズとUFCバンタム級タイトルマッチで対戦したが、判定で敗れている。バラオンはデビュー戦こそ敗れたが、その後は1無効試合を挟んで29戦無敗という驚異的な戦績を持つ。
33歳のベテランであるフェイバーが悲願のUFC王座獲得なるか、それとも勢いのあるバラオンが25歳にしてUFCのベルトを巻くのか?
1R、フェイバーの素早いパンチに対してバラオンは前蹴りで顔面を狙う。軽快なステップを踏むフェイバーにバラオンは右ハイキック、当たりは浅い。バラオンは後ろ廻し蹴りを繰り出し、右ハイキックでフェイバーを突き飛ばすと飛び蹴りまで繰り出す。フェイバーは構えを右に左にと変え、間合いを詰めてストレートを放つが、バラオンはバックステップでパンチをかわしていく。
2R、片手を前に突き出し、パンチやキックのフェイントをかけるフェイバー。バラオンはバックステップで距離を取り、前に出ると後ろ蹴りやローキックなど多彩な蹴りを繰り出す。フェイバーが飛び込んでのアッパー、続いてストレート。バラオンもパンチを打ち返す。
バラオンが後ろ廻し蹴りから飛びヒザ蹴り、それらが空振りしても左フックを入れる。飛んだり回転したりと激しく動く、野性味あふれる戦いぶりのバラオン。フェイバーは構えを左右に変えながら左右に動き、右フックを中心に狙っていく。徐々にフェイバーの右フックが当たり始めてきた。バラオンも左フックからの右ローをクリーンヒットさせ、終盤は連打で前に出る。
3R、フェイバーが飛び込んでの右ストレートを2発、それに対してバラオンが右ローから連打を見舞う。フェイバーが前蹴りを2発ボディに突き刺し、飛び込んでの右ストレート。前に出るバラオンがローでフェイバーのバランスを崩すと、飛びヒザ蹴りを放つ。バラオンが連打で迫ってくると、フェイバーはパンチをかわしながらボディと顔面へパンチのコンビネーション。
フェイバーは右ストレート、左ジャブで前に出るバラオンをけん制するが、バラオンは構わずパンチとロー。しかし、そのパンチはフェイバーにかわされる。
4R、右フックの相打ちがあり、フェイバーはタックルの動きを混ぜながらのパンチ。バラオンは片足を取られるが、すぐに突き放す。飛び込んでの右フックとタックルを狙っていくフェイバーだが、バラオンも左右フックで前に出る。バラオンが左ボディと右ストレート、フェイバーが組んでくるとヒザ蹴り。両者の攻撃がなかなか当たらず、場内からはブーイングが起きる。
5R、細かくパンチを出し合う中、バラオンは後ろ蹴りやハイキックを出すが空振り。フェイバーはジャブを出し、パンチからタックルにいくがバラオンからテイクダウンが奪えない。ジャブを当てるフェイバーにバラオンは右ローで応戦。両者とも相手の攻撃をかわすのが上手く、打ち合いにならないためか場内にブーイングが鳴り響く中、バラオンがパンチを放っていくが空を切る。
判定は3−0でバラオン! ベルトが渡されるとバラオンは歓喜の雄たけびをあげながら飛び跳ねる。「フェイバーに対する準備は出来ていた。コーチからどんどん蹴りでいけという指示が出ていたので蹴りを出していった」と勝利者インタビューに答えた。
▼ミドル級 5分3R
○ティム・ボッシュ(アメリカ)
判定2−1
●ヘクター・ロンバード(キューバ)
ロンバードはオリンピックに柔道キューバ代表として出場。2006年にはPRIDEに参戦し、郷野聡寛、ゲガール・ムサシらと対戦している。黒星はこの2人に喫したのみで、戦績は31勝2敗1分1無効試合と高い勝率を誇る。UFCは今回がデビュー戦。
対するボッシュは2月のUFC JAPANで岡見勇信と対戦し、TKO勝利した選手。レスリングとブルース・リーが創始した格闘技ジークンドーをバックボーンに持っている。戦績は15勝4敗。現在UFCでは3連勝中。
1R、ロンバードがジリジリと間合いを詰め、両者フックを打ち合う。ボッシュのタックルを潰したロンバードがパンチ、立ち上がるとロンバードがタックルにいきボッシュを金網に押し付ける。立ち上がったボッシュに離れ際に右フックを見舞う。
ロンバードは両手を広げて大きく構え、その場からほとんど動かない。ボッシュがパンチやキックを出してくるところにパンチを合わせ、ボッシュが警戒して手を出さないと顔を前に出して挑発する。
2R、ジリジリと間合いを詰めるロンバードはフックを繰り出し、ボッシュもパンチを返すが両者空を切る。ゆっくりと近寄り、大きな動きを見せないロンバードにボッシュは警戒しているのか手がほとんど出ない。単発でしか攻撃しない両者に観客が焦れて、ブーイングと手拍子ではやし立てる。
残り1分20秒過ぎのところでロンバードが左ミドルを効かせてタックルにいき、テイクダウンを奪ったがボッシュは立ち上がる。ロンバードが金網に押し付け、ボッシュは金網を背にしてヒザ蹴り。こう着状態となり、場内はブーイングに包まれた。
3R、リング中央でどっしりと構え、ほとんど動かないロンバード。ボッシュはステップを踏んで回り込みながらのローキック。ロンバードはボッシュがパンチを打ってくると左右のフックを合わせようとする。ジリジリと前に出るロンバードと下がるボッシュ。場内はまたも大ブーイングだ。
お互いにロー、パンチを単発で出し合う展開が延々と続き、試合は完全にこう着状態。残り30秒でロンバードがタックルにいったが、テイクダウンは出来なかった。試合が終了すると、鳴り響くブーイングの嵐。ボッシュが判定2−1で勝利を収めた。
▼ヘビー級 5分3R
○シェイク・コンゴ(フランス)
判定3−0
●ショーン・ジョーダン(アメリカ)
コンゴは2月のUFC JPANにも出場し、マーク・ハントにKO負けした選手。剣道、空手、柔道、レスリング、ムエタイ、インドネシア武術のペンチャック・シラットなどを学んできたという。かつてはUFCでミルコ・クロコップからも勝利を収めている。
ジョーダンはアメフト出身のタフガイで、今年3月にUFCデビューした。今回は負傷欠場となったアントニオ・ホドリゴ・ノゲイラの代打で急遽出場。37歳のベテランコンゴと、27歳の新鋭ジョーダン。勝つのはどっちだ?
1R、コンゴは左ジャブを出しながら前へ出て右ストレートを狙うがジョーダンがタックルで金網に押し付ける。コンゴはパンチを打ちながらバックを奪うが、ここでジョーダンが後ろへ放ったヒジがコンゴの金的を直撃! コンゴは倒れ込み、休憩時間が与えられる。
試合再開後、コンゴはパンチでプレッシャーをかけ、サウスポーのジョーダンは相手の左側へ回り込んでいく。タックルで金網に押し付け、テイクダウンを奪おうとするジョーダンにコンゴはヒザ蹴り。
2R、組み付いてくるジョーダンにコンゴはヒザ蹴り。さらにパンチを当てていく。ジョーダンはジャンプしてのパンチからタックルにいくが、コンゴをテイクダウンすることが出来ない。コンゴはバックに回ってフェイスロック、ジョーダンは手足をコンゴの両足に掛けてテイクダウンを奪おうとするが、コンゴにスリーパーの体勢に入られる。
そのまま寝技に移行すると、ジョーダンはすぐに上のポジションを奪い返し、サイドポジションになる。上からパンチとヒザ、コンゴはピンチに追い込まれたがここでラウンド終了。コンゴはしばらく立ち上がれなかった。この試合もブーイングが起こる。
3R、パンチとヒザ蹴りで前へ出るコンゴがジョーダンを金網に追い詰め、バックを奪うがジョーダンはテイクダウンを奪わせない。こう着状態に場内からはブーイング。今度はジョーダンがタックルにいき、コンゴが金網を背にしてテイクダウンを防ぐ。
両者は離れるとフックとアッパーを振り回すが、ジョーダンが組み付いて再びこう着。大ブーイングに包まれる場内。両者とも組み合ったままアッパーやヒザ蹴りを見せるが、ほとんど動きがなく試合終了となった。コンゴが判定勝ちを収めている。
▼ウェルター級 5分3R
○ジェームス・ヘッド(アメリカ)
判定2−1
●ブライアン・エバーソール(アメリカ)
エバーソールは31歳にしてプロで66戦ものキャリアがあり、50勝14敗1分1無効試合。1カ月前にUFC on FOX大会で試合をしたばかりだが、欠場選手が出たため急遽代打で出場することになった。現在11連勝中。
ヘッドはプロボクサーの父を持ち、自身もアマチュアボクシングでテキサス州南西部王者になっている。本職は石油会社のエンジニアだという。戦績は8勝2敗。
1R、エバーソールがいきなりタックルにいくが、ヘッドは上から潰す。2度目のタックルも潰され、スタンドに戻るとヘッドが顔面からボディへのパンチ、そしてヒザ蹴り。エバーソールは左ミドルで応戦する。ヘッドは左ボディブローからヒザ蹴り、ヒジ。エバーソールも右ボディから左フック。さらにエバーソールはパンチで相手の太ももを叩くローパンチを見せる。
エバーソールのタックルにヘッドはフロントチョークの体勢に入るが、エバーソールは親指を立てて“大丈夫”とアピール。首を抜くと上になり、パンチを落とす。スタンドに戻ると、エバーソールは側転してのキック! しかし、これは不発に終わり、ヘッドに上から抑え込まれる。
2R、エバーソールはまたもいきなりタックルにいくが、ヘッドが潰す。エバーソールは右ストレートから左ミドル、タックルにいくふりをしてローパンチ。左右のストレートで前に出るヘッドを、エバーソールはジャブで止める。エバーソールは左ボディストレートから右フック。のらりくらりとトリッキーに攻めるエバーソールに、ヘッドは何とも戦いにくそうだ。
ヘッドは頭を下げたエバーソールの頭部をヒザで蹴り上げるが、エバーソールはそのままタックルでテイクダウンに持ち込む。ヘッドが抑え込んだままこのラウンドは終了した。
3Rもいきなりタックルにいくエバーソールと、それを潰すヘッド。パンチの打ち合いからヘッドがバックを奪いにいくが、エバーソールがバックを奪い返し、ヘッドはすぐに立ち上がる。エバーソールはタックルにいき、ヘッドに潰されると上半身を起こしてパンチを見舞い、すぐにタックル。しかし、これも潰された。
噛み合わない攻防に場内からは大ブーイングが起こり始める。エバーソールは何度もタックルにいき、ヘッドに潰される。残り10秒でようやくテイクダウンに成功して上になったが、すぐに試合終了となった。場内からはブーイング。判定2−1でヘッドが勝利した。
▼ウェルター級 5分3R
○マット・リドル(アメリカ)
一本 3R2分2秒 ※肩固め
●クリス・クレメンツ(カナダ)
地元カナダ出身のクレメンツはテコンドー黒帯で、MMA(総合格闘技)戦績は11勝4敗。2006年には開始後わずか3秒で相手をKOし、MMA史上最短KO記録を持っている。現在5連勝中と波に乗る。
対するリドルは高校時代にレスリングで全米高校王者となり、TUF(UFCの選手育成大会)でプロデビュー。MMA戦績は6勝3敗だ。
1R、リドルがタックルでテイクダウンを奪うが、クレメンツが立ち上がりそうになるとリドルも素早く立ち上がって臨戦態勢に。リドルが首相撲からのヒザ蹴り、クレメンツはローからパンチを放つ。大振りのフックを繰り出すクレメンツに、リドルが左ミドル。しっかりとレバーを捉えたが、クレメンツはローブローをアピールする。
リドルが片足タックルでテイクダウン、上からヒジを落とす。立ち上がろうとするクレメンツのバックを奪うリドル。クレメンツは立ち上がると左右フックで前進、リドルもパンチを返してタックルにいく。
2R、リドルが再び左ミドル、パンチで前進するクレメンツに片足タックルを仕掛ける。バックを奪いにいくリドルにクレメンツは必死の抵抗を見せるが、リドルが4の字フックでバックからクレメンツを固定し、背後から顔面パンチ。クレメンツはヒジを叩きつける。
立ち上がったクレメンツは後ろ廻し蹴りを繰り出し、右フック。リドルは攻め疲れたか、タックルにスピードがなくクレメンツに潰され、上からヒジを落とされる。リドルも下からクレメンツの頭頂部へヒジを連打。
3R、右フックでボディと顔面を打ちながら前へ出るクレメンツ。リドルの左ハイキックには左ミドルを合わせる。左右フックでどんどん前に出るクレメンツだが、リドルが片足タックルでテイクダウン。しかし、クレメンツはすぐに立ち上がって右フックから右ヒジ。接近したクレメンツのバックハンドブローに対し、脇に潜り込んだリドルは立ったままの肩固め! そのまま寝技に持ち込み、タップを奪った。
※この大会は「WOWOWライブ」にて7月25日(水)21:00〜再放送あり
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