4月3日(日)都内ホテルにて、前日2日(土)横浜アリーナにて開催された『K-1 WORLD GP 2010 IN YOKOHAMA』の一夜明け会見が行われた。会見にはピーター・アーツを見事KOしてK-1ヘビー級タイトルの初防衛に成功した京太郎(チームドラゴン)と、谷川貞治K-1イベントプロデューサー(以下EP)が出席。
衝撃のKO勝ちから一夜明けて、京太郎は「今回、自分は勝つべくして来たのではと思いますし、今回は自分よりも周りの人のために勝ったという想いが強いです。ウチの会長である前田(憲作)会長を始め、フィジカルを見てもらっている2人のトレーナー、それと武蔵さん。この3人に感謝しています。一緒に練習している長島(☆自演乙☆雄一郎)選手がMAXで優勝しましたし、今日は中邑真輔選手がIWGPの防衛戦をやりますし、どうしてもみんなに刺激を与えたくて試合をしました。
試合に行く前にチームドラゴンのみんなが全員立って、握手して送り出してくれたのでどうしても勝ちたいと思いましたし、それに一番応援してくれていたおばあちゃんが亡くなって、今回初めて“勝ちたい”という言葉が頭に浮かんでちゃんと勝ちたいと思いました。MAX(の日程)が近かったのでチケットが売れてないと思い、僕も今までの何倍も頑張って売ったし(約100枚を売ったという)、そういったことが重なって“僕には何か来ているんじゃないか”と思いました。
今回は気持ちで前に出ろと前田会長から言われて、グローブを合わす時にも目を離すなと指導されました。メンタルをみてもらっている先生にも気持ちの面でサポートをしていただいて、今回やっと日本を背負って世界に行きたい、もっともっとテレビに出て有名になりたいという気持ちが出てきました。今回勝った嬉しさは周りのみんなにあげちゃったので、今は特に嬉しくないし、次の試合に向けてまた壁を壊して前へ行って、人間として成長したいし、周りの人と一緒にこれからも上に行きたいと思います」と挨拶。
右手の人差し指と中指には添え木と包帯が巻かれており、これは「前から痛めていたんですが、ボクサーナックル(パンチで強い衝撃が拳に加わり腱が脱臼すること)というカッコいい名前です。少し痛いけど勝ったからよかったですけれど。腱が切れているか伸びているかで、出来れば長期休養したいと思っていたんですけれど、ドクターにはすぐ治ると言われました(笑)」とのこと。
初めて日本を背負っていく気持ちになったという部分では、「今までは応援してくれる人も少なくて、K-1に貢献できていなかったと思いますが、知らない人も応援してくれるということは僕をこんなに必要としてくれるんだと感じましたし、会場で僕への声援が毎回毎回増えることで凄く嬉しかった。僕でもK-1にこうやってちょっとずつでも返せるんだなって思いましたしね。一番の恩返しはいい試合をすることなんだなとか、感じることが多くて、僕もK-1をもっと大きくしたいですし、K-1と一緒に僕も大きくなりたいと思いました」と説明。
これで京太郎が武蔵なき後のK-1 JAPAN勢の中で頭ひとつ以上抜き出たことになったが、「僕は独占欲が強いので本当はあまり出て来て欲しくないんですけれど、でもK-1が発展するためには必ず日本人が必要なので、今回一撃アカデミーで佐藤匠選手とずっとスパーリングをしてきたし、いろんな日本人とみんなで上に行きたいと思います。全盛期みたいに日本人がいっぱいいなければ熱を帯びないので、僕は未熟者ですが、みんなに刺激を与えていければと思います。一緒に上に行きたいです」と、他の日本人選手たちにメッセージを送る。
アーツというワールドGP決勝トーナメント16年連続記録を持つ選手を倒し、初防衛に成功した京太郎。これにより、今年のワールドGP開幕戦の出場も決定した。
「今はそんなに嬉しくないし、次があると思うだけ。まだ世界で20番目くらいだと思っています。皆さんも分かると思いますが、1年前のヘラヘラした僕とは違う。いつも試合前は自分で壁を作って、これを乗り越えれば何とかなると思っています。よく友だちに勇気をもらったと言ってもらえるんですが、凄く嬉しい。子供が大好きなので子供たちにも勇気を与えたいですね」と京太郎。
「僕が格闘技をやっているのは、頭が悪いので運動しか出来ないから。頭のいい人はいい会社に入ってお金持ちになれる。僕が有名になってテレビに出て、そういう人たちから連絡がくれば僕の勝ちだと思っていました」と、反骨心から格闘技を始めたと告白する。
K-1を自分が牽引していくという決意も。「長島選手がMAXで優勝したのは悔しかった。僕も頑張らなきゃと思いました。お互いに認めているので切磋琢磨してみんなで上に行きたいですね。K-1は日本で生まれたスポーツなので、絶対になくしてはダメ。これからも上に行きたい。K-1のために社員として働きたいですね」
さらには、オランダ武者修行も希望する。「世界最強のチームはゴールデングローリーだと思っているので、そこで練習したい」。そして、「何もない僕がここまで出来たってことをみんなに見せたい。ばあちゃんに“頑張らなくてもいい、努力だけすればいい”と昔から言われていたので、努力するだけです」と、さらなる精進を誓った。
谷川EPによれば海外から京太郎へのオファーが殺到しており、「ドイツの大会からもサキとの試合を組みたいと言われたので、人気、引きが出てきた。若いから経験を積んだ方がいいので、9月末か10月第一週に韓国で予定している開幕戦までに1〜2試合海外でやらせたいですね」と、次戦は海外になる見通しだ。
●2010年K-1ワールドGPスケジュール
4月10日 リトアニア・ヴィリニュス「ヨーロッパ予選」
4月17日 アゼルバイジャン・バク「ヨーロッパ予選」
5月21日 ルーマニア「東ヨーロッパGP」※ヨーロッパ予選の各大会上位2名+推薦選手2名
6月5日 ドイツ・ドルトムント「西ヨーロッパGP」
6〜8月 オーストラリアでオセアニアGP、中国でアジアGP
※8月に世界最終予選をヨーロッパか日本で開催
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