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【新極真会】塚本徳臣が史上初5度目の優勝!来年の世界大会で引退へ

2010/10/31


↑(左から)準優勝・村山、優勝・塚本、3位・森、4位・塚越。この4人が世界大会の日本代表に決定

NPO法人全世界空手道連盟新極真会
「第42回オープントーナメント全日本空手道選手権大会」

2010年10月31日(日)東京体育館
開場9:00 開始10:00

 来年に開催を控えた『第10回全世界大会』の日本代表第1次選抜戦を兼ねた全日本大会の2日目が、10月31日(日)東京体育館で行われ、初日の1、2回戦を勝ち上がった32名により3回戦〜決勝戦が争われた。

 この日の3試合目でいきなりの波乱! 第8回全世界チャンピオンで、史上初5度目の全日本優勝を目指してエントリーした鈴木国博が、3回戦で23歳・茶帯の長野義徳に体重判定で敗れたのだ。

→鈴木(左)は長野に差をつけることが出来ず、体重判定で敗れた

 昨年の準優勝者・青柳茂瑠も4回戦で前田優輝に体重判定で敗れた。

 第6回全世界チャンピオンの塚本徳臣は3回戦で森下穣に本戦判定4−0、4回戦では2年前の全日本大会4回戦で体重判定により敗れた谷川光から左後ろ廻し蹴りで技ありを奪っての本戦判定5−0でリベンジ達成。

→2年前に敗れた谷川から後ろ廻し蹴りで技ありを奪って雪辱した塚本

 準々決勝は身長183cm、体重125kgという巨漢の19歳・落合光星を延長1回判定3−0で振り切り、ベスト4入りして世界大会出場を決めた。

 第9回全世界チャンピオンの塚越孝行は、3回戦で他流派最強の男と言われる白蓮会館世界チャンピオンの北島悠悠と“世界王者対決”を行い、延長1回判定5−0で最初の山場をクリア。

→世界王者対決は塚越に凱歌があがった

 続く準々決勝では今年の『ドリームカップ』学生男子重量級で優勝した20歳のホープ長谷川達矢を迎え撃つはずだったが、長谷川が腎機能障害のため棄権し、不戦勝で駒を進めた。準々決勝では第40回全日本チャンピオン山田一仁との対戦となり接戦が予想されたが、塚越が本戦判定5−0で圧勝し、世界大会への切符を手に。

 その塚本と塚越が準決勝で激突。世界チャンピオン同士の対戦は延長戦までもつれ込み、塚越の肋骨を飛び後ろ蹴りで折った塚本が決勝戦へ進出した。もう片方のブロックからは今年の全日本ウェイト制大会重量級チャンピオンの森健太を破り、一昨年の同チャンピオン村山努が決勝戦へ進出。

 しかし、塚本は決勝戦でも強さを発揮し、本戦判定4−0でケリをつけ、昨年に続いての二連覇、そして史上初となる5度目の全日本大会優勝(第28・29・38・41回)の偉業を成し遂げた。

 塚本は「今日一日、本当に長かったです。1年を通して一番練習している自信があったので、今日勝てなかったら1年間頑張ってきた自分に申し訳ないと思っていました。来年37歳になりますが、絶対に世界王座を獲りに行きます。日本がベスト8を占めるつもりで頑張ります」と勝利者インタビューに答えたが、ここで衝撃発言が!

「この全日本大会で先輩・後輩たちと闘うのは、これで最後になるかもしれないとの想いで闘いました」。その言葉の真意を確かめると、「来年の世界大会を節目にしようと思っています。世界大会に全てを懸ける、最後だと思ってやります。また次があると思って獲れるような大会ではない」と、来年の世界大会を最後に引退する考えがあることを明らかにした。

 また、大会5週間前の稽古中に右足の後十字靭帯を伸ばしてしまい、胴廻し回転蹴り、掛け蹴り、上段廻し蹴り、右前蹴りなど得意技のほとんどが使えない状態であったことも告白。それでも「去年の全日本大会後にあった支部長会議の翌日からずっと稽古をしていたので、この1カ月くらい出来ない練習があっても弱くなるわけがないと思っていた」と自分を信じることで克服したと語った。

 同時開催された女子の無差別級全日本大会では、戦前の予想通り第3&4回『カラテワールドカップ』女子中量級&第38回全日本女子優勝の佐藤弥沙希、第24&25&27回全日本ウェイト制女子重量級優勝の将口恵美が決勝戦で拳を交え、最終延長戦までもつれ込む接戦の末に将口が女王対決を制した。

 女子はこの2人が世界大会出場を決めている。



▼決勝戦
○塚本徳臣(世田谷・杉並)
判定4−0
●村山 努(京都南)

 今年の決勝戦は、第6回全世界&第28・29・38・41回全日本チャンピオンなど数々の優勝経験を持ち、長く新極真会の顔として君臨してきた塚本と、第26回全日本ウェイト制重量級チャンピオンで昨年全日本7位の村山によって争われた。

 塚本が左の前蹴りで先制、村山は右下段廻し蹴りを集中的に狙っていくが、塚本は左ストレートをカウンターで放つ。さらに塚本は左の下段後ろ廻し蹴りを連発していく。ラストには突きと膝蹴りでラッシュをかけ、村山に反撃の隙を与えず本戦判定4−0で決着。5度目の全日本大会優勝を果たした。


▼3位決定戦
○森 健太(福岡)
不戦勝
●塚越孝行(千葉松戸)

 準決勝で塚本徳臣の飛び後ろ蹴りをもらい、右肋骨を折られた塚越。ドクターストップがかかり、森が不戦勝で3位に。森は「今日は運がよかった。まだまだ自分の理想とする動きが出来ていない。少しでも近づけるように稽古を積み重ねます。世界大会には今まで2回出させていただいて日本の力になれなかったので、意識を高く持ってやっていきたい」と語った。




▼準決勝戦
○塚本徳臣(世田谷・杉並)
延長1回 判定5−0
●塚越孝行(千葉松戸)

 準決勝で実現した世界チャンピオン対決。両者は4年前の第38回全日本大会の決勝戦で対戦し、その時は体重判定で塚本が勝利して優勝を飾っている。

 塚本が左の前蹴りで先制し、塚越は右の下段廻し蹴り。バックステップで塚越を誘って飛び後ろ蹴りを放つ塚本だが、ヴァレリーキックは塚越が右膝を上げることで封じ込める。離れると前蹴り、接近すると左右の下段廻し蹴りを蹴り続ける塚越。塚本も左ストレートで応戦し、本戦の判定は0−0で引き分け。

 延長戦に入っても塚越は下段を放ちながら前へ出る。「原点に戻って前へ出続ける」ことを今大会のテーマにしていた塚越だが、これが裏目に出た。バックステップで回り込む塚本が後ろ蹴りを狙っていることは分かっていたのだが、「一瞬、意識が抜けてしまった」という塚越に、カウンターの飛び後ろ蹴りが炸裂!

 この一発で右肋骨を骨折し、動きが止まった塚越へ塚本が左下突きのラッシュ! 塚越は人間サンドバッグ状態になってしまい、塚本の左下突きと膝蹴りを浴び続け、何とか最後まで立っていたものの塚本が判定5−0で決勝戦へ進出した。




▼準決勝戦
○村山 努(京都南)
延長1回 判定5−0
●森 健太(福岡)

 今年の全日本ウェイト制重量級チャンピオンの森と昨年の同チャンピオン村山の対戦。両者は昨年の全日本ウェイト制重量級準決勝で対戦し、その時は村山が勝っている。

 前に出て突きと下段廻し蹴りを放つ村山に対し、森はバックステップで誘いながらカウンターの蹴りを狙う。“七色の蹴り”と称される森は横蹴り、後ろ蹴り、ヴァレリーキック、飛び中段膝蹴りと多彩な蹴り技を仕掛けるが、村山も下段廻し蹴りと膝蹴りで一歩も退かない。本戦の判定は0−0。

 延長戦に入っても森は蹴りの大技を仕掛けていくが、村山は距離を詰めての下突きと膝蹴り。村山の接近戦が多くなり、膝蹴り連打で森の動きが止まる。最後に森は右上段廻し蹴りを放ったが逆転はならず、村山が判定5−0で初の決勝戦進出を決めた。

<入賞者>

優 勝 塚本徳臣(世田谷・杉並)
準優勝 村山 努(京都南)
3 位 森 健太(福岡)
4 位 塚越孝行(千葉松戸)
5 位 山田一仁(兵庫山田道場)
6 位 落合光星(和歌山)
7 位 島本一二三(広島)
8 位 前田優輝(和歌山)
敢闘賞 島本雄二(広島)
技能賞 前田優輝(和歌山)
試割賞 山田一仁(兵庫山田道場)※20枚




▼女子決勝戦
○将口恵美(愛知山本)
延長3回 判定5−0
●佐藤弥沙希(和歌山)

 戦前の予想通り、決勝戦は2人の女王によって争われた。佐藤は第9回全世界大会準優勝、第3&4回ワールドカップ中量級優勝、第38回全日本優勝、第25&27回全日本ウェイト制中量級優勝という華々しい実績を持つ22歳。

 将口も第40回全日本優勝、第24&25&27回全日本ウェイト制重量級優勝という実績を持ち、9月にはスウェーデン大会にも出場して優勝している20歳。両者は中学生時代に対戦し、その時は最終延長にまでもつれ込み、将口が判定で勝利を収めているという。

 女子トップ2だけに試合は大接戦。横蹴り、前蹴り、左右の中段廻し蹴りと蹴り技中心に攻める将口に、佐藤はカウンターで内股への下段廻し蹴りとボディへの膝蹴り。膝の蹴り合い、下突きの打ち合いとお互いに一歩も譲らず、延長2回まで判定は全て0−0。体重判定となったが、佐藤66.8kg、将口64kgで有効差となる8kgの差はなく、今回も最終延長に突入した。

 延長2回の最後にラッシュをかけた将口はスタミナが心配されたが、回り込んでの膝蹴り、左右の中段廻し蹴り、下突きで死力を振り絞る。佐藤は前に出て蹴りの間合いを潰し、突きを放っていったが、将口の手数が優って女王対決はついに決着。将口が日本女子エースの座に就いた。

<入賞者>

優 勝 将口恵美(愛知山本)
準優勝 佐藤弥沙希(和歌山)
3 位 木村敬代(渡邊道場)
4 位 加藤小也香(愛知山本)
敢闘賞 横山紀子(和歌山)
技能賞 加藤小也香(愛知山本)

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