9月18日(火)神奈川県内のホテルにて、TBS主催『OLYMPIA
HERO’S 2007 ミドル級世界王者決定トーナメント決勝戦』の一夜明け会見が行われ、前田日明HERO'Sスーパーバイザー(以下SV)が昨日の大会を総括した。前田SVは昨日の試合をどう見ていたのか? 全試合の解説は以下の通り。
TBS 「OLYMPIA
HERO’S 2007 ミドル級世界王者決定トーナメント決勝戦」 2007年9月17日(月・祝)神奈川・横浜アリーナ 開場15:00 開始16:00
▼メインイベント ミドル級世界王者決定トーナメント決勝戦 HERO’Sルール 5分3R 70kg契約 ○J.Z.カルバン(ブラジル/アメリカントップチーム) 一本 1R4分48秒 ※腕ひしぎ十字固め ●アンドレ・ジダ(ブラジル/シュートボクセ・アカデミー) ※カルバンがミドル級世界王者に輝く 「もっと壮絶な打ち合いになるか、逆に判定決着になるのかと思っていたんですが、カルバンがキャリアでジダを押さえ込みましたね。カルバンの頭の良さを感じました。普通の選手だったらジダのカウンターの右フック一発で終わってますよ。でもカルバンはそれをものともせずに、逆に動いて上手くジダを決め込んだ。状況を判断するという部分で、カルバンが一枚上でしたね。 ただジダも近い将来チャンピオンになる素質はあると思います。あのフックの当て勘とパンチと蹴りの重さ。もっと経験を積んでグラウンドの技術を覚えたら、どうなるか。期待してます。逆に日本人選手がこのレベルの選手に絡んでいくには、もっとパワーが欲しい。そして相手を研究して、どう作戦を組み立てていくかですね」 ▼セミファイナル スーパーファイト HERO’Sルール 5分3R 63Kg契約 ○山本“KID”徳郁(日本/KILLER
BEE) 判定 3−0 ※30−29、30−29、30−29 ●ビビアーノ・フェルナンデス(ブラジル/グレイシー・バッハ) 「KID君は一発で倒せる武器があって、それを柔術の世界王者にどう持っていくか。今回はKID君の対応が遅れましたね。今まで70kgでやってきて、同階級のスピードを持った選手と戦うとなった場合に、自分の武器をどう生かすのか。KID君はそれをもっと研究すべきだと思いました。 例えばシャオリンと戦った時のカルバンを参考にして欲しいですね。またKID君がカウンターが得意なことも周りの選手にばれていて、誰もKID君の誘いに乗ってこなくなっている。そこもどうするか考え直さなきゃいけないと思います。ビビアーノはいい選手ですね。判定は3-0になりましたが、自分は2-1かドローでもいいと思いましたし、もう1R見たかった。素晴らしい選手です」 ▼第8試合 スーパーファイト HERO’Sルール 1R10分、2R5分、延長1R5分 85Kg契約 ○桜庭和志(日本/チーム桜畑) 一本 1R6分20秒 ※腕ひしぎ十字固め ●柴田勝頼(日本/ARMS) 「柴田はグラウンドで下になっても掌底を当てたり、あのファイティングスピリットは大したもんですね。桜庭も『気持ちを持っているから、もっと技術があったらいい選手になる』と言っていましたし、自分もそう思いました。 ただ桜庭はもらわなくていいパンチをもらいすぎです(苦笑)。キャリアも後半になって、余計なダメージは負わないほうがいい。今後、船木戦やヒクソン戦があるのであれば、もっと注意を払うべきでしょう。いい試合をするのと、無駄にパンチをもらうのは別です」 ▼第7試合 スーパーファイト HERO’Sルール 5分3R ○セルゲイ・ハリトーノフ(ロシア/CLUB
VOLK HAN) TKO 1R4分21秒 ※レフェリーストップ ●アリスター・オーフレイム(オランダ/ゴールデングローリー) 「序盤はアリスターの打撃が良かったですね。ハリトーノフはパンチのコンビネーションがまだまだで、実戦から遠ざかっていたのか肩に力が入っていました。ただ後半になってだんだん良くなって、ロシア人の冷静さが出た試合だと思います」 ▼第6試合 スーパーファイト HERO’Sルール 1R10分、2R5分、延長1R5分 88Kg契約 ○メルヴィン・マヌーフ(オランダ/ショータイム) TKO 1R4分21秒 ※レフェリーストップ ●ファビオ・シウバ(ブラジル/シュートボクセ・アカデミー) 「これはシウバが気負いすぎて固かったですね。逆にマヌーフは落ち着いていた。そのマヌーフに接近戦を挑むのは良くない。ただマヌーフの相手の顎を狙った左右のフックには関心させられます」 ▼第5試合 スーパーファイト HERO’Sルール 1R10分、2R5分、延長1R5分 85Kg契約 ○ユン・ドンシク(韓国/フリー) 一本 1R1分29秒 ※腕ひしぎ十字固め ●ゼレグ“弁慶”ガレシック(クロアチア/チーム・トロージャン) 「ユンは韓国柔道界の第一人者の一人。腕十字も最初は足の挟みと腕の角度が悪かったんですが、ガレシックをあえて動かして、いい態勢に持ち込んで極めました。あれは熟練度が出た技ですし、自分なんかは『なるほどな』と思って見た試合です。ユンは打撃にもおたおたしないですし、これから伸びる選手だと思います」 ▼第4試合 スーパーファイト HERO’Sルール 1R10分、2R5分、延長1R5分 ○ミノワマン(日本/フリー) TKO 2R0分42秒 ※レフェリーストップ ●ケビン・ケーシー(USA/ヒクソン・グレイシー柔術アカデミー/北米ブラジリアン柔術トーナメント2006ヘビー級王者) 「自分はミノワの準備不足、スパーリング不足を感じました。ケーシーはヒクソン流の相手を押し込む、UFC系の戦い方をしたんですが、ミノワがそれに乗って苦戦してしまいましたね。相手のファイトスタイルに対応できない、研究不足です。最後は接近戦でいいパンチが当たりましたが、華々しい勝ち方が出来る選手なんで、もっと練習環境を考えてやって欲しいですね」 ▼第3試合 ミドル級世界王者決定トーナメント準決勝 HERO’Sルール 5分2R延長1R 70kg契約 ○J.Z.カルバン(ブラジル/アメリカントップチーム) TKO 1R0分35秒 ※レフェリーストップ ●ビトー“シャリオン”ヒベイロ(ブラジル/ノヴァウニオン) 「これはKIDVSビビアーノ戦とは対になる試合ですね。シャオリンが首を取って組み付こうとしたところで、カルバンがシャオリンを倒して一気に打ちに行った。あのとっさの判断は総合格闘技をずっとやっていないと出ないものです。KID君はずっとアマレスの練習をやっていて、総合の準備が出来ていなかった。KID君もカルバンも一発を持っていて、どんな時にそれを出せるのかと思って見ていたんですが、カルバンがそれを上手く出しましたね」 ▼第2試合 ミドル級世界王者決定トーナメント準決勝 HERO’Sルール 5分2R延長1R 70kg契約 ○アンドレ・ジダ(ブラジル/シュートボクセ・アカデミー) 判定 3−0 ※20−18、20−19、20−18 ●宇野 薫(日本/和術慧舟會東京本部) 「宇野君は身長に行き過ぎました。ジダのような相手の場合は、立ち位置や間合いで強打を封じるか、逆にパンチを誘ってそのタイミングで何かをやる。この二つなんです。今回、宇野君は打たせないようにして、慎重になったんですが、逆にジダの間合いの詰め方が上手くてパンチをもらってしまいました。だからもったいない試合でした。ただ宇野君が可愛そうなのが、直前で相手が変わったこと。セコンドもぶっつけ本番だったと思うし、もう一度見たいカードですね。 それと運営面で一つ。2Rのドントムーブなんですけど、もし相手がロープの外に逃げようとして、ドントムーブになるのであれば、もっと早くストップをかけるか、逃げている選手にイエローカードを出した方がいい。今後、運営上、気をつける部分だと思います」 ▼第1試合 ミドル級世界王者決定トーナメントリザーブマッチ HERO’Sルール 5分2R延長1R 70kg契約 ○宮田和幸(日本/フリー) 一本 1R1分13秒 ※腕ひしぎ十字固め ●ハービー・ハラ(イギリス/シュプリーム
マーシャルアーツ) 「宮田君は今まで相手のペースに乗って苦戦する試合が多かったけど、落ち着いて相手を裁いて、ムエタイの練習の成果が出たと思います。課題を挙げるとすれば、相手がグラウンドで次に何をしてくるのか。色んな選手と練習して、それを覚えるべきだと思います。スパーリングが足りないんじゃないかなと。そっちの方を経験を積んでいって欲しいと思います」
|