6月3日(火)東京・青砥にあるH’sSTYLEボクシングジムにて、高橋和生(フリー)が公開練習を行った。高橋は8日(日)さいたまスーパーアリーナで開催されるワールドビクトリーロード主催『戦極〜第三陣〜』でファビオ・シウバ(ブラジル)と対戦する。
戦極初参戦となる高橋が公開練習を行ったのは、参戦記者会見で「ジムがオープンした時に通いたくて近所に引っ越した」というほど、高橋が力を入れてトレーニングしているH’sSTYLEボクシングジムだ。
この日の高橋は吉野弘幸会長とミット打ちを披露。右フックを中心に重量級とは思えない鋭いパンチを次々と繰り出し、調子の良さをうかがわせた。
公開練習後、「3年前から会長のジムに通いだすようになって、なかなか結果は出ませんでしたけど、ちょっとずつ会長に教わったことが身について形になっています。だから次の試合がすごく楽しみなんですよ」と笑顔で語った高橋。引越しのエピソードを聞いても分かる通り、高橋にとって吉野はトレーナーという以上の存在になっている。これほどまで高橋が吉野を師事する理由は何か?
「会長のジムに通う理由? それは会長の一撃必殺のパンチですよ(笑)。会長のパンチは一つ一つに肉体的、技術的なものではない重さがあるんです。それを感じたのが一番(の理由)ですね。
今までもボクシングの練習はやってきたんですけど、毎日ボコボコにされて。今まで僕にとって黒澤(浩樹)先生が唯一の先生だったんですが、(吉野)会長も師と呼べる人ですね。
こういう言い方はあれですけど、スパーリングで会長と正面で向き合うと『この人、人を殺すだろう』っていう顔をしているんです(笑)。そういう練習が出来ることが幸せだし、僕くらいベテランになるとそういう人と練習する機会はないですから」
吉野とトレーニングを続ける中で新しい必殺技も見につけた。「必殺技はあります。当たったら倒れる? 関節技かもしれないじゃないですか(笑)」と冗談を飛ばした高橋だが「誰でもそうだと思うんですけど、『これにはまれば勝つ』というパターンを持っているんです。だからそういう感じですね。ただパンチで倒すイメージは出来ていますよ」と、すでに頭の中ではKO勝利のイメージが出来ているようだ。
現役時代の吉野の必殺技といえば左フックだが、「フックも教わりましたよ。僕の場合はサウスポーなので、右フックになりますけど。
フックで倒したら会長直伝と書いてください。フックじゃなくてどのパンチで倒しても会長の直伝ですね」(高橋)と、いずれにしても得意だったパンチにさらなる磨きがかかっているようだ。
また高橋はパンクラスを退団し、フリーになってから周りのサポートのありがたみを知ったという。
「僕は今まで自分一人でやってきたという気持ちがあったんですけど、フリーになって生まれて初めて人に支えられているなと感じました。
会長も汗だくになってミットを持ってくれるし、TK(=高阪剛)も僕がアライアンスの所属じゃないのに、親身になって練習に付き合ってくれる。マネージャーも色々と助けてくれて、本当に周りの力を実感しているんですよね」(高橋)
だからこそ「結果を出して恩返ししたいですよね」と高橋。「今回はセコンドに会長とTKが付いてくれることになって、これは絶対に倒れられないし、後ろに下がれません。
対戦相手の研究? 会長とTKがやってくれてます(笑)。ただ今は練習でやっていることがすごく充実しているし、ファビオがどうとかは関係ないんですよね。練習でやることをやって、後ろに会長がTKがいてくれるんで、あとは体が赴くままに無心で前に出るだけです」と、まさに不退転の決意で試合に挑むつもりだ。
この日は高橋の後輩にあたるアライケンジも同ジムに練習に訪れていたが、高橋は「今度の試合で色々とアライに教えたいという部分もあるんですよ。僕は口で説明するのが上手くないからリングの上で見せたいというか。例えばTKなんかを見ていると、まだ自分にやるべきことがあると思うし、それをやるまでは(現役で)頑張らないと。今、自分が考えている技で勝つことが出来るのであれば、アライにも勉強になると思うんです」と語っている。
ここ最近は3連敗中と勝ち星から見放されている高橋。戦極のリングで約3年ぶりの勝ち名乗りを挙げることは出来るか?
●吉野弘幸のコメント
「(高橋は)ずっと怪我が多かったんですよ。(メルヴィン)マヌーフとやった時も腕が折れてましたからね(苦笑)。ただ今回は怪我がないし、練習でやってきたことを出せるんじゃないですかね。
ベテランになるとどうしても恐怖心がなくなって、火事場のバカ力がなくなるんです。だからこっちもスパーリングでは倒すつもちでやりますし、そしたら向こうも必死になってやるじゃないですか。そういう練習が大事なんですよ。今回はしっかり練習も出来たと思うし、まだまだ(高橋は)技術的に伸びると思います」
ワールドビクトリーロード
「戦極〜第三陣〜」
2008年6月8日(日)さいたまスーパーアリーナ
開場16:00 開始17:00
<決定対戦カード>
▼メインイベント ヘビー級 5分3R
吉田秀彦(吉田道場)
VS
モーリス・スミス(アメリカ/モーリス・スミス・キックボクシングセンター/元WKA世界キックボクシング王者&UFC世界ヘビー級王者)
▼ミドル級 5分3R
三崎和雄(GRABAKA)
VS
ローガン・クラーク(アメリカ/ミネソタ・マーシャルアーツ・アカデミー)
▼ヘビー級 5分3R
藤田和之(藤田事務所)
VS
トラビス・ビュー(アメリカ/エリート・パフォーマンス)
▼ヘビー級 5分3R
チェ・ム・ベ(韓国/チーム・タックル)
VS
マーシオ・“ペジパーノ”・クルーズ(ブラジル/グレイシー・フュージョン)
▼ウェルター級 5分3R
ニック・トンプソン(アメリカ/フリースタイルアカデミー)
VS
マイケル・コスタ(ブラジル/シュート・ボクセ・アカデミー)
▼ライトヘビー級 5分3R
高橋和生(日本/フリー)
VS
ファビオ・シウバ(ブラジル/シュート・ボクセ・アカデミー)
▼ミドル級
菊田早苗(GRABAKA)
VS
クリス・ライス(英国/チーム・トロージャン)
▼ライト級
ホドリゴ・ダム(ブラジル/アライアンスBJJ)
VS
ジョルジ・マスヴィダル(アメリカ/アメリカン・トップチーム)
<出場予定選手>
ドゥエイン・ラドウィック(アメリカ/ハイ・アルティチュード)
<チケット料金>
VIP席(専用入場ゲート・特典付き)100,000円
RRS席30,000円
戦極シート(S席・特典付き)17,000円
S席17,000円 A席7,000円
<お問い合わせ>
ワールドビクトリーロード=TEL:03−3369−2211
ワールドビクトリーロード
「戦極〜第四陣〜」
2008年8月24日(日)さいたまスーパーアリーナ
開場開始未定
<出場予定選手>
五味隆典(久我山ラスカルジム)
ワールドビクトリーロード
「戦極〜第五陣〜」
2008年9月28日(日)東京・国立代々木競技場 第一体育館
開場開始未定
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