3月19日(金)東京・門前仲町にある和術慧舟會RJWにて、MMA(総合格闘技)のメジャーリーグUFCに定期参戦している岡見勇信(和術慧舟會東京本部)が公開練習を行った。岡見は、3月31日(水・現地時間)アメリカ・ノースカロライナ州シャーロット ボージャングルス・コロシアムで開催されるZUFFA『UFC FIGHT NIGHT FLORIAN VS GOMI』でルシオ・リナレス(ブラジル)と対戦する。
3分1Rの総合格闘技スパーリングを行った岡見は、パンチからタックルでのテイクダウンを流れるように決め、グラウンドになるとパウンド&ヒジ。マット・ヒューズポジションからのヒジやアームロックも披露し、好調ぶりを窺わせた。
「前回負けて(昨年10月24日、チェール・ソネンに判定負け)どん底に落とされた。これからどうしようと終わった直後は思っていましたね。でも、また試合が組まれてUFCのために調整も出来て今は嬉しさがあります。あとは試合でこの前の負けを払拭したい」と岡見。
ソネンに負けるまでは3連勝していたが、たった1敗でどん底まで落とされたと岡見は感じている。それがUFCの厳しい世界だと。「どんな試合でも負けはつらいもの。それは大きな舞台になればなるほどいろんなものがくっついてくるし、失うものも大きい。ミドル級は層が厚いのでいろんな選手が出てきているし」。
前回の敗戦を機に練習方法を変えたという。「前の反省を踏まえていろいろ自分の中で思考錯誤して、アメリカで練習をやらせてもらって進むべき道が分かってきた。それに向けて練習してきました。細かい話ですが、自分の闘うフォーム、自分がこれからチェールに勝つためには変えなければいけない部分があったんです。自分の癖があって、それを直すために考えてきました。チェール以外にも勝つためには必要だと思ってやってきました」。
また、「今回はアメリカで練習をやって痩せて90kgくらいになってしまったんですが、帰国してからウェイトトレーニングをやって94kgになりました。そこを維持しています」という。
「チェールとやって、ああいうパワーがあって前に出て来る選手はUFCにいっぱいいる。そういう選手に勝っていくには、チーム・クエストでチェールと練習することによって今までの闘い方ではチェールと何回やっても勝てないと思いました。考え方やフォームを変える必要があると練習することによって分かりました。今まではそれで勝っていたけれど、もう一段階上に行くには自分を変えていかなければいけないと思いました。変わらないと勝てない、変わらなければいなくなっていくだけなので。もう全てを変えました。スタンス、姿勢、闘う気持ち……。変えないと生き残っていけない、上には行けないと痛感しました」と、12月3〜30日の長期にわたってアメリカのチーム・クエストで練習したことで“意識改革”が芽生えた。
ラスベガスにも2週間滞在して、ランディ・クートゥアーやフォレスト・グリフィンなどの元UFC王者たちとも練習をしている。
今回の試合に関して、岡見は“インパクトのある試合”をやりたいという。「今まで勝っても自分で楽しいと思ったことがあまりなくて、今回は自分が勝った上で楽しみたい。それが理想とする試合なので、それが出来れば見ている人にもインパクトが与えられると思う。楽しかった、やり切ったという試合がしたい。今まで良かったと言われる試合もありましたが、自分の中ではないんです。今回の試合は日本の人が見てくれると思うので、インパクトもある試合を見てもらいたい。自分の名前を覚えてもらいたいですね」。
では、岡見が理想とする試合とは何か。「いつも自分の中では勝っても不完全燃焼。何となく勝ってる感じがして、自分の中では喜べないんです。心から喜べない試合が続いています。それを技術や気持ちで理想とする、喜べる試合に今回はしたいですね。内容はそれに付いて来ると思います。しっかりと自分の打撃を見せて、テイクダウン勝負でも寝技でもひとつひとついいところを見せて、パーフェクトゲームにしたい。自分のレベルをどんどん上げて行きたいです」。
そして、そういう試合が今回は出来ると岡見は確信しているようだ。「今までの経験もあるし、テレビ東京さんの放映も決まって、いま一番いい状態です。精神的、肉体的、技術も全て最高潮。いいタイミングだったと思う」。
対戦相手の印象は「長身で打撃もしっかり打てる。荒いけれどそこは注意したい。一番はグラウンドですね。手足が長いので、寝技に注意してやっていく」というもの。では、どう闘うのかとの質問には、「もちろん打撃で自分が有利に立たないと話にならない。打撃でペースを掴んで、打撃でフィニッシュ出来れば一番いいけれど、その後のテイクダウン、パウンド、ヒジ、最後はサブミッション……いろいろ想定しています」と打ち明けた。
「打撃の部分は強化してきて、一番勝たないといけないと思っている。そこはしっかり自分が優っていることを観客にも相手にも思わせたい。そこだけは負けないようにしていきます」と、打撃では絶対に負けたくないと語る。
「UFCはやりがいがある。自分が生きていく中でUFCはやる気を出させてくれる舞台。1回1回、UFCの試合が決まると充実した練習が出来るんです。モチベーションを上げてくれる舞台ですね。ひとつひとつ積み重ねてきて、10戦目まで来れた。もう10戦目かって感じです」とUFCへの想いを語る岡見。
タイトルマッチまでもう一歩と言われて久しいが、「前回負けているのでゼロからのスタートです。しっかり次は勝って、いい勝ち方をすればまた強い選手を当てられると思う。与えられたマッチメイクで結果を出していけば見えてくるでしょう。目標はもちろんUFCのチャンピオンになること。それしかない。やりがいのある仕事だと思っています。チャンピオンを目指してやります」と、一歩一歩タイトルへ近付いて行きたいと語る。
今大会には宇野薫、五味隆典も出場するが、UFCで最もキャリアのある岡見が見せたい差とは何か。「普通に勝ちたいですね。UFCにあまり捉われず。捉われる部分がありますけれど、やることは他の試合と変わりないですから。だから普通に勝ちたい。自分の中ではそういうものをしっかりと次の試合で見せたいですね」。
2006年8月26日の初参戦から継続参戦し、先輩の宇野薫と共に記念すべきUFC10戦目を迎える岡見は、日本人MMAメジャーリーガーとしてさらなるステップを踏むことが出来るか!?
ZUFFA
「UFC FIGHT NIGHT FLORIAN VS GOMI」
2010年3月31日(水・現地時間)アメリカ・ノースカロライナ州シャーロット ボージャングルス・コロシアム
<全対戦カード>
▼メインイベント(第10試合)
五味隆典(久我山ラスカル)
VS
ケニー・フロリアン(アメリカ/チーム・シットヨートング)
▼セミファイナル(第9試合)
ロイ・ネルソン(アメリカ)
VS
ステファン・シュトゥルーフ(オランダ)
▼第8試合
ネイト・クォーリー(アメリカ)
VS
ホルヘ・リベラ(アメリカ)
▼第7試合
ロス・ピアソン(イギリス)
VS
デニス・シバー(ロシア)
▼第6試合
アンドレ・ウィナー(イギリス)
VS
ハファエロ・オリベイラ(ブラジル)
▼第5試合
ジェイコブ・ボルクマン(アメリカ)
VS
ロニーズ・トーレス
▼第4試合
宇野 薫(フリー)
VS
グレイソン・チバウ(アメリカ)
▼第3試合
岡見勇信(和術慧舟會総本部)
VS
ルシオ・リナレス(ブラジル)
▼第2試合
ジェラルド・ハリス(アメリカ)
VS
マリオ・ミランダ
▼第1試合
チャーリー・ブレネマン
VS
ジェイソン・ハイ(アメリカ)
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