9月5日(火)都内ホテルにて、昨日東京・有明コロシアムで行われたTBS/FEG『K-1 WORLD MAX
2006〜世界王者対抗戦〜』の一夜会見が行われ、K-1谷川イベントプロデューサー、ブアカーオ・ポー.プラムック(タイ)が会見に出席した。
視聴率では15%越え、最高視聴率でも20.9%(須藤×シャファー戦)を記録した昨日のMAX。この1年間を通しても、4大会で平均15%をマークするなど、「改めてMAXの安定感を感じた」(谷川P)結果が出たと言えるだろう。
しかしその一方でMAXが直面している問題は“日本人が勝てない”ことだ。昨日の大会でも日本は世界を相手に2勝8敗。しかもその2勝には安廣一哉(正道会館)がアンディ・オロゴン(ナイジェリア)に勝った一戦も含まれており、世界の壁の厚さを改めて思い知らされる結果となってしまった。この現状について谷川Pは以下のように語った。
「日本人が全滅に近い形となりました。海外のプロモーターからは『日本のレベルは上がっているね』と言われたんですが、やっぱり圧力負けする選手が多かったですね。海外の関係者から『可能性がある』と評判の良かったHAYATO選手は、圧力をかけられても前に出てましたよね。
逆に佐藤選手、小比類巻選手、寒川選手のような、テクニカルで待つタイプの選手は、今のMAXでは勝てないのかもしれません。キックボクシングやムエタイとは違うMAXのスタイルがあるわけで、ブアカーオ選手なんかは上手くMAXのスタイルにチェンジして対応していますけど、日本人選手にもそういうことが必要だと思います。
そう考えるとブアカーオとサワーは本当に強い。彼らに言えるのは試合数が多いということ。2人ともMAXの合間にも試合をこなしていますが、やはり試合経験がなければ勝てません。日本人に足りないものは経験だと思うし、TATSUJI選手なんかは他所のリングでもガンガン試合して欲しいと思います」
そして会見に同席したブアカーオが指摘したのは精神力の弱さ。ブアカーオは「昨日の試合を見ても分かる通り、日本人選手はリングに上がった時に熱くなるものが少ないように感じます。だからまずは精神的な部分から始めた方がいいでしょう。一番大事なことは自分に自信をもってリングに上がること。闘う以上は相手から攻撃を受けることからは逃げられません。ダメージを受けた時にこそ前に出るという闘争心が必要なんです」と分析する。さらにブアカーオは何人かの選手の名前を出して、それを詳しく説明した。
「ザンビディスと闘ったTATSUJI。彼はファイターとして非常にいいモノを持っていると思います。でも昨日のように接戦になった時に、もう一歩前に出ることが出来ない。その前に出る力があれば、もっといい選手なると思います。
佐藤は昨日もいい試合をしていました。あれは勝てる試合だったと思います。ただし佐藤はカウンターを待ち続けていたため、もう一歩前に出れば勝っていたでしょう。
そして小比類巻。彼のムエタイのレベルは非常に高い。技術だけを見れば魔裟斗と同じだと思います。ただし小比類巻の場合は、少しでも攻撃をもらうとトーンが下がってしまう。見ていて非常にもったいないと思うし、魔裟斗と差があるとすれば精神的な部分だけだと思います」
今後の日本人強化に向けて、会見終了後の囲み取材では「選手一人一人に課題やテーマをメモして渡すのもありかもしれません」と話した谷川P。しかし決してネガティブな意見だけではなく「実際惜しいところまでは来ているんです。それを見るとミドル級のレベルの高さは感じます。HAYATO選手もそうですし、ヴァシコバ選手や前田選手は良かった。負けはしましたけどSHINOBU選手は面白かった。アンディ選手も普通はあそこまでは出来ませんよ。やっぱり凄かったですね」と、新顔の活躍には手応えを感じている様子。
「来年の日本代表決定トーナメントへ向けて、誰か一人飛びぬけて強い選手が出てきて欲しい」とは谷川Pの言葉。世界に通用する日本人エースの誕生へ、日本人ファイターの奮起に期待したい。
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