6月5日(木)東京・東中野にあるGRABAKAジムにて、菊田早苗(GRABAKA)が公開練習を行った。菊田は8日(日)さいたまスーパーアリーナで開催されるワールドビクトリーロード主催『戦極〜第三陣〜』でクリス・ライス(イギリス)と対戦する。
大会の一週間前に出場が正式に発表された菊田は、2Rだけ軽めのスパーリングを披露。1R目では腕十字固めとフロントチョークを極め、2R目ではパートナーが持つミットにパンチを入れながら、ポジションを取り腕十字を極めた。
記者会見では対戦相手の情報を全く知らないと話していた菊田だったが、この日も「まだ試合の映像は見てないですね。というか映像がないんですよ。どこかに隠しているんじゃないですかね」と苦笑い。
結局「写真や戦績を見る限り、構えはオーソドックスでKO勝ちが多いのは分かっているんですけど、スタンドでKOしているのか、パウンドでKOしているのか。それも分からないですからね。本人が来たら、聞いてみてください」と、ほぼ対戦相手の情報なしで戦うことになる。
しかし逆に「どんな相手でも勝てるように練習しています。今までは相手の研究ばかりやっていたんですけど、今回は自分の型を研究するようにした」という。
「昔の自分のビデオを見て、動きがいい時と悪い時を研究する。そっちの方が重要だと思っているんです」と菊田。
ここ2試合はPRIDEで試合をしていた菊田だが、この時は1R10分・2R5分というラウンド数に苦しめられ、一時期は「寝技で何とかしなきゃと思って動こうとして、逆に動きが止まってしまったり、逃げられたりしてました。一本を取ろうとしすぎて、ちょこちょこ殴られたり、自分が見えてなかったです」と思っていた。
「10分ルールで戦うと、技のかけ時が難しいんですよ。例えば開始2分で極めにいって、失敗したらあと8分もあるわけじゃないですか。だからじっくり攻めることも含めて、ラウンドの時間は関係があるし、(関節技に)いく時を大切にしないといけない。
僕は押さえ込みを中心にしながら、極めにいくタイプなんで。どうしてもラウンドごとに時間が変わると寝技は難しいんですよ。トップチームの選手たちも最初の5分間を寝技で押していて、そこを凌がれて最後は打撃でやられるパターンがあったじゃないですか。だから5分3R制はうれしいし、ありがたいですね」(菊田)
一時期の迷いも自分の動きを研究することで解消されつつある。
菊田が自らの試合で理想の動きとしてイメージしているのは、2001年の美濃輪育久戦と2002年のアントニオ・ホドリゴ・ノゲイラ戦だ。「美濃輪戦は押さえ込みながらも、そこにこだわらないで、大逆転されないように攻め続けていたんですよ。ノゲイラ戦は負けましたけど、流れの中で上手くいけたなと思いました」
公開練習で見せたパウンドについても「基本的には寝技でじっくり行こうと思ってます。ただそこで嫌がらせのためにパンチを打とうと思うと、嫌がらせにならないんですよ。もうそこで相手を倒すくらいのパンチを打たないと。難しいんですけど、そういう感じですね」と菊田。対戦相手の情報がないという状況ではあるものの「上手く出せるかどうかはありますけど、自分の戦うイメージはありますよ」と、この状況をプラスに変えているようだ。
久しぶりのリングで菊田が見せたいもの、それは「職人的なもの」だという。PRIDE時代には一本勝ちという結果にこだわる発言も多かった菊田だが、この日は自らの寝技論を熱く語った。
「賛否両論とあると思うけど、僕は職人的なものを見せたいと思っています。
もちろん最後は極めて勝ちたいですけど、時間がかかってもいいんで、自分の強さがじわじわと分かる試合をしたいんですよ。例えばKOで勝つのがホームランバッターだとしても、1-0の試合で勝つことは難しいし、常に打率3割をキープし続けるのも難しい。
僕は極めて勝つことも大変だと思いますが、15分間相手をコントロールし続けるのも大変だと思うんです。だから僕は相手をコントロールしつつ、最終的に一本を取るという試合をしたい。それが自分らしさだと思うし、パウロ・フィリオやヒカルド・アルメイダは参考になる選手だなと思います。
戦極では僕のそういう所を見せたいし、日本人では僕にしか出せないと思うんです。コントロールする強さも、派手に極める強さも両方欲しいんですけど(笑)、僕は8割は地味で、2割は派手にいきます。それが僕のスタイルです。極められなかったら周りはブーブー言いますけど(笑)」
また会見でも口にしていたように、菊田にとって減量も試合前の大きな敵だ。過去、PRIDEでのフランソワ・レノグ戦で83kgまで減量した菊田だが、この時には「食事の取り方を間違って、筋肉まで落としました。しかも計量が終わった後も、外国人選手が何kg体重を戻すというのを意識して、戻しすぎてしまったんです」と、調整を失敗していたエピソードを明かす。
この時の反省から菊田は「放っておくて93,4kgになっちゃうんで、普段から90kgを切るように気をつけています。今は86.5kgくらい。体重を落とすことは今のところ問題ありません」と話しており、「コンディションは試合当日、リングに上がらないと分からないものではあるんですけど」としながらも、調整は順調のようだ。
「今は不安よりもワクワクの方が大きいですね。前の試合からかなり期間が離れたというのもあるし、その間に格闘家としても人生についても考えて。
今年に入ってこれからバリバリ試合をやっていこうと思ったら、色んな困難もあってちょっと厳しかったんですけど、今からラストスパートですよね。リングに上がる幸せを感じてます」と今の心境を明かした菊田。
格闘家としてのラストスパートという中で、戦極に対して「ファンの皆さんが考えている以上に大きい団体だと思うんですね。ファンの夢も叶えてくれるし、選手の夢も叶えてくれるというか。今まで僕が戦えなかった相手と戦わせてもらえると信じているんで、一つ一つ勝って次につなげたい。戦極はそういうリングだと思っています」と語る。約1年半ぶりのリングとなる菊田。自分らしさを出して、戦極初陣を飾ることが出来るか?
ワールドビクトリーロード
「戦極〜第三陣〜」
2008年6月8日(日)さいたまスーパーアリーナ
開場16:00 開始17:00
<決定対戦カード>
▼メインイベント ヘビー級 5分3R
吉田秀彦(吉田道場)
VS
モーリス・スミス(アメリカ/モーリス・スミス・キックボクシングセンター/元WKA世界キックボクシング王者&UFC世界ヘビー級王者)
▼ミドル級 5分3R
三崎和雄(GRABAKA)
VS
ローガン・クラーク(アメリカ/ミネソタ・マーシャルアーツ・アカデミー)
▼ヘビー級 5分3R
藤田和之(藤田事務所)
VS
トラビス・ビュー(アメリカ/エリート・パフォーマンス)
▼ヘビー級 5分3R
チェ・ム・ベ(韓国/チーム・タックル)
VS
マーシオ・“ペジパーノ”・クルーズ(ブラジル/グレイシー・フュージョン)
▼ウェルター級 5分3R
ニック・トンプソン(アメリカ/フリースタイルアカデミー)
VS
マイケル・コスタ(ブラジル/シュート・ボクセ・アカデミー)
▼ライトヘビー級 5分3R
高橋和生(日本/フリー)
VS
ファビオ・シウバ(ブラジル/シュート・ボクセ・アカデミー)
▼ミドル級
菊田早苗(GRABAKA)
VS
クリス・ライス(英国/チーム・トロージャン)
▼ライト級
ホドリゴ・ダム(ブラジル/アライアンスBJJ)
VS
ジョルジ・マスヴィダル(アメリカ/アメリカン・トップチーム)
<出場予定選手>
ドゥエイン・ラドウィック(アメリカ/ハイ・アルティチュード)
<チケット料金>
VIP席(専用入場ゲート・特典付き)100,000円
RRS席30,000円
戦極シート(S席・特典付き)17,000円
S席17,000円 A席7,000円
<お問い合わせ>
ワールドビクトリーロード=TEL:03−3369−2211
ワールドビクトリーロード
「戦極〜第四陣〜」
2008年8月24日(日)さいたまスーパーアリーナ
開場開始未定
<出場予定選手>
五味隆典(久我山ラスカルジム)
ワールドビクトリーロード
「戦極〜第五陣〜」
2008年9月28日(日)東京・国立代々木競技場 第一体育館
開場開始未定
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