全日本キック、スーパーフェザー級王者・石川直生(青春塾)のご母堂・昌子さん(享年60歳)が5月27日(火)にご逝去。6月2日(月)都内・四ツ木斎場で通夜が営まれたが、終了後に記者会見の場が設けられ、石川が現在の心境と出場の予定される「野良犬電撃作戦」(22日、東京・後楽園ホール)についてコメントした。
「気持ちはしっかりしています。今の自分の人生の中で、母親の死は考えられることの中で一番ツラいこと。でも、実際にこうなっても強い気持ちを持っていられるのはキックをやっていたから。戦うべき相手がいて、試合があるから強い気持ちを持っていられる。次の試合は試練どころか男としての真価が問われるけど、スゲぇ試合をして、強い気持ちを持って頑張るしかない」
突然の不幸に欠場もやむなしと思われた石川だが、毅然とした態度で気持ちを語るとともに、予定を変えることなく試合に出場することを宣言した。
昌子さんは石川の所属する青春塾・女子部の練習に参加することもあり、青春塾・竹島会長も元気な姿をよく知っていただけに「(突然のことで)私も気が動転してしまった。(石川に)何と言葉をかけていいか困惑した」と沈痛の面持ちを隠せない。
石川は修行先のタイから予定を早めて先月28日に帰国したが、竹島会長は「びっくりしたのは日に日に落ち着いているというか、会話の仕方もいつも通りで、逆に大丈夫かと。金曜日(5月30日)もジムに顔を出して体を動かしていた」と、最も身近な位置から石川の様子を明かす。
その上で「いろんな気持ちがあり何と言っていいか分からなかったが、『葬式が終わって2週間あるんでやります』と本人から言ってきた。それを聞いて自分で気持ちに区切りをつけスタートをしているんだなと。今回のタイ遠征の内容には深いものがあったと思うし、お母さんの死を無駄にしないで責任を持って練習を積み、小林GMの大会、全日本キックの大会として、本人も言ったような試合になるようにしていきたい」と、石川の決意を全面バックアップする意向を語った。
通夜および会見に出席した小林聡GMは、「こういうことになってしまい『無理しないで』と伝えていたけど、本人がこういう風に決めてくれたので、彼の生き様を見守るだけ。その生き様を天国のお母さんとキックの神様に見てもらえれば。僕も一緒に戦うつもりですし、お母さんも一緒に戦ってほしい。彼の生き様を見届けるのが僕の使命だと思っています」とこちらも石川の決断にエールを送っていた。
試合出場を取りやめようか迷わなかったか? と問われた石川は「試合をすることには1回も迷わなかった。『試合をする』っていう選択しかなかった。大好きだった母ちゃんの死に際にいられなかったということは、自分の道はそっちだったということ。戦い続けていくことが自分の道で、自分の道はここなんだと。(試合出場に)揺らぐことも選択もなく、スッとそう思って、自然に芽生えてきた気持ちでした」と心境を語る。
試合に関しては3週間のタイ修行が2週間に早まり帰国となってしまったが、「大きな経験をしてきたので無駄にしないようにしたい」と言い、「自分の試合をしないといけない。母ちゃんのことを思って殴り合いとかをしたら勝てない。今回の試合に限ってはそれをしたい気もあるけど、自分の試合をして勝ちます」と冷静さを失わず、天国の母親に捧げる勝利を誓っていた。
「たぶん試合をしてなかったら、キックがなかったらボロボロになっていたかもしれない。3週間後に試合があって目標があるから、こんな強い気持ちを持っていられるんだと思う」と石川。
キックボクサーとして“試練”を超える辛い“宿命”を背負ってしまった石川は、いかなる戦いを見せるのか。22日のリングは人間・石川直生の生き様が透けて見える戦いとなる。
なお、出場の決まっているサムゴー・ギャットモンテープの相手は今週末ないしは来週初めに発表予定。あわせて全カードが決定となり、試合順も発表される見通しとなっている。
全日本キックボクシング連盟
ALL JAPAN KICKBOXING 2008
「小林聡プロデュース 野良犬電撃作戦」
2008年6月22日(日)東京・後楽園ホール
開場17:00 開始18:00
※本戦開始前にオープニングファイト予定
<決定対戦カード>
▼日本VSタイ フェザー級 3分5R
山本真弘(日本/藤原/全日本フェザー級王者)
VS
ワンロップ・ウィラサクレック(タイ/WSRフェアテックス/M-1バンタム級王者)
※6・8M-1有明大会でワンロップが敗戦の場合、同クラスのタイ選手が出場
▼NAOKICK試練の七番勝負・第四戦 59kg契約 3分5R
石川直生(日本/青春塾/全日本スーパーフェザー級王者)
VS
カノンスック・ウィラサクレック(タイ/WSRフェアテックス/M-1フェザー級王者)
▼76kg契約 3分5R
中村高明(藤原/全日本ミドル級王者)
VS
須藤信充(TEAM SUDO/元日本三階級王者)
▼全日本スーパーフェザー級ランキング戦 サドンデスマッチ
大高一郎(ストラッグル/同級3位)
VS
ソルデティグレ・ヨースケ(U.W.F.スネークピットジャパン)
▼55kg契約 サドンデスマッチ 3分3R
寺戸伸近(青春塾/全日本バンタム級1位)
VS
那須儀治(WSK/興気塾/全日本バンタム級6位)
▼第18代全日本ライト級王座決定トーナメント 準決勝 サドンデスマッチ 3分3R
海戸 淳(S.V.G./同級2位)
VS
藤牧孝仁(はまっこムエタイ/同級3位)
▼フェザー級 3分3R
九島 亮(AJ)
VS
永野裕典(和術慧舟會DURO)
▼バンタム級 3分3R
原岡武志(ストラッグル)
VS
現在調整中
▼フェザー級 3分3R
森井洋介(藤原)
VS
大前力也(WSK/KSS健生館)
▼フェザー級 3分3R
尾田兼次(S.V.G.)
VS
上杉隼士(超越塾)
▼68kg契約 3分3R
布施一行(DRAGON GYM)
VS
佐藤大輔(バトラーツ)
<出場予定選手>
サムゴー・ギャットモンテープ(タイ/元ムエタイ三冠王)
<チケット料金>
SRS席 15,000円/RS席 10,000円/S席 7,000円/A席 5,000円
※SRS席は全日本キックのみの販売
※当日券は500円増し
<チケット発売場所>
チケットぴあ
イープラス
後楽園ホール
全日本キック
<お問い合わせ>
全日本キック 03-3365-1171
●2008年度スケジュール
・6月22日(日)後楽園ホール
・7月26日(土)後楽園ホール
・8月3日(日)横浜赤レンガ倉庫 ※はまっこムエタイジム興行
・9月19日(金)後楽園ホール
・10月17日(金)後楽園ホール
・11月8日(土)後楽園ホール
・12月5日(金)後楽園ホール ※藤原まつり2008
※ほか特別大会、新宿FACE大会が追加予定
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