8月26日(水)都内ホテルにて記者会見が行われ、K-1ファイターの武蔵(正道会館)が引退を表明した。
1995年にパトリック・スミス戦でK-1デビューを果たし、日本人には不利とされるK-1ヘビー級で活躍を続けてきた武蔵。2003年と2004年にはK-1
WORLD GPでは準優勝という結果を残したが、近年は怪我の影響などもあって戦績が振るわず。昨年の戦績は1勝3敗と負け越し、今年は1試合もしていないという状況だった。
スーツ姿で会見に現れた武蔵は用意された席に座ることなく、直立不動のままで「私、武蔵は引退を決意しました。そのことをご報告します」と挨拶。席につくと用意した手紙を読みながら、引退への思いを語った。 「デビューしてから14年が経ち、戦歴は80戦以上戦ってきました。プロ生活を続けていく中で、どこかでケジメをつけなければいけないと、今年の7月頃から思い始めました。そして7月末には自分の心の中に引退を決意いたしました。WORLD
GPは僕が95年にデビューした頃から目標であり夢でした。そんなヘビー級の中で自分が80戦以上も自分が戦えたということは誇りに思っています」 そして武蔵は「今年に入ってから試合は1試合もせずにコンディションを整えて、怪我もしっかりと治し、ベストな状態を作ってまいりました。今の自分ならWORLD
GPで日本人が未だになしえていない優勝、その夢をかなえることが出来ると信じています。 ですが、今の自分は開幕戦への出場権を持っておりません。この場をお借りいたしまして、ファンや関係者の皆様に是非チャンスを与えていただきたいとそう願っております。よろしくお願いいたします」と、9月26日に韓国で行われるGP開幕戦への推薦枠での出場を直訴した。 武蔵の挨拶が終わった後、武蔵は記者との質疑応答に応じた。以下、その全文。 ーー引退を決意した一番の要因は何だったのでしょうか?
「自分自身、デビューから14年が経ったんですが、どこかでケジメをつけなければいけないと決めていました。今年の7月頃からそろそろケジメをつけなければなと、自分の中で思いまして7月末には決意しました」 ーー体力的な衰えや怪我が引退の要因ではないということですか?
「体力的な衰えやそういったものはないです」 ーーケジメをつけようと思った理由は何だったんでしょうか?
「(引退の)時期というのは自分の中で突然やってくるというか、そろそろケジメをつけないといけないと思った時点で(引退は)決意しようと考えていました」 ーーK-1で14年間も戦い続けられたのはなぜだと思っていますか?
「ヘビー級の中で80戦以上できたということは誇りですし、僕がデビューした頃はヘビー級しかなかったので、デカい選手とやるという意識しかなかったです。そういう選手と渡り合えるようになるという気持ちが僕を強くさせてくれたと思います」 ーー今年に入ってから具体的にどこの怪我を治療されてきたのですか?
「昨年大晦日の試合前に左の股関節を痛めてしまい、ドクターからは試合を辞めろと言われていました。しかし試合が決まっていたので無理をして試合をしました。また試合中に左の鎖骨の下の部分を脱臼してしまい、ドクターからはその怪我は負傷した部分を使わないようにするの一番治りがいいと言われていました」 ーー引退を決めるにあたって具体的にどの試合で、というものはありますか?
「どの試合で引退を決めたということはないです」 ーー引退を決意されたということですが、いつまで戦う姿を見せることになりますか?
「GP開幕戦出場のチャンスをいただけるのであれば、開幕戦で戦う姿を見せたいと思います」 ーー引退を決意するにあたり、周りの人たちに相談はされたんでしょうか?
「相談は誰にもしていません。デビューする時もある意味、一人で始めたところがあるので、幕を引くのも一人でいいかなという気持ちです。引退の話は弟や家族にはしました」 ーーGP出場に向けて韓国や日本での予選に出場しようという気持ちはなかったんでしょうか?
「ずっと怪我を治すということに集中していましたし、それと並行してコンディションを作るということに専念していました。試合のことは考えていませんでした」 ーー魔裟斗選手と同じ年に引退を決意したことになりましたが、魔裟斗選手の影響はありますか?
「それは全くないです」 ーー武蔵選手が引退した後のK-1において新しい選手が育っているという実感はありますか?
「育っていると信じたいです」 ーーGPの出場権を得ることになったら、戦いたい相手はいますか?
「それよりもチャンスをいただきたいという気持ちです。今はそれを心からお願いするだけです」 ーー今年の開幕戦出場が実現しなかった場合、そのまま引退ということになるのでしょうか? それとも来年まで待つということになるのでしょうか?
「僕自身は次のチャンスというつもりはないので、今年にかけようと思っています」 ーーもしGPに出場する場合は負けた時点で引退ということになりますか?
「僕はどこまでということは考えていないです。出るからには(優勝)、と思っているので、勝つことしか考えてないです」 ーーGP限りでの引退で大晦日への出場などは考えていませんか?
「はい。大晦日は全く考えていません」 ーーGPで日本人初優勝という金字塔を打ち立てて引退したいという心境ですか?
「それが僕がデビューした頃からの夢であり目標なので最後まで持ち続けたいと思っています」 ーー谷川貞治K-1イベントプロデューサーに出場の直訴はされたのでしょうか?
「いえ、まだしていません。この場を借りて発表させていただきました」 ーー引退後のことは何か考えていますか?
「今のところは全く考えていません。僕はこれだけで生きてきて、これだけしかやったことがないので、次のことを考えた余裕もなかったです」 ーー推薦枠でGP出場が決まった場合、他の選手が1人落ちる形になり、批判の声も出てくると思います。それについてはどうお考えですか?
「自分はファイターですから、他の選手のことを考える余裕はありません。チャンスをもしいただけるのであれば、それを最大限に活かすだけですし、頑張るだけです」 ーー推薦枠での出場が決まらなかった時のことは考えていますか?
「もう決意したことなので、その信念を通すだけです」 ーー開幕戦出場が決まらない場合、引退試合などを行う予定はありますか?
「そこまで先のことを考えているわけではありません。今は開幕戦のチャンスをいただけるのであれば、最大限それを活かしてベストな試合をみなさんにお見せするだけです」
FEG 「K-1 WORLD
GP 2009 IN SEOUL FINAL16」 2009年9月26日(土)韓国・ソウル オリンピック第1体育館 <出場予定選手>
レミー・ボンヤスキー(オランダ/チーム・ボンヤスキー) バダ・ハリ(モロッコ/ショータイム) エロール・ジマーマン(キュラソー島/ゴールデン・グローリー)
グーカン・サキ(トルコ/チーム・レベル) エヴェルトン・テイシェイラ(ブラジル/極真会館) ルスラン・カラエフ(ロシア/フリー) ジェロム・レ・バンナ(フランス/Le
Banner X tream Team) ピーター・アーツ(オランダ/チーム・アーツ) セーム・シュルト(オランダ/正道会館) 京太郎(チームドラゴン)
ザビッド・サメドフ(ベラルーシ/チヌックジム) シング・心・ジャディブ(インド/TOWIN) ダニエル・ギタ(ルーマニア/カマクラ)
※残り3名はファン投票と推薦で決定 ●K-1
WORLD GP2009日程 ・9月26日(土)韓国・ソウル オリンピック体操競技場) 「K-1 WORLD GP FINAL
16」 ・12月5日(土)神奈川・横浜アリーナ 「K-1 WORLD GP FINAL」 |