4月22日(木)東京・明大前にある極真会館東京城西支部明大前道場にて、渡辺理想(=ゆうと/極真会館)が公開練習を行った。渡辺は5月2日(日)東京・JCBホールで開催されるFEG『K-1 WORLD MAX 2010〜−63kg Japan Tournament 1st ROUND』で石川直生(青春塾)と対戦する。
「疲れのピークも減量もこれからです。今も疲れていますが、動きも体調も凄く調子がいい」と渡辺。4月に入ってからは70kgをキープし、10日で7kg落とすという減量計画。普段は空手の稽古も平行して行っているが、試合が決まってからは指導時間以外はK-1ルールの練習をしているという。1日のスケジュールは朝練を10時から2〜3時間、夕方に少年部を指導し、夜の練習を8時から2〜3時間行っている。
理想(ゆうと)という変わった名前は、プロのミュージシャンだった父親が名付けたもの。父親がユートピアというバンドが好きで、長男に理想(ゆうと)、次男に郷太(きょうた)と名付け、合わせて理想郷(ユートピア)というわけだ。
「人生の中で最初から読めた人は2人くらいですね」(渡辺)。弟は現在もプロのミュージシャンを目指しているが、渡辺自身も空手を始める前はピアノやドラムを部屋に閉じ込められて特訓を受けていたという。「天性のリズム感がある? そうかもしれないですね(笑)」。
空手を9歳から始めたきっかけは「リングスでウィリー・ウイリアムスの試合を見て、“これは凄い”と言ったらお父さんが空手の選手だと教えてくれて、空手に興味を持ちました。当時は衝撃でしたね。デカイし、強いし、人間とは見ていなかったです」とのことだが、熊殺しを目指していたわけではなく、「小熊くらいならなんとか……」と笑う。
自分が選手になってからは空手のギャリー・オニール、ボクシングのナジーム・ハメド、ロイ・ジョーンズ・ジュニア、ムエタイのサーマートが憧れの選手になり、「テクニシャンが好きです」という。
キックボクシングに転向したのは「空手では世界大会に出場するのが目標で、3年前にその夢がかないました。次にK-1を見ていて試合がしてみたいと思っていたので、空手で一区切りしたので始めました」と理由を語る。
極真の選手が“顔面あり”に転向すると、最初は顔面パンチや距離感の違いに戸惑うものだが、渡辺は「映像を見て自分で顔面パンチを研究していたんですが、最初からもらうことはなかったのでそんなに困りませんでした。好きな選手の映像をいっぱい見て、顔面パンチは半分以上が独学です。空手の時から距離を大事にする選手だったので、最初は距離がちょっと遠いなと思ったくらいで全然問題なかったです」と、素早い対応能力を発揮したという。
渡辺の武器は空手仕込みの蹴りだ。「空手の蹴りはキックボクサーには慣れないと見えない。蹴りをやるとパンチも当たるし、持ち前の蹴りを試合で出したいですね」と語り、「ローキックだけでも3〜4種類あるので、何種類の蹴りがあるか自分でも分かりません。空手の蹴り技なら全部の技で倒せます。空手の蹴りなら何でも出来るし、何でも得意です。見て真似すると最初から出来るようになったんですよ。だから、どの蹴りに自信があるかと聞かれても、全部自信があります。空手でKOしたことが多かったのは左ハイキックですが、全ての蹴り技で倒したことがあります」と、蹴り技には絶対の自信を持っている。
実際、公開練習でのシャドーやミットでは、踵落とし、後ろ蹴り、左右の上段後ろ廻し蹴り、上段前蹴り、ヒザ蹴り、ブラジリアンハイキックと多彩な蹴りを披露した。菊野克紀の得意技で一躍有名になった三日月蹴りも左右で蹴れるという。
対戦する石川もキックボクシングでは蹴りを主武器とする選手で、この対決は“キックボクシングの蹴りVS空手の蹴り”というテーマで見ることが出来るが、渡辺は「一発は気をつけないといけませんが、相手の蹴りをもらうイメージは湧かない。喰らわないと思います」と自信たっぷりに笑う。
「小さい時には上段に蹴りをもらったことがありますか、それ以降は試合でもらったことはありません。アンドリュース・ナカハラと5年前にアメリカでやった時も全部の蹴りが見えたし、レチ・クルバノフとやった時も蹴りが見えました。レチとやった時は後ろ廻し蹴りを出せないようにして闘っていたのもありますが。1回、場外での後ろ蹴りで腹を蹴られて、穴が開いたと思ったことはありました(笑)」
石川が得意とするハイキックや飛びヒザ蹴りに対しても「距離が違うから何とも言えませんが、顔にはもらわない。飛びヒザ蹴りもパターンが決まっているし、このパターンだと喰らわないというのが見えています」と、蹴りは顔に触れさせないと言い放った。
「キックボクシングの蹴りと空手の蹴りはけっこう違います。距離が違う。僕は両方使えるので、2つを混ぜていけば空手の蹴りは見えにくい。最初はキックボクシングの距離に慣れようと思って、基本的な練習をやり込んだので、それを覚えて空手の蹴りが活かせるようになりました」。
自信があるのは蹴り技だけではない。「パンチにも当たれば倒せる自信がありますよ。石川選手より僕の方がパンチは上手いと思う。チャンスがあればパンチで倒そうと思っています」と、空手仕込みの正拳突きをぶち込むつもりだ。
極真空手家らしいエピソードも。「10月のRISEでの試合で、三日月蹴りをやったら小指を脱臼して骨が足の裏から飛び出てしまった。レフェリーに気づかれたら止められてしまうので、ヤバイと思ってまずパンチで倒し、その場で自分で直して最後は蹴って倒しました」と、驚くべきエピソードを笑顔で語る。
キックボクシングの世界では石川の方が圧倒的に格上、キャリアも実に5倍以上の差がある。しかし、渡辺は「負けるイメージは湧かないですね。キャリアも向こうの方が上だけれど、接戦になっても僕の方がスタミナがあると思う。メチャクチャ走り込んでいるので自信があります。元々の体重も違うからパワーも僕の方がある。ラクな相手ではないが、苦しくても絶対に僕の方が苦しい思いを何度もしている」と、自分の方が全てにおいて上回っていると言わんばかり。
逆に「これはチャンス。1回戦で抜きん出ればヒーローになれるかもしれない。石川選手がメインでやりたいと言っているじゃないですか。もっと言えって感じです。僕もやりたいから。僕は名前がないので僕が言っても説得力がないから、石川選手にもっと言って欲しい。青春塾に電話しようかな(笑)」と、自分が上に行くチャンスとしか捉えていないようだ。
極真を背負う気持ちで出るのか、との質問には「自分ではそんなに思っていませんが、負けたら極真が負けたと言われるので、自覚を持ってやります。教えている子供たちの中にも、将来的にK-1に出たいという子がいるので、道を作ってあげないと後が続かないですからね。その自覚を持ってやりたい」と、自分がK-1MAXでの極真の道を切り開くパイオニアになりたいという。
「子供たちの期待は他の選手よりも絶対に多いはずです。道場生が100人弱いますからね。子供たちは僕が勝って当たり前だと思っているのでプレッシャーがありますよ。負けた時は子供たちの目が泳いでいましたから(笑)。それはモチベーション、パワーになります」
渡辺のトレーナーは、かつて全日本キックボクシング連盟で“反逆のかませ犬”の異名を持ち、勝てるわけがないと言われた格上の選手を破り、全日本バンタム級王座を獲得した名キックボクサー貝沼慶太(現在は貝沼慶多)。それに引っ掛けて、渡辺も石川に噛み付いて“反逆のかませ犬”になるのかと聞くと、渡辺は「かませ犬は嫌だなぁ」と笑った。
石川は31勝(17KO)14敗4分で、全日本スーパーフェザー級王座にも就いた60kg級日本トップクラスの強豪。6勝(2KO)1敗でタイトル暦もない渡辺が、空手の蹴り技で大番狂わせを起こすのか!?
FEG
「K-1 WORLD MAX 2010 -63kg Japan Tournament 1st ROUND」
2010年5月2日(日)東京・JCBホール
開場16:00(予定) 開始17:00(予定)
<全対戦カード>
▼−63kg Japan Tournament 1st ROUND 3分3R
上松大輔(チームドラゴン/ISKAオリエンタル世界ライト級王者)
VS
チョン・ジェヒ(韓国/Busan Taesan/韓国ムエタイジュニアライト級王者)
▼−63kg Japan Tournament 1st ROUND 3分3R
石川直生(青春塾/第2代全日本スーパーフェザー級王者)
VS
渡辺理想(=ゆうと/極真会館2007年全日本ウェイト制空手道選手権中量級準優勝)
▼−63kg Japan Tournament 1st ROUND 3分3R
“狂拳”竹内裕二(菅原/第8代MA日本キックボクシング連盟スーパーフェザー級王者、第2代WMAF世界同級王者)
VS
裕樹(リアルディール/初代RISE 60kg級王者)
▼−63kg Japan Tournament 1st ROUND 3分3R
大月晴明(フリー/WPKC世界ムエタイライト級王者)
VS
松本芳道(八景/日本ライト級王者)
▼−63kg Japan Tournament 1st ROUND 3分3R
久保優太(アンリミテッド/Krushライト級グランプリ2009準優勝)
VS
DJ.taiki(フリー)
▼−63kg Japan Tournament 1st ROUND 3分3R
山本真弘(藤原/IKUSA GP&Kick Return Tournament&Krushライト級GP覇者、第22代全日本フェザー級王者)
VS
大和哲也(大和/WBCムエタイルール日本ライト級&WMCインターコンチネンタル同級王者)
▼−63kg Japan Tournament 1st ROUND 3分3R
小宮山工介(北斗会館)
VS
尾崎圭司(チームドラゴン/K-1 WORLD MAX2007日本代表決定トーナメント3位)
▼−63kg Japan Tournament 1st ROUND 3分3R
大石駿介(OISHI GYM/J-NETWORKスーパーライト級1位)
VS
卜部功也(チームドラゴン/K-1甲子園2008準優勝)
▼−63kg Japan Tournament 1st ROUND 3分3R
才賀紀左衛門(アンリミテッド/大誠塾)
VS
ファイヤー原田(ファイヤー高田馬場/J-NETWORKライト級2位)
▼−63kg Japan Tournament 1st ROUND 3分3R
卜部弘嵩(チームドラゴン/2007全日本新空手K-2軽中量級王者)
VS
谷山俊樹(谷山/MA日本ライト級8位)
▼−63kg Japan Tournament 1st ROUND 3分3R
麻原将平(シルバーアックス)
VS
嶋田翔太(島田塾/K-1甲子園2009準優勝)
▼70kgスーパーファイト 3分3R延長1R
城戸康裕(谷山/2008日本トーナメント優勝)
VS
ヴァヒド・ロシャニ(イラン大誠塾)
<チケット料金>
SRS席20,000円 RS席13,000円 S席(第1バルコニー)10,000円
A席(第2バルコニー)7,000円 B席(第3バルコニー)5,000円
<チケット販売>
チケットぴあ 0570-02-9999(Pコード:594−720)
ローソンチケット 0570-084-003(Lコード:31000)
CNプレイガイド 0570-08-9999
キョードー東京 03-3498-9999
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<お問い合わせ>
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