11月26日(金)名古屋で行われるWBCダブル世界タイトルマッチの公式行事がスタート。21日にはスーパー・フェザー級戦に出場する粟生寛隆(帝拳)と王者ビタリ・タイベルト(ドイツ)の公開練習が名古屋のアマチュアジム、チーム・ゼロで行われた。
午後3時から練習した粟生は、「リラックスしていながらいい緊張感がある。自分から仕掛けるが、バランス重視。相手は何かが突出しているわけではないが、すべてが平均点以上でスキがない。上手い選手なので攻防一体を念頭に練習してきた」と語った。
その表情は粟生自身が言うようにリラックスしたもの。減量苦から開放されて「以前は最後シンドくて減量のための練習になっていたが、いまは元気、強くなるための練習ができている」と手応え十分。そして「いま中日ドラゴンズ、名古屋グランパスと優勝してのっている。グランパスは僕の高校時代の先輩・玉田さんが決勝ゴールを決めて縁を感じる。僕も決めます」と抱負を語った。
写真は今回の世界戦仕様Tシャツをまとった粟生。バックにこれまでの勝ち星19個の☆がプリントされ、胸にもう一つ。20個目の白星は2階級制覇となる。
午後5時からは王者ビタリ・タイベルトが会見と練習を公開した。
こちらのリラックスぶりは粟生以上か。会見でコンディションを尋ねられると「あまりよくない……冗談だよ。練習はいつも通りにやってきた。スパーリングは70ラウンド。これも通常と変わらない」と王者。マホメット・トレーナーも「彼とは11年も一緒にやって十分に分かっている。準備は万端です」と答えた。
次に粟生の印象を尋ねられたタイベルトは「あなたには答えたでしょ。私はもう3回答えたよ」と笑いながらアナウンサー氏を困らせた。そう言いつつ答えた挑戦者の印象は「強くて尊敬している。大変なチャレンジャーを選んだ」というもの。トレーナーは「試合は熱いハートとクールな頭脳が勝敗のカギになる」と語った。
粟生の公開練習を見に来なかったのは「寝ていたから」(トレーナー)だと言うが「すべてを見せるわけではないから意味がない」とマッチメーカー。タイベルトも「テクニックは研究済み。戦いの前に相手に会う必要はない」と余裕。リラックス感たっぷりの王者陣営だが、トレーニングの公開は冒頭の10分と制限され、報道陣が目にしたのは準備運動とミット打ちだけ。パンチのモーションが小さく、シャープに打ち切るミット打ちは実力の片鱗を表していた。 |